- 最近の研究で、広告が多すぎるウェブサイトの評価がGoogleのコアアップデートで低下していたことが明らかになりました1。
特に固定されたフッター広告や動画広告などが主な原因で、確かに閲覧者にとっては集中を妨げ、読みにくくるなります。 - しかし、ここで興味深いのは、Google AdSenseがアンカー広告のような形式を推奨している点です。
- これは、検索エンジン最適化(SEO)と広告収入のバランスを取る際の齟齬を示しているとも言えます。
1. サイトの表示数を減らした項目
ZYPPYの調査によると、フッターの固定広告や固定動画広告など、広告の多用がサイトのトラフィック低下に強く関連していることが明らかになりました。
1-1. 過剰なサイトから押し付け(広告や通知)
項目 | 相関係数 | 説明 |
---|---|---|
フッターの固定広告 | -0.522 | ユーザーがスクロールしてもページの下部に固定され、コンテンツを隠す広告 |
固定動画広告 | -0.52 | スクロールに追従して表示される自動再生の動画広告 |
広告の数 | -0.383 | ページ内の広告の総数 |
ブラウザプッシュ通知機能 | -0.333 | サイトからのプッシュ通知機能 |
アフィリエイトリンク数が多い | -0.284 | アフィリエイトリンクの数が多い場合 |
1-2. サイトの信頼性・独自性のなさ
項目 | 相関係数 | 説明 |
---|---|---|
素材サイトの画像利用 | -0.403 | オリジナルでない、素材サイトからの画像を利用している場合 |
ロゴが無い | -0.295 | サイトにロゴが表示されていない、または不明瞭な場合 |
連絡先が無い | -0.288 | サイト上に連絡先情報が掲載されていない場合 |
1-3. サイトの構造がわかりにくい
項目 | 相関係数 | 説明 |
---|---|---|
ヘッダー付近のメガメニュー | -0.333 | ページ上部に大量のリンクを含む大きなナビゲーションメニュー |
フッターのメガメニュー | -0.284 | ページ下部に大量のリンクを含む大きなナビゲーションメニュー |
ページ下部に検索機能を設置 | -0.295 | ページの下部に検索バーがある場合 |
プライバシーポリシーへの遷移が容易 | -0.246 | プライバシーポリシーへのアクセスが容易な場合 |
これらは、「行きたいところにすぐに行けない」というのがネガティブなのかな。
2. サイトの表示数を増やした項目
一方、サイトが提供するコンテンツが個人的な経験や一人称の視点を通じて語られていること、そしてサイトが訪問者のプライバシーに配慮し、連絡先情報を明確に提供していることが、サイトの信頼性と価値を高める要因となっています。
項目 | 相関係数 | 説明 |
---|---|---|
一人称を使っている | 0.383 | コンテンツ内で一人称の代名詞を使用している場合 |
実体験の有無 | 0.333 | コンテンツが実際の体験に基づいているかどうか |
クッキーに対する同意の設置 | 0.333 | サイト訪問者にクッキーの使用に関する同意を求めるバナーがある場合 |
フッターに連絡先情報の設置 | 0.3 | ページの下部に明確な連絡先情報がある場合 |
連絡先がある | 0.288 | どこかに連絡先情報が表示されている場合 |
3. Google広告との矛盾はメディアの本質
私がこの調査結果を興味深く思ったのは、最近の Google AdSenseがアンカー広告や全画面広告など、「やたらと」広告表示を増やすことを推奨して来るからです。
これらをすべて受け入れると、閲覧者にとっては「見にくい」サイトになり、結果として表示回数は減ります。
つまり、Google広告とGoogle検索の間には、「矛盾」があるように思えます。
3-1. Google AdSenseと検索エンジンの「顧客」
これは、そもそも「メディア」の持つ矛盾なのかもしれません。
メディアは、広告主と利用者という、時として利益相反する相手と同時に向き合っています。
これは、Googleも同じです。
広告事業と検索エンジン事業という二つの異なる目標を同時に追求しています。
- Google AdSenseはウェブサイト運営者に収益化の手段を提供し、ユーザーにターゲットを絞った広告を表示することで、広告事業の収益を最大化しようとしています。
- 一方、Googleの検索エンジンは、ユーザーに最も関連性が高く、有用な情報を提供することを目指しています。
この二つの事業は、相反する部分があります。
3-2. 要はバランスです
Google全体としては、両者のバランスを取る中で
「有益なコンテンツを提供しつつ、適切な広告を通じて収益化を図ることができる健全なインターネット情報空間」
を目指しているようです。
つまり、ユーザー体験を重視しつつも、ウェブサイト運営者が収益を得られるような仕組み、これがインターネットの持続可能なエコシステムなわけです。
ウェブサイトを運営するには、ユーザー体験を損なわない範囲で広告を配置し、コンテンツの質を高めることが重要です。
結論として、ウェブサイトの運営者は広告の配置と数に慎重である必要があり、ユーザー体験とSEOの両方に配慮するバランスが求められます。
Googleの指針に従いつつも、広告による収益化を適切に行うことが、ウェブサイトの成功の鍵となるでしょう。
たぶん、Google AdSenseの自動広告任せにしたらダメなんだね。
ある程度、メリハリをつけないと。