- Wi-Fiルーターと光回線ルーターが競合すると、通信が不安定になることがあります。
- この問題を解決するには、Wi-Fiルーターを「ブリッジモード」に切り替えることが効果的です。
- 二重にルーター接続していてもインターネット接続は可能ですが、速度低下などが生じる可能性もあります。
1. Wi-Fi ルーターのActiveランプが赤点滅
Wi-Fi ルーター(NEC Aterm WG1200HP)のActiveランプが赤点滅していました。
確認すると、Wi-Fi経由で、インターネットにはつながっていました。
それでも一応メーカーに問い合わせてみると、「光回線ルーター(NTT PR-S300NE)とWi-Fiルーターが競合して、不安定になっている可能性がある」とのことでした。
Wi-Fiルーターのモードを、RTからBRに切り替えるように言われたのですが、これはどういう意味だったのでしょうか?
- インターネット回線の契約をすると、ONUにルーター機能を内蔵した「光回線ルーター」が支給されるケースが増えています。
- 光回線ルーターに 自分で用意した Wi-Fiルーターをそのまま接続すると、競合してしまうことがあるようです。
- 光回線ルーターとつなぐときは、Wi-Fiルーターを「ブリッジモード(BR)」に切り替えると、競合を解消できます。
1-1. Wi-Fiルーターの状態ランプは「異常」を示している
Wi-Fiルーター(Aterm WG1200HP、2015年発売)は、ACTIVEランプで動作モードの状態を表示します。
点灯 | 点滅 | |
緑 | ルーターモードやIPv4 over IPv6通信で WAN側にIPアドレスが設定されている | ルーターモードでの接続を試行中 |
橙 | ブリッジモードで接続している | IPv4 over IPv6通信で接続を試行中 |
赤 | 故障を復旧している | IPv4 over IPv6通信で接続で通信不調 |
消灯 | ルーターモードやIPv4 over IPv6通信で 通信が確立していない |
基本的に、通信モードは点灯の色で区別し、
点滅は一時的な状態を表すのに使っているようです。
「IPv4 over IPv6通信」は、次世代のインターネット通信規格です。
プロバイダによって対応状況が異なりますが、利用できると通信が効率化されて速くなります。
2. 回線終端装置とルーターの役割分担
家庭でインターネット回線を利用する場合、光回線業者から渡された装置(ONU:回線終端装置)に、別のWi-Fiルーターを接続して、そのWi-Fiネットワークにスマホを接続するパターンが多いです。
この場合は、Wi-Fiルーターが、「ネットワークアドレス変換」という処理をして、ネットワーク内のデバイスとインターネットの仲介しています。
光回線
→ONU:光信号と電気信号の変換
→Wi-Fiルーター:内外のIPアドレスの変換
→スマホ
「ネットワークアドレス変換(NAT:Network Address Translation)」は、2つのIPネットワークを中継するルータやゲートウェイが、双方のIPアドレスを対応付けて変換する処理です。
例えば、ネットワーク内の端末のプライベートIPアドレスをグローバルIPアドレスに変換することで、インターネットからの通信を受信できるようになります。
通訳みたいな感じだね。
2-1. ひかり電話ルーターの場合
一方、ひかり電話ルーター(PR-S300NE)には、回線終端装置(ONU)の機能に加えて、有線のルーターの機能を併せ持っています。
そのため、そのまま Wi-Fiルーターと接続すると、いわば「二重ルーター」の状態になってしまいます。
この状態だと、2つのルーターが競合してしまいます。
1)ルーターを2つ通過するので、その分、無駄に速度が遅くなる
もしかして、Wi-Fiが二重ルーター状態になってない?【自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!】 – INTERNET Watch
2)Wi-Fiルーターに接続した端末で回線接続用端末の設定ができない
3)インターネット側から自宅内へのアクセスが難しい
ここでは わかりやすさを重視して、「二重にルーター機能が動作している」という意味で、「二重ルーター」という言葉を説明で選びましたが、「二重ネットワークアドレス変換(NAT)」という方がより適切かもしれません1。
3. ブリッジモードで無線機能だけを使う
Wi-Fiルーターには、この競合を避けるために、ほかのルーターにネットワークアドレス変換を任せて接続する、「ブリッジモード」があります。いわば、「橋渡し」です。
こうすると、自宅でWi-Fi環境を利用することができます。
ちなみに、「中継機能」は、Wi-Fiルーターが複数台あるときに、無線電波を増幅する機能です。
中継機能の場合は、親になるWi-Fiルーターのネットワーク名(SSID)がそのまま使われます。
アドレス変換処理 | SSID | |
ルーターモード:RT | する | 使う |
ブリッジモード:BR | 親機に任せる | 使う |
中継モード:CNV | 親機に任せる | 親機に任せる |
3-1. 「二重ルーター」だとセキュリティの問題はあるの?
Wi-FiルーターのACTIVEランプは赤点滅でも、インターネットにはつながっていたんだけど、これって大丈夫だったのかな?
基本的には、問題ありません。
インターネット接続まで2つのルーターを介することで、「又聞き」のように、間接的にインターネットにつながっている状態です。
むしろ、内側のネットワークは、インターネットからより隔てられていたので、セキュリティ上は強くなります。
実際にインターネットに接続するときに不便がなければ(速度が遅く感じる、など)、どちらのモードでも問題がありません。
(補足)
- SPなどから提供されたルーター(ルーター機能を備える終端装置など)に、利用者が独自に無線LANルータなどを接続して利用する場合に、設定の不備でその両方でNATが行われてしまう状態を「二重ルータ」と呼んでいるようだが、記事で言及されている問題点は二重にNATが行われていることが原因であるため、「二重NAT」と呼ぶのが適切ではとの指摘が寄せられている。 – 「二重ルーター」という表現に多数のツッコミが入る | スラド