- iPhoneのデータ保存は、端末内(ローカル)とクラウドの2つの場所を使い分けています。
- アプリによって保存方法が異なり、LINEのトークは端末のみ、iCloud写真はクラウド優先、メールはアカウントベースで管理されています。
- 自動的に端末の容量を効率的に使いながら必要なデータにアクセスできる仕組みですが、ユーザーが意識しにくいため間違って削除する要因にもなっています。
1. 保存場所が複雑でデータを消すのが怖い
iPhoneのデータは、保存場所を正しく把握していないと、「コピーが残っている」と勘違いして完全に削除してしまうことがあります。

素朴な印象では「データはiPhone内に保存され、それがオンライン上にコピーされている」と考えがちですが、そうとは限りません。
端末内にしか保存されていないデータ(例えば、LINEのトーク)もあれば、オンライン上で一括管理されて「同期」しているデータ(例えば、iCloud写真)、オンライン上のデータを閲覧している一時データ(キャッシュ)などの違いがあります。

iPhoneでは、ローカルとクラウドを別々に利用するのでは、継ぎ目なく使い分けています。
端末の容量を節約しながら、必要なときにデータにアクセスできる仕組みが用意されているのです。
1-1. 端末内(ローカル)保存の仕組み
iPhoneの中にも、2種類のデータ保存領域があります。
- 1つ目は「アプリごとのデータ領域」。
カメラ、写真、カレンダー、連絡先、Instagram、LINEなど、各アプリが独自に使用する領域です。 - 2つ目は「共通のデータ領域」で、複数のアプリが共有して使用できます。
ただし、アクセスには利用者の許可が必要です。
1-2. オンラインサービス(クラウド)での保存
iPhoneでは、データを端末の外にも保存しています。
iPhoneにとって一番重要なクラウドサービスは iCloudです。
しかし、iCloud以外にも、iPhoneを使っているとさまざまなオンラインサービスにデータを保存しています。
クラウドサービスを使う利点は、
データをクラウド上に安全に保存し、必要なときにアクセスできます。
また、端末の容量を節約することもできます。
- iCloud(Apple):
メール、カレンダー、連絡先、写真、バックアップなどの保存に対応しています。 - Google One:
Gmail、Googleカレンダー、連絡先、Googleフォト、Googleドライブなどのサービスが利用できます。 - OneDrive(Microsoft):
パソコンと連携したファイル管理や Outlookメール、カレンダー、写真の保存に対応しています。
2. ローカルとクラウドの自動的な使い分け
ただし、iPhoneのアプリは、ローカルとクラウドは利用者が意識しないうちに使い分けています。
- LINE
- 写真ライブラリとiCloud写真
- メールやカレンダー
を例に見てみましょう。
2-1. InstagramなどのSNSアプリ
Instagramは、スマートフォンだけでなくパソコンでもアクセスできるオンラインサービスです。
基本的にはデータはオンライン上に保存されています。
- 投稿した写真・動画はInstagramのサーバーに保存され、アプリからアクセスします
- フォロー、フォロワーなど関係もサーバー上に記録されます。
- Instagramの投稿を「保存」する機能も、クラウド上のブックマークとしてサーバー上に記録されています
しかし、Instagramアプリ(ローカル)にも一部のデータが保存されています。
- アプリ内の設定、キャッシュされた画像、一時的なデータは端末に保存されます
- ログイン情報や個人設定は端末に保存され、クラウド上のアカウント情報と紐付けられます
2-2. LINEは特殊なSNSアプリ
ただし、LINEアプリにはちょっと「特殊」な事情があります。
「トークルーム内のメッセージをサーバーでは保管しない」のです。
LINEのサービス設計には、SMSの仕組みを踏襲した部分があり、メッセージの配送はするものの保管はしないことになっています。
LINEサーバーに記録されるのは、友だちリストやスタンプの購入履歴。
LINE VOOM投稿や、トークルームに投稿したノート・共有アルバムなどです。
トーク履歴は除外されているため、やり取りしたメッセージはLINEアプリ内(ローカル)にしかありません。
バックアップせずに削除してしまうと元に戻せません。
![LINEをバックアップしてから再インストールする【トーク履歴の復元】[iPhone]](https://chiilabo.com/wp-content/uploads/2021/05/image-1-1024x576.jpg.webp)

![[LINE] レターシーリングはどんなセキュリティなの?(共通鍵交換と暗号化)](https://chiilabo.com/wp-content/uploads/2024/03/image-11-7-1024x576.jpg.webp)
2-3. 写真ライブラリとiCloud写真の関係
iPhoneの「写真」も保存場所の注意が必要なデータです。
「iCloud写真」機能の有効・無効によって、保存場所の考え方が大きく変わるからです。
iCloud写真が無効の場合は、写真は完全なローカル管理です。
これは、直感的にわかりやすいです。
- カメラで撮影した写真やそのほかのアプリで保存した画像は、すべて端末内の「写真ライブラリ」に保存されます。
- 端末内の「写真」アプリで表示・管理します。
- 端末の容量を大量に使用しますが、インターネット接続なしでもすべての写真にアクセスできます
- 写真は端末内だけに存在するので、削除すると完全に失われる可能性があります
- パソコンに接続してiTunesやFinderで手動バックアップを取ります。

「写真アプリの中」ではなく、「写真ライブラリ」という別の領域がある点には注意が必要です。
ところが、通常は iCloud写真が有効になっています。
すると保存の仕方は大きく変わります。
- 写真の「正式な保存先」はiCloudになります(重要!)
- 端末で撮影した写真は自動的にiCloudにアップロードされます
- iCloudにアップロードされた写真は、他のAppleデバイスでも閲覧できます
- 端末の容量が少なくなると、オリジナルの高解像度データはiCloudに保存され、端末には最適化された軽いデータのみが残ります
- 写真を削除すると、端末とiCloud両方から削除されます
iCloud写真を有効にした場合、iPhoneのローカルの写真データは実質的に一時的な表示用データ(キャッシュ)として機能しているのです。


2-4. メールとカレンダーの同期の仕組み(アカウントベース)
メールや連絡先、カレンダーもオンラインサービスと密接に関わっています。
これらのデータは仕事をする上でとくに重要です。
どのパソコン・スマホで同じように作業できるように、サーバー上でアカウントベースで管理するのが一般的になっています。
- iPhoneの設定の「アカウント」でiCloudメール/Gmailなどを追加すると、サーバー上のメールが端末に同期されるようになります。
- それだけでなく、連絡先やカレンダーの予定も同様に、クラウド上のデータと同期されるようになります(設定でオフにもできる)
- オフライン時でも過去のメールや予定を見られるよう、一部のデータは端末にキャッシュとして保存されます
- インターネットに接続すると、自動的に最新の状態に更新されます

メールだけでなく、連絡先やカレンダー情報もアカウントに紐づけて管理されている点に注意が必要です。
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