ワイモバイルの電波ってdocomo、SoftBank、auとかと電波の強さは変わらないんですか?
「ワイモバイル」は、ソフトバンクの回線を利用しています。
ですので、「ソフトバンクと同じ電波強度」と言えます。
1. ワイモバイル・楽天モバイル・イオンモバイルの違い
この疑問は、「ワイモバイル」に似た名前の「楽天モバイル」「イオンモバイル」などからの類推だと思います。
実は、この 3つはどれも仕組みが微妙に異なります。
- ワイモバイル:サブブランド
- 楽天モバイル:MNO
- イオンモバイル:MVNO
「楽天モバイル」の場合は独自の回線を使っています(MNO)。
そのため、他の大手キャリアに比べて電波の弱いエリアがあります。
「イオンモバイル」などは「MVNO」です。
大手キャリアの通信インフラを借りているので、そのキャリアと同じ電波強度になります。
ただし、通信速度ではキャリアよりも遅くなることがあります。
混雑時に「後回し」になることが多いからです(優先されない)。
一方、「ワイモバイル」は、ソフトバンクの「サブブランド」です。
通信エリア(つまり、電波強度)も通信速度も、基本的にはソフトバンクと同等です。
2. サブブランドMVNO
サブブランドって何?
MVNOとどう違うの?
まず、通信事業者には、MNOとMVNOの区別があります。
代表的なMNO | 代表的なMVNO |
---|---|
ドコモ au ソフトバンク 楽天モバイル | OCNモバイル J:COMモバイル mineo イオンモバイル など |
- MNOは「大手キャリア」とも呼ばれ、通信インフラを保有する通信事業者のことです。
- MVNOは、大手キャリアから回線を借りてサービスを提供する通信事業者のことです。
多くは、通信料金が安くなるため「格安SIM」とも呼ばれます。
MNO(Mobile Network Operator:移動体通信事業者)
MVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)
「MVNO」は、「モバイル端末の通信インフラは持っていないけれど、通信事業者のようにサービス提供できる」ことから、「仮想(Virtual)」という形容詞がついています。
2-1. MVNOの通信速度が遅くなる(ことがある)理由
通信においての、MVNOのメリットは提携している通信事業者の回線をそのまま利用できることです。
つまり、通信エリアや電波強度は提携しているキャリアと同じです。
(通信システムの障害の影響も同様に受けます)
MVNOのデメリットは、他社の回線を安く借りている条件で、回線混雑時に低速になる場合があることです(例えば、昼時や通勤時間帯、夜間など)。
MNOの利用者の方が優先されるからです。
通信速度と電波強度は違うんだね。
電波強度としてはしっかりつながっていても、通信が混み合って速度が遅くなることがあるわけです。
3. 格安SIMだけどMNO
一方、「ワイモバイル」の場合は、「格安SIM」のようなサービスを提供していますが、ソフトバンクの自社回線を使う「MNO」です。
つまり、「MNOであり、格安SIMでもあり」というわけです。
このようなサービスを「サブブランド」と言います。
「格安SIM」や「格安スマホ」と呼ばれるおトクなサービスを提供しているワイモバイルは、自社で回線を保有している「MNO」であり、「MVNO」ではありません。(…)
サポートが充実しているスマホサービスを探している方には、ソフトバンクのサブブランドである「ワイモバイル」がおすすめです。
ワイモバイルは、ソフトバンクの自社回線を利用したMNOです。(…)お昼時や通勤時間帯などの回線混雑時も大手キャリアと同じ安定した速度で快適な適通信が可能になるといったメリットがあります。
MVNOとは?メリットや注意点を分かりやすく解説! | Y!mobile – 格安SIM・スマホはワイモバイルで
4. どうしてソフトバンクに「ワイモバイル」があるの?
ソフトバンクに、「ワイモバイル」というサブブランドが存在しているのは、独特の経緯があります。
「ワイモバイル」は、ルーツには「イー・モバイル」があります。
「イー・モバイル」は、イー・アクセス株式会社の携帯サービスでした。
イー・アクセスは、2013年1月にソフトバンクの子会社になります。
その後、2014年6月に株式会社ウィルコム(PHPサービスを提供していた)を吸収合併し、同年7月に社名を「ワイモバイル株式会社」に変えました。
さらに同年8月に「Y!mobile」としてイー・モバイルとウィルコムの両ブランドが統合されます。
ワイモバイル社は2015年4月、ソフトバンクモバイルに吸収合併され、今のソフトバンクへと続いています。
ただ、「Y!mobile」のサービスは、そのままソフトバンクに引き継がれ、「SoftBank」とは別の「サブブランド」として併存することになりました。
4-1. ワイモバイルの通信ネットワーク
「ワイモバイル」の通信ネットワークは、
- 旧ウィルコムのPHS(2023年3月にサービス終了)
- 旧イーモバイルの3G・LTE回線(1.7GHz帯)
- 旧ソフトバンクモバイル(日本テレコム由来:5GHz帯1)の回線
- Wireless City Planning社(ソフトバンクグループ傘下)の回線
で構成されます2。
要は、ソフトバンクは複数の携帯電話ネットワークを所有しているのです。
もともとは別々の企業として回線を作っていたから、簡単に一つにできるものでもないんだね。
ちなみに、回線ネットワークの所有には、基地局の設置場所の確保の意味もあります。
例えば、PHSのサービス終了で、その場所は5Gで転用されています3。
つまり、これらの「垣根」は基地局の改修とともに徐々に消えていきそうです。
(補足)
- 日本テレコム、次世代移動体通信システム向けの5GHz帯実験用無線局免許を取得 | ニュース | ソフトバンク
- Y!mobile – Wikipedia
- 22周年…消えゆくPHS 今後は5G基地局に応用(1/2ページ) – イザ! (2017/7/1)