- スマートフォンを海外で使うには、通信契約と本体設定が必要です。
電話・SMSとインターネット通信の2パターンがあります。 - 電話・SMSは、「国際ローミング契約」になっていれば、国際通話料金で利用できます。
- インターネット通信は、スマートフォンの「データローミング」を有効にすると、地域・契約している海外データプランに応じた通信料で利用できます。
1. ローミングと提携
本来、海外にいけばその地域の通信事業者と契約しなければ、スマートフォンは通信できません。
しかし、海外でも手軽に通信できる仕組みがあります。
それが「ローミング」です。
「ローミング」は、契約している通信会社のエリア外でも、引き続きデータ通信ができる仕組みです。
これは、国内の通信会社と現地のモバイルネットワーク事業者と提携しているからです。
「ローミング」の対象には 電話・SMSとインターネットの2種類があり、それぞれにスマートフォンの設定と通信会社との契約があります。
現地の通信回線への接続の仕方と、その通信料の負担がどうなるかが重要になります。
「ローミング(roaming)」は、「 roam(うろうろ歩き回る)」という英語からできています。
1-1. 電話・SMSの経路
海外で電話・SMSを利用するには、国際ローミング契約を申し込んでいる必要があります。
ドコモの場合は、「WORLD WING」という契約です。
空港に携帯ショップがあれば、出発前にそこで手続きをすることが多いです。
この手続きを済ませていれば、海外でも同じ電話番号で通話やSMSが利用できます。
電話をうける場合は、相手はいつもと同じ番号で大丈夫です。
かかってくる電話を日本から渡航先まで「転送」してくれるのです。
ただし、その分、着信側にも「着信料」がかかってしまいます。
反対に、渡航先から国内の知人に電話をかける場合は、
「+81(日本)」を付け加えた「国際番号」で発信します1。
SMSの発信も同じです。
「090-XXXX-XXXX」の場合は、「+8190XXXXXXXX」となります。
※ 090や080の先頭のゼロもなくなります。
※「+」は、「0」を長押しして入力します。
ただし、現地の通信事業者の回線を借りるため、かなり割高な通信料がかかります。
通信料は滞在している地域によって異なります。
例えば、米国の場合は
滞在国内 | 日本向け | その他の国向け | 着信する場合 | |
---|---|---|---|---|
音声通話 | 125円/分 | 140円/分 | 265円/分 | 175円/分 |
SMS | 100円/通 | 100円/通 | 100円/通 | なし |
かなり高額ですね。
さらに、同行者に電話をする場合は二重にかかるので大変です。
いったん日本向けの国際番号にかけて、それをまた海外に転送するので、お互いに高い通話料が発生してしまうのです。
この例なら、発信側に 125円/分、受信側に 175円/分 となります。
つまり、
- 事前に申し込みをしていれば、海外でも同じ電話番号を使えます。
- ただし、現地の提携している回線から転送するので、かなり割高の通信料がかかります。
以上を踏まえ、海外での電話利用は「急で必要な連絡などの着信だけに限定する」のが一般的です。
1-2. インターネット通信
メールやマップ、LINE通話などは、電話とは別の経路。
インターネット通信を利用しています。
現地の Wi-Fi に接続できれば、そのままインターネットを利用できます。
空港やホテルなど、利用者向けに開放された Wi-Fi ネットワークがあれば、そのパスワードを入力するだけで利用できます。
もし、Wi-Fi 環境がない場所でインターネットを使いたいなら、モバイルデータ通信です。
定額の範囲であれば、通信料をあまり気にせずに連絡できます。
スマートフォンの設定にある「データローミング」をオンにすると、現地からインターネットにつながるようになります。
現地の携帯基地局や通信事業者は、SIM情報から日本の通信事業者を特定し、提携していれば取り決め通りに接続を代行します。
ただし、データ通信料には注意が必要です。
現地の回線を借りているため、その分の費用があるからです。
国内での通信料とは別に、地域・プラン・利用量・日数に応じた通信料が発生します。
もし、何も考えずに海外で「データローミング」を利用すると、地域によってはそのまま海外事業者の従量課金が適用され、高額な請求になる可能性もあります。
そのため、海外用のデータ定額プランに入っておきます。
ドコモの場合なら、「従量課金制」「世界そのままギガ」「世界ギガし放題」というパターンがあります2。
- 従量課金制(定額対象外の地域)… 1.6円/KB
例えば、1GBだと約160万円。
通常は「海外パケット停止安心サービス」に加入して、最大5,000円で停止させる。 - 世界ギガし放題… 2,980円/日
利用が少ない日(約24.4MBまで)は1,980円/日 - 世界そのままギガ… 980円/日など
データ通信量の上限は、国内プランと合算される。
設定した利用期間によって料金は変わる。
例えば、1週間なら 5,280円(1日あたり754円)
1時間単位の料金もある。
「世界ギガし放題」は「申込み不要」です。
定額対象の地域になっていれば、自動的に適用されます。
現在は多くの地域で現地の通信会社との連携が進んでいるので、定額分以上の請求はなくなりました。
「世界そのままギガ」は、出発前に開始日と終了日を申込んで契約します。
通信料を節約したいなら、旅行日程から「世界そのままギガ」を契約しておけば、国内で契約しているモバイルデータ通信量を海外でも流用できます。
「世界そのままギガ」は、データ通信量が増えるわけではありません。
通信料というよりは、旅行期間中の仲介手数料のような感じですね。
2. 現地のSIMを契約する
ちなみに、「ローミング」ではなく、直接 現地の通信事業者のSIMを利用する方法もあります。
この場合は、「プリペイドSIM」を購入し、短期間で使うための通信契約をするのが一般的です。
購入したSIMカードを、既存のSIMカード(国内用)と入れ替えます。
あとは、アクセスポイントの設定ができれば、モバイルデータ通信ができます。
ただし、自分の電話番号の情報はSIMにないので、電話・SMSには使えません。
ちょっと設定が必要ですが、一般的にはローミングより安く利用できます。
最近は、物理的なSIMカードはなく、eSIMという電子情報だけで認証するものもあります。
3. もとから海外利用に対応したプランもある(ahamoの場合)
ドコモのオンラインブランド「ahamo」では、違った契約内容です。
電話・SMSは、申込みなしで標準で海外利用できます。
料金はドコモ同様で、国際通話の料金です3。
はじめから「国際ローミング契約」になっているんだね。
インターネット通信は、申込み不要なだけでなく追加料金もありません。
ただし、対象地域がほかのドコモの国際サービスとは異なります。
「データローミング」をオンにすれば、そのまま国内と同じようにモバイルデータ通信が利用できます。
追加料金不要で、海外91の国・地域でデータ通信が利用になれます。
日本人の渡航先約98%のエリアをカバーしています。ahamoの海外データ通信サービスの対応エリアは、他のドコモの国際サービスとは異なります。
申込み:不要
20GBの月間利用可能データ量で、追加料金なく利用可能渡航先でデータ通信を使うときに、スマートフォンの「データローミング」を「オン」に設定してください。
海外データ通信 | サービス | ahamo
エリアは違うけど、ちょうど手続きや追加料金なしで「世界そのままギガ」が利用できる感じなんだね。
便利だなぁ。
ahamoの場合は、できたのが高速通信が一般的になってからで、なるべくオプション契約を少なくする方針だからなんでしょうね。