- クーポンや割引によってGoogleのクチコミを集めるのは、「虚偽」や「ステマ」とみなされるリスクがあります。
- Googleクチコミでは、インセンティブを付けてクチコミを求める行為を禁止しているからです。
- お店の宣伝のために書かれたクチコミが増えると、Googleクチコミ全体の信頼性も下がってしまうため、このような規制があります。
SNSフォローとかなら割引キャンペーンは一般的なのに……。
クチコミではダメなんだね。
結構うっかりやってしまいそうなので、気をつけてルールを確認しないといけませんね。
1. どうしてGoogleクチコミにクーポンなどを出してはダメなの?
Googleのクチコミに対して、クーポンや割引などのインセンティブを提供して投稿を促す店舗が多いです。
しかし、これは大きな問題があります。
えー。
「SNS登録やアプリのインストールで割引」とかと同じじゃないの?
たとえば、下記のようなクチコミ依頼はGoogleのポリシー違反に抵触する可能性があります1。
ポリシーに違反すれば、Googleマップでの表示順位が下がったり、最悪 Googleビジネスプロフィールのアカウントが停止される可能性もあります。
もちろん、対価なしの「お願い」なら大丈夫。
クチコミをする・しないは本人次第だからです。
2. 「虚偽のエンゲージメント」とは?
これって内容が実体験でもダメなの?
たとえ実際の利用者のクチコミ投稿でも、インセンティブを付けてしまうと「虚偽のエンゲージメント」に含まれてしまいます。
Googleのポリシーでは、はっきりそう書かれているんです。
基本的には、「虚偽のエンゲージメント(Fake engagement)」では、お店の実際の体験に基づかない不自然なクチコミを集めることを禁止しています。
しかし、お客さんの投稿なら問題ないかというとそうではありません。
報酬と引き換えにクチコミを書くよう促すのも、ポリシーで明確に禁止されている行為だからです。
虚偽のエンゲージメント
Google マップに投稿するコンテンツは、お店や場所での実体験に基づいている必要があります。虚偽のエンゲージメントは許可されておらず、削除されます。
該当するものは次のとおりです。
禁止および制限されているコンテンツ – マップユーザーの投稿コンテンツに関するポリシー ヘルプ
- 実体験に基づいていないコンテンツの投稿に対して報酬を支払う、またはそのような投稿を促す行為。
- 否定的なクチコミの投稿を妨げたり禁止したりする行為や、肯定的なクチコミを顧客から募る行為。
- 実体験に基づいておらず、対象の場所や商品を正確に明記していないコンテンツ。
- 企業が割引、無料の商品やサービスと引き換えに投稿を促したコンテンツ。料金の割引、商品やサービスの無償提供などのインセンティブと引き換えに、否定的なクチコミの修正または削除を依頼する行為も含まれます。
- 企業や商品の評判を傷つけるために競合他社が投稿したコンテンツ。
- 場所の評価を操作するために複数のアカウントから投稿されたコンテンツ。
- エミュレータその他のデバイス上でのサービス改ざん、改変されたオペレーティング システム、またはその他の手段を使って、実際のエンゲージメントを模倣したり、センサーのデータもしくは分析結果を操作したりするなど、通常の運営を妨害もしくは混乱させるために投稿されたコンテンツ。
「インセンティブ」がある時点で、評価が捻じ曲げられがちだからなんでしょうね。
あくまで本人の自発的なクチコミであることを重視しているみたいです。
もちろん、クチコミだけを見て不自然と断定することはないでしょう。
しかし、とくに店頭POP・ホームページ・SNSなどでクチコミのキャンペーンを告知するのはかなりリスクがあることがわかります。
3. クチコミを歪めるステマ行為
お店が特典と引き換えにクチコミを集めると、お客さんの率直な感想ではなく、お店に都合の良い内容の投稿が増えてしまいます。
実際の評判より良く見せかけた評価になり、他のお客さんが適切なお店選びをする妨げになります。
特に、2023年10月から、景品表示法の規制対象に「ステルスマーケティング(ステマ)」が追加されました2。
お店がクーポンなどの見返りを条件に宣伝目的でクチコミを依頼するのは、ステマに該当するリスクがあるのです。
景品表示法で規制されるのは、広告であって、一般消費者が広告であることを分からないものです。
令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。 | 消費者庁
※広告には、企業がインフルエンサー等の第三者に依頼・指示するものも含まれます。
クチコミキャンペーンって、ステマになっちゃうの?
全然そんな認識じゃなかったよー。
実際には微妙な問題だとも思います。
ただ、そもそもお店がクチコミ依頼するのは「広告効果」を期待して、ですよね。
広告主を隠して広告を出すなら、つまり「ステルスマーケティング」とみなされても仕方がないのかもしれません。
4. どうして店舗はクチコミを集めるのか?
このような問題が起きやすいは、他の店舗がクーポンで集客しているのを見て、自分の店も同じようにしないと顧客に選んでもらえないのではという焦りが背景にあるのかもしれません。
昔と比べ、今はインターネットで手軽にクチコミを見られるので、新規客獲得にクチコミが与える影響力が非常に大きくなっています。
そこで、SNSのフォローなどと同じ感覚で「クチコミキャンペーン」を計画してしまうのです。
また、Googleのガイドラインをよく理解していなかったり、ステマ規制の法改正を知らなかったりするために、問題だと気づかずにインセンティブ付きのクチコミ依頼をしてしまうケースがあるのだと思います。
クチコミを得るには地道な努力が必要ですが、お客さんとの信頼関係を築きながら、自然な形でクチコミが集まるよう努力することが大切だと考えます。
お店をするなら気をつけないとね。
(補足)
- この様なGoogleクチコミの運用方法はマイビジネスのポリシーに違反するのでしょうか?? – Google ビジネス プロフィール コミュニティ
- 令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。 | 消費者庁