- ざっくり言えば、「E-E-A-T」は「どこの馬の背かわからない人」よりも「一角の人物」から情報を得よう、という考え方です。
- しかし、それが実現しているわけではないですし、実現したから便利になるとも限りません。
- たとえば、自分で「聞き込み」をしたいような場合には、この選別はかえって煩わしいことがあるからです。
自分に不要な情報が検索結果に出てこないでほしいけど、それが何かは見てみないことには言えないんだよね。
結局、検索エンジンにしてほしい「仕事」って何なんだろう。
1. このプロフィールって必要?
- 少し前から、ネット記事にやたらと「プロフィール」が出て来るようになりました。
- 訪問者目線だと、「一見さん」で読むサイトの「プロフィール」には、そこまで興味がないことも多いのです。
- どうも、検索で重視される「E-E-A-T」の影響のようですが、「プロフィール」が本質的に役立っているのかはちょっと疑問。
1-1. 「情報屋」の選び方は?
- 「E-E-A-T」って何なのかなって思うのですが、要は「情報屋」をどう選ぶかみたいな話なのかもしれません。
- スパイ映画などで出てくる「情報屋」は、情報を売る仕事。
ところが、情報は買うまで見られません。
そこで、「信頼できる情報屋とは何か」という問題が出てきます。
- 結局は、「買うまでわからない」のですが、それでも当たりを引く確率を増やそうと思うと、「過去の実績」が鍵になるわけです。
これを、現代的に言ったのが「E-E-A-T」なのかな、と。
2. 和訳で零れ落ちるもの
「E-E-A-T」は、Googleが検索結果の品質を評価するために用いる基準。
Experience (経験)、Expertise (専門性)、Authoritativeness (権威性)、Trustworthiness (信頼性)の頭文字を取ったものです。
しかし、この基準を日本語のニュアンスで捉えると、誤解しやすい側面があります。
EEATが誤解される要因の一つは、日本語のニュアンス。
EEATを直訳すると、「経験=単なる時間の経過、専門性=基本的な知識、権威性=有名であること、信頼性=人柄の良さ」というように、それぞれの要素を単純に解釈してしまう誤解が生じやすいです。
2-1. より具体的な実績や証明
しかし、英語でのニュアンスはちょっと違います。
英語での「E-E-A-T」の各要素は、より具体的な実績や証明が求められます。
項目 | 日本語でのニュアンス | 英語でのニュアンス |
---|---|---|
Experience (経験) | 何かと長い時間を過ごしたこと | 実際に体験し、そこから得た知識や技能 |
Expertise (専門性) | ある程度の知識を持っていること | その分野における深い知識や技術が社会的に認められていること |
Authoritativeness (権威性) | 一般的に知られていること | その分野で重要な参考資料とされる程度の影響力を持つこと |
Trustworthiness (信頼性) | 人としての誠実さ | 情報の正確さや公平性に基づくもの |
「経験」は実際に体験し学んだ知識や技能を指し、「専門性」はその分野における深い知識や技術が社会的に認められていることを意味します。
「権威性」はその分野において重要な参考資料とされる程度の影響力を持つこと。
これらの結果として、情報の正確さや公平性への「信頼性」が生まれる、という考え方です。
ここを見落とすと、表面的な理解にとどまってしまいます。
自分の体験を詳細に語ることなく「経験が豊富である」と主張したり、実際には社会的に認められた専門性がないにもかかわらず、専門家であるかのように振る舞っても意味がありません。
3. 「一角の人物」になれ
「E-E-A-T が評価される」というのは、ネットだけでなくリアルに「この人は専門家だし、言うことは信じられるだろう」という信頼を得ている状況のことです。
なので、「E-E-A-Tを高める」というのは、個人レベルではなかなか大変です。
なるほど、テレビに呼ばれる「専門家」「有識者」レベルの話なんだね。
一般人だと、まぁ第三者からすると「知らんがな」ということになっちゃうもんね。
3-1. 「EEAT=ドメインの強さ」でもない
ただし、そうなると企業や大手メディアなら何でもよいように見えますが、そうでもないようです。
被リンクが多くてDR(ドメインレーティング)が高いメディアであっても、テーマとの関連性が低ければ、ランクインしないメディアも存在します。
3-2. 口コミを探したい心理
Googleが信頼できる情報源を優先すると、かえって見えにくくなるものがあります。
それは、個々人の実体験。
口コミや実体験は、Google検索では出てこないので、SNSで検索する、という使い分けも増えています。
ただし、「E-A-T」の修正として、「Experience」が追加されたことを考えると、実経験を重視する流れではあります。
4. EEATは、Googleにとっても「努力目標」
とはいえ、E-E-A-Tが「検索順位の評価基準」のように捉えられますが、現実の検索結果を見ると「本当に?」と思うことも多いです。
E-E-A-Tが適正に評価されるなら、自動生成の低品質コンテンツを目にすることはないはずです。
これは、E-E-A-T自体が直接的なランキング要素ではなく、むしろGoogleが目指す検索結果の品質の「方向性」を示しているからだと言えます。
つまり、E-E-A-Tは Googleの検索結果の質を高めるための「理想」で、ウェブ上での情報提供の質をどのように評価していくかの「ビジョン」を示しているだけなのです。
4-1. 理想を実現するために
Google検索のアルゴリズムは、そのビジョンを実現するための具体的な手段、つまり「仕様」として機能します。
ここで注目すべきは、Googleはこの理想像に向けて努力を続けていますが、実際のアルゴリズムの動作はこの理想を完全に体現しているわけではなく、常に改善と調整のプロセスを繰り返していること。
ある企業が「日本一の会社を目指す」というビジョンを持っていても、その目標に到達するための具体的な戦略や行動が必ずしも直線的ではないのと同じです。
もちろん、E-E-A-Tを向上させることは、間違いなくGoogleが推奨する質の高いコンテンツ作成への取り組みになります。
しかし、それだけがSEOの全てではない、ということです。
4-2. でも現実は甘くない
そもそも、情報屋を見抜く、つまり情報の信頼性の評価は難しい話です。
機械的に E-E-A-T を判定したところで、それが Google検索の品質を劣化させる事例も見受けられます。
- 検索クエリに最も適切なコンテンツを提供していても、ランキングで下位になってしまう。
- 検索クエリに直接的な関連性がないのに、E-E-A-Tが高いと評価されるサイトが上位に表示される。
E-E-A-Tが強い会社やメディアが優遇されると、実際にユーザーのニーズを満たすコンテンツを提供しているサイトが見過ごされるという状況を生まれてしまいます。
「E-E-A-T」などが現実的でなくても、利用者に有益な情報を選び取る方針に沿っていくことが、長期的には大事なのはわかったよ。
だけど、これは本質的に(永遠に)不可能なこともわかった気がする。