よく「IPアドレスはインターネットの世界の住所」という言い方をするけど、どういうこと。
IPアドレスは、「データの宛先」という意味では住所に似ています。
しかし、住所と違ってインターネット接続のたびに毎回変わる点にも注意が必要です。
1. インターネットの世界での「住所」とは言うものの
インターネットにつながっているパソコンやスマートフォンには、それぞれ「IPアドレス」があります。
例えば、「192.168.1.1
」のような数字の並びによって、インターネットの世界で、あなたのデバイスがどこにあるのかを示しています。
IPアドレスは、手紙の宛先と同じように、一つ一つが違う必要があります。
同じ住所の家が2軒あると、郵便配達員が困ってしまうのと同じです。
1-1. 「インターネット通信のお約束」(IP)
「Internet Protocol(IP)」は、インターネット上でデータを送受信するための基本的な通信規約です。
IPは、データをパケットに分割し、送信元から宛先までの最適な経路を選択して転送する役割を担います。
現在はIPv4とIPv6の2つのバージョンが存在し、インターネットの基盤技術として広く使用されています。
2. IPアドレスはころころ変わる(動的IPアドレス)
IPアドレスには、2種類あります。
- 動的IPアドレス
- 静的IPアドレス
多くの家庭では、動的IPアドレスが使われています。
これは、「プロバイダ(インターネット接続サービスを提供している会社)」が、インターネットに接続する都度割り当ててくれます。
2-1. 数字の住所を覚えなくてよい工夫(ドメイン名)
反対に、会社や大きな組織では、静的IPアドレスを使うことが多いです。
ただし、この数字の並びを覚えるのは大変です。
そこで、「www.example.com
」のような、文字を使った名前が使われています。
これを「ドメイン名」といいます。
これは、ドメイン名とIPアドレスを結びつけてくれている電話帳のようなものがあるからです。
それが「DNSサーバー」です。
ウェブサイトを見るときに使う「https://www.example.com
」のような文字列を「URL」と呼びます。
これは、インターネットの世界での「詳しい住所」です。
- 「
https://
」の部分は、どのようにそのサイトにアクセスするかを示しています。 - 「
www.example.com
」の部分は、ドメイン名です。 - そして、それに続く部分は、そのサイトの中のどの場所を見たいのかを示しています。
2-2. インターネットをつなぐ会社の役割(プロバイダ)
インターネットをつなぐ会社(プロバイダ)は、あなたのパソコンやスマートフォンをインターネットにつなげる手伝いをしています。
パソコンやスマホに「動的IPアドレス」を割り当てたり、接続先に誘導する「DNSサーバー」を提供したりする役割があります。
毎月のインターネット通信料に合算されている場合もありますが、そのうちのだいたい500円/月ぐらいがプロバイダ利用料です。
3. ローカルIPアドレス(ルーター)
ところで、スマートフォンやパソコンのIPアドレスには、もう一つあります。
「ローカルIPアドレス」と「グローバルIPアドレス」の区別です。
ルーターは、ローカルネットワークとインターネットをつなぐ橋渡し役を果たします。
「ローカルネットワーク」は、家庭や小さなオフィスなど、限られた範囲内でつながっているコンピューターやデバイスの集まりのことです。
例えば、自宅のWi-Fiにつながっているパソコンやスマートフォン、プリンターなどはローカルネットワークを形成しています。
ローカルネットワーク内のデバイスには、特別なIPアドレスが割り当てられます。
これらのアドレスは、インターネット全体で使われるIPアドレスとは異なり、ローカルネットワーク内でのみ通用する「内側」のアドレスです。
例えば、よく使われるローカルネットワークのIPアドレスは、「192.168.0.1
」から「192.168.255.255
」。
- 192.168.0.1 から 192.168.255.255
- 172.16.0.1 から 172.31.255.255
- 10.0.0.1 から 10.255.255.255
これらのアドレスは、ローカルネットワーク内で使うため、インターネット上では使用されない約束になっています。
3-1. ネットワークアドレス変換(NAT)
ローカルIPアドレスは、インターネットに直接接続するためには使われません。
その変わり、ルーターは、パソコンなどのローカルIPアドレスを、ルーターのグローバルIPアドレスに置き換えます。
この過程を「NAT(Network Address Translation)」と呼びます。
ウェブサイトからの応答が、ルーターのグローバルIPアドレスに返って来ると、受け取った応答をもとのパソコンのローカルIPアドレスに戻して転送します。
ウェブサイトからすると、「ルーターの方から来た」とか「プロバイダの方から来た」という感じなのかな。