- iPhoneの「クイックスタート」は、多くのデータを新しい端末に移行できます。
- しかし、完全ではなく、セキュリティ関連の設定や他社サービスの情報などは自動的に移行されないことがあります。
- 移行後は、Bluetooth機器の接続確認やアプリの再認証など、個別の設定が必要な場合があるのです。
1. クイックスタートのデータ移行は完全ではない
移行されるもの | 移行されないもの |
---|---|
● 個人データ: 基本的な個人データやメディアファイル | ● セキュリティ: 個人認証やペイメント情報 |
● クラウドストレージ: iCloudに保存されているデータ | ● 一つの端末でしか利用できないもの 交通系ICカードやLINEなど |
● 公開アプリ: 配信中のアプリとアプリ内データ | ● 配信終了アプリ: 再ダウンロードできない |
● ライセンス・著作権: 音楽など直接移行できないものもある (手動で再ダウンロードする) |
iPhoneのクイックスタートでは、古いiPhone内のデータを「ほぼ丸ごと」新しいiPhoneに移行できます。
クイックスタートによって、iPhoneのデータ移行はとてもスムーズになりました(パソコンなどの初期設定に比べると特に)。
しかし、それでも移行できないデータがあります。
クイックスタートでデータ移行できないものは、主に重要なセキュリティ情報と他社が関わるサービスです。
1-1. Appleの管理下のデータは移行がスムーズ
iPhoneのクイックスタートで移行できるものは、iOS、iCloudで管理しているデータがメインです。
個人情報やお金に関わる重要な設定以外は、そのまま移行されます。
2. データを移行したのに「つながらない」
「App Storeからダウンロードした多くのアプリとそのデータ」も移行できるので、かなり初期設定がスムーズになっています。
しかし、他社サービスが関係してくるため、ある程度 個別の設定が必要なアプリも多いです。
iPhoneのクイックスタートでは、iPhone内のデータを「ほぼ丸ごと」移行します。
しかし、それだけではうまく動かない機能があるのです。
データ移行後に実際に利用して、動作を確認していきます。
ほとんどはログインや許可を押すだけで済むのですが、中には厄介なアプリもあります。
2-1. アプリ権限の許可や規約の同意
クイックスタート後は、個々のアプリの動作確認が必要です。
アプリごとの権限の許可や同意は、新しいiPhoneでも必要なことがあります。
とくに、連携で利用するアプリ(プリンタのアプリなど)は、ふだん開かないので権限が無効になっていることに気づきにくいです1。
2-2. アカウントの再認証
また、iPhoneでは、ウェブサーバと連携しているアプリがほとんどです。
端末内でデータを移行しただけでは、サーバから「信頼されない」ことがあるからです。
基本的には、手動でID・パスワードによる認証をするだけで、利用できるようになります。
ただし、一部のサービス(とくに機密に関わるもの)では、「なりすまし」や「データ不正」を防ぐために、旧端末で「引き継ぎ」操作が必要なものもあります。
3. 【要注意】引き継ぎ後のLINEは不安定
特に、機種変更後の LINE は 動作が不安定になりやすいようです。
LINEの通知が鳴らなくなった、通話ができなくなった、などの相談が多いのです。
この原因として考えられるのは、LINEのデータ管理が独特なことです。
- 基本的にトーク履歴はサーバには残らない
- ログインによって旧機種がログアウトされる
クイックスタートでは、大雑把に丸ごとアプリデータを移行するため、うまくいかないことがあるようなのです。
- たとえば、LINEアプリ側では通知やカメラ・マイクなどのアクセス許可済みと認識しているのに、端末側の設定ではまだ許可されていないといった不整合が発生するようです。
- また、LINEアカウントやアクセスキーやトークの暗号化キーなどは、不正アクセス防止のため端末固有の情報と関連付けられています。
LINEアプリでは、データ移行に「アカウントの引き継ぎ」や「トーク履歴のバックアップ」を想定しています。
クイックスタートでアプリデータを移行した場合、そのままでは機種の違いによって「無効」になるデータがあることが原因だと考えられます。
結局、LINEを再インストールすることになることもあるんだよね。
3-1. アカウントの再連携が必要なサービス例
- チャットアプリ
(WhatsAppなど)
チャット履歴の移行に特別な手順が必要
特に電話番号が変わった場合には、要注意。 - 二段階認証のアカウント
(Google認証システムなど)
改めて二段階認証を求められる場合が多い。 - SNSアプリ
(X, Facebook, Instagram など)
アカウントの再ログインが必要で、一部の設定が引き継がれない - 銀行アプリや金融アプリ
セキュリティ上の理由から、再インストールや再認証が必要な場合が多い。 - クラウドストレージアプリ
(Dropbox, Google Drive など)
アカウント再認証やファイル同期の設定が必要な場合があります。 - ゲームアプリ
(例:Pokémon GO, Puzzle & Dragons, モンスターストライク等)
データ引き継ぎには要注意。
ゲーム内アカウントやSNSアカウントとの連携が必要。 - フィットネスアプリ
(例:Fitbit, Garmin Connect等)
デバイスとの再ペアリングや設定の確認が必要
4. 原則 Bluetoothのペアリングは引き継がれるはずだが
クイックスタート後は、Bluetooth機器との接続を確認しておくことをお勧めします。
基本的には、クイックスタートでデータを移行すると、Bluetooth設定も新しいiPhoneに引き継がれます。
これには、ペアリング済みのBluetooth機器の情報も含まれます。
一般的なBluetooth機器(ヘッドフォンやスピーカーなど)は、そのまま利用できることが多いのです。
しかし、完璧に引き継がれるわけではありません。
接続できない場合は、再度ペアリングを行ってください。
Apple Watchや車載システムのBluetooth、そのほかセキュリティ設定の厳しいBluetooth機器は、新しい iPhoneと再度ペアリングする必要があるのです。