古いノートパソコンを処分しようと思います。業者引き取りの場合、安全にデータ破壊してもらうには一台ごとに数千円の作業料がかかるそうです。複数台あるので、大きな出費です。
そもそも「安全なデータ破壊」は、どうして必要なのでしょうか?
水に浸けて処分するのではダメですか?
基本的には、スマホもパソコンも水没してしまうと、データが読み取れなくなります。
確かに意図的に水没させることでデータ破壊することは可能です。
ただし、水没には不確実な点があります。
最近の Windows なら、標準機能でも完全なデータ消去が選択できます。
水没してもデータ復旧できるかも……
水没させてデータを破壊したい場合には、パソコンが起動できない状態でも、データを取り出すことが(技術的に)可能な場合があることを理解しておくことが大切です。
いくつかのパソコン修理業者のメニューにも、「水没からの復旧」があることからもわかります。
● 水没診断 5,500円
料金/価格表|パソコン修理パソコンドック24
※原状回復不可でも費用は発生します(分解作業を含みます)。
● 水没診断と洗浄 19,800円
内部の洗浄を行います。交換パーツ料金は別途となります。

通常は、うっかり水没してデータ復旧に困る、というケースの方が多いです。
内部のディスクを物理的に破壊するなら、分解して壊したほうがスマートですが、難しい場合は水没も選択肢になるとは思います。
もちろん、水没させた時間や通電状況、機械の防水性能によっても、結果は変わります。
例えば、パソコン内のドライブが、ハードディスク(HDD)の場合は、水没させるだけでは磁気ディスクのデータがそのままの場合があります。ディスク読み取り部は、故障してしまっても、ディスクを付け替えることで、データを読み出すことができてしまうことがあります。
水没からのデータ復旧は手間がかかる
ただし、このような水没したパソコンの復旧作業はとても大掛かりで、手間がかかります。
(だいたい、復旧作業には数万円の費用がかかることからも、作業の大変さがわかりますね)。
専門的な技術者が半日以上かけて作業する必要があります。
よほど価値のある情報がディスクに保存されているとわかっていないかぎり、わざわざ復旧するのは「割に合わない」はずです。
したがって、実際的には 十分時間をかけて水没させて、起動できないことを確認すれば、「データ」は読み取れなくなったことになります。

大企業の機密情報があったり、犯罪捜査のため、などの理由がなければ、わざわざ復旧することは、まずありません。
ちなみに、パソコンは、真水よりも塩や砂糖を含んだ水に浸かってしまった場合のほうが、より復旧が困難になります。
パソコンに水以外の液体をこぼした場合、復旧できる可能性は水よりも低くなるといわれています。なぜなら、飲み物には水分だけではなく糖分(砂糖)や塩分等の成分が含まれているため。乾いた布などで飲み物の水分を拭き取り、パソコン内部の乾燥を十分に行ったとしても、糖分(砂糖)や塩分は取り除ききれないことがあるのです。
パソコンに水をこぼした・濡れた・水没した時の対処法を紹介! | パソコン修理・サポートのドクター・ホームネットがお届けするコラム
本来は、水没による故障を避けるための知識ですが、反対にデータにアクセスさせない場合にも応用できるわけですね。
バッテリーは外す
ただし、パソコンの部品の中でも、特にバッテリーについては注意が必要です。
リチウムイオンバッテリーのリチウムは(少量ですが)、水と反応することで、発火などの恐れがあるからです。
とはいえ、バッテリーは密閉されているので、水につけてもすぐに発火や爆発することはほとんどありません。
ただし、問題なのはその後。水没したバッテリーをそのまま利用すればかなり危険です。内部でショートしていると、過剰な電流が流れてしまうからです。こちらの方が、発火原因になります。
バッテリーは外しておきましょう。
ゼロクリアの方がスマート
ちなみに、リサイクルを考えると、物理的に破壊するより、データを完全にゼロに書き換える(ゼロクリア)ことの方が望ましいです。
通常のファイル削除では効率化のために、データの痕跡が残ってしまいます。
しかし、ディスクすべて順番に0で上書きしていけば、痕跡は残らなくなります。
データ抹消用プログラムは、だいたい 3000円〜5000円で市販されていますが、無料のプログラムを利用する選択肢もあります。
これは業者による作業でも、市販のソフトでも、仕組みはまったく一緒です。
Windowsの初期化機能
Windowsでは標準機能にディスクの削除がありますし、それ以前のパソコンでも(英語など)やや専門的になりますが、フリーで公開されているものもあります。
「設定」から[更新とセキュリティ]→[回復]→[このPCを初期状態に戻す]→[開始する]→[すべて削除する] から対象ディスクを消去できます。
「ドライブを完全にクリーンアップする」を選択すると、「ファイルの削除のみ行う」と同様に削除されますが、簡単に回復できないように完全に削除されます。
Windows 8.1にも初期化機能はあります。
[設定]を開き、[PC 設定の変更]ー[保守と管理] から、[回復] を選択する。
[すべてを削除して Windows を再インストールする] で、[作業の開始] を選択する。
データをすばやく消去するか完全に消去するかを選ぶように求めるメッセージが表示されます。 データをすばやく消去することにした場合、特殊なソフトウェアを使って一部のデータを回復できる可能性があります。 データを完全に消去することにした場合、かかる時間は長くなりますが、データが回復される可能性は低くなります。
Windows 8.1 PC を更新、リセット、または復元する方法
オープンソースのDisk Wipe
オープンソースのデータ抹消プログラムには、「Disk Wipe」などがあります。

Disk Wipeは、ボリューム データを永続的に破壊するための無料の移植可能な Windows アプリケーションです。(…)
Disk Wipe は、EULA ライセンスの下でフリーウェアとしてリリースされています。ディスク ワイプは、制限なしで、個人または商用の使用に無料です。ディスク ワイプには、アドウェアやマルウェアは含まれていません。
Disk Wipe – Free software

無料ソフトの場合は、ウイルスなどが含まれていないか注意が必要です。
「オープンソース(設計図が公開されている)」のプログラムを選択するのが比較的 安全です。
【まとめ】データ抹消の仕組みを理解することが大事
データ抹消には、いくつか選択肢があります。
・楽な方法:信頼できる回収業者に依頼する
・簡単な方法:水没などディスクを物理的に破壊する
・やや知識があれば:データ抹消プログラムを利用する
パソコンの知識があれば、通常はデータ抹消の方法を選択します。
しかし、ディスク内のデータは目に見えません。物理的に破壊したほうが原始的でわかりやすいかもしれませんね。
ただし、水没させたパソコンだと、業者によっては回収に難色を示されることも考えられます。資源として再利用・換金できないからです。ゴミとして処分するしかありません。

人・立場によって重視する観点が違うのだと思います。
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