- Google AdSenseがCPCからCPMへ報酬体系を変更しました。
- 特に、ニュースサイトやSNSプラットフォームなどに収益増のチャンスがある一方、従来のCPCモデルで収益を上げていた商品レビューや比較サイト、特化型ブログなどは悪影響を受ける可能性も。
- また、ページビューを増やすために、過度に煽るような質の低い情報(とくにタイトル詐欺など)が増える懸念もあります。
Google AdSenseのルール変更が、インターネット上の情報にどんな影響を与えるのかな?
1. Google AdSenseの報酬体系変更
Google AdSenseは、これまでの「クリック単価(CPC)」中心の報酬体系から、「インプレッション単価(CPM)」中心へと大きく変わりました。
この変更は、サイト運営者にとっても、閲覧者にとっても大きな影響を与える可能性があります。
Google AdSenseは、ウェブサイトやブログにGoogleの広告を掲載し、収益を得ることができるプログラムです。
これまでの主な報酬方法は、訪問者が広告をクリックすることによって得られるCPCでした。
1-1. クリック単価(CPC)からインプレッション単価(CPM)へ
新しい体系では、広告が表示されるだけで報酬が発生する「CPM」が中心となります。
訪問者のクリックを必要とせず、サイトのPV数が報酬に直結するようになりました。
基準 | CPC (クリック単価) | CPM (インプレッション単価) |
---|---|---|
意味 | 広告がクリックされるたびに発生する費用 | 広告が1000回表示されるたびに発生する費用 |
報酬発生の条件 | 広告をクリックした実際のアクション | 広告が表示される回数(特にクリック不要) |
比喩 | チラシを見せて店に呼び込む必要がある | 看板が人々に見られるだけで良い |
キャッチが多い繁華街って怖いイメージだし、CPCよりCPMの方が、なんか治安が良さそうだね。
2. CPM化による有利・不利
このようなルール変更は、どのような影響があるのでしょう?
- ページビューが多いがクリックされにくかったサイトは、CPMモデルによって収益が増加する可能性があります。
- 一方、広告クリックに依存していたサイトでは、ページビューが少ない場合、収益が落ち込む可能性があります。
before (CPCモデルで有利) | after (CPMモデルで有利) |
---|---|
商品レビューや比較サイト 特化型ブログ | 一般ニュースサイト SNSプラットフォーム |
2-1. CPMモデルで有利になるサイト例
- 一般ニュース、エンターテイメント、天気予報
日々大量のページビューを獲得しますが、ユーザーは情報を読むことに集中し、広告をクリックすることが少ないかもしれません。 - SNSプラットフォーム(画像共有、動画配信、フォーラム)
ユーザーがコンテンツを消費する時間が長いため、広告の露出回数が増え、表示されるだけで収益が発生します。
うーん……。
全体的に個人や小規模サイトよりも大規模サイトやサービスを優遇していく、という流れだね。
2-2. CPMモデルで不利になるサイト例
CPCモデルで有利だったサイトが、不利になるケースもあります。
- 商品レビューや比較サイト
ユーザーが具体的な製品やサービスについての情報を求めて訪れるため、広告クリック率が高くなりがちです。 - 特化型ブログ(例:カメラ、料理、ガーデニング)
特定の趣味や興味に関連する製品の広告が配置されるため、関心の高いユーザーによるクリックが期待できました。
もともと、こういうサイトの収益は、AdSenseよりアフィリエイトの方が比重が大きそうだけどね。
2-3. CPMの仕組みに「適応」するには?
このルールで収益を増やすには、表示数を増やすか、単価を増やすか。
基本的には、表示数を増やす、つまり求められる「情報」を増やすことが王道でしょう。
また、サイトの訪問者が自然と長く滞在するような工夫も重要。
- 記事数を増やす:
サイトのコンテンツ量を増やすことで、より多くのページビューを獲得できます。 - 内部リンクで回遊率を上げる:
サイト内の滞在時間とページビューを増やすことが、CPMの向上につながります。 - 広告の配置を工夫する:
ユーザー体験を損なわずに、広告の視認性を高める配置を心がけましょう。
広告単価の方は、広告主の入札という外部要因によります。
ただし、サイトのジャンル選択によって、ある程度は関与できます。
- ジャンルを絞る:
特定のターゲットにフォーカスすることで、高単価の広告が集まりやすくなります。 - 競合が多いジャンルを選ぶ:
広告主の競争が激しいジャンルでは、高いCPMが期待できます。
3. なぜGoogleはCPMへと移行したの
GoogleがCPC(クリック単価)からCPM(インプレッション単価)へ報酬体系を移行した背景には、いろんな理由が考えられます。
- 「質の高い」コンテンツを重視・評価する
- 認知度アップのための広告施策を反映する
3-1. 読まれるサイトが優遇される
Googleの検索エンジンは、長年にわたって「ユーザーエクスペリエンス」を重視する姿勢を見せています。
ユーザーにとって「価値のある」「質の高い」コンテンツを提供するサイトを優遇する傾向があります。
とくに、最近のGoogleの検索ランク付けでは、単にコンテンツの量やキーワードの最適化だけでなく、ユーザーエンゲージメントが重要な指標とされています(例えば、ページ滞在時間、ページビュー数、バウンス率など)。
CPMモデルもその延長線上に捉えることができます。
CPCモデルでは、ユーザーが広告をクリックすることが収益化の直接的な手段でした。
なりふり構わない広告の押し付けは、ユーザーからすると鬱陶しいです。
一方、CPMモデルでは、ユーザーがページに滞在している間に表示される広告が収益につながります。
サイト運営者は、広告クリックではなく、ユーザーをページに長く留めることを意識するようになります。
ページに長く留めるためには、続きが気になる面白さが大事だよね。
でも、「引っ張る構成」が増えるかも……。
3-2. 認知向上のための広告もある
もう一つは、クリックさせるタイプの広告が、広告主にとって最善とも限らないことです。
インターネット上の広告形式は多様化しており、すべての広告がクリックを目的としているわけではありません。
ブランド認知度向上や製品の紹介など、表示されるだけで価値がある広告も多く存在します。
CPMモデルは、このような広告戦略にも対応しやすいです。
CPMモデルだと、こういう認知のための広告は評価されなかったんたね。
費用は発生しないけど、表示もされにくく調整されるから、広告効果を上げにくい。
4. インターネットの情報空間への影響
ただし、CPCからCPMへの移行がバラ色の未来を作り出すわけではありません。
コンテンツの質の向上や網羅的な情報の提供といった「方向づけ」には、
- ユーザーが本当に必要とする情報を見つけにくくなる、
- 特定の興味・趣味の情報が減少する
というデメリットも考えられます。
ページビューに基づく報酬モデルは、大手サイトがさらに優位に立つ一方で、小規模サイトやニッチな分野を扱うサイトの収益化が困難になるかもしれません。
影響内容 | ユーザーへのメリット | ユーザーへのデメリット |
---|---|---|
クリックを促さないが 多くのページビューを生む コンテンツ増加 | 有益で網羅的な情報が提供される | 小規模サイトの収益化困難 情報の多様性が減る |
広告配置の最適化 | 読みやすいサイト構造 | 過剰な広告表示によるページ速度の低下 |
長期的な情報エコシステムにおいては、どのようにバランスが取られるかが鍵ですね。
4-1. 懸念される副作用、「ハック」
また、新しいルールを「ハック」するサイトも出てくるでしょう。
- 過剰な広告表示:
報酬をインプレッション数に基づくモデルに変更すると、サイト運営者が収益を増やすために広告の量を不適切に増やすことが懸念されます。 - クリックベイトや質の低いコンテンツの増加:
ページビューを増やすことに焦点を当てると、実質的な価値が低いが興味を引くタイトルやコンテンツが増加する恐れがあります。 - ページビューを優先する内容の乱造:
コンテンツの量を増やすことだけに注力すると、実際にはユーザーにとって有益でない情報が溢れかえることになり、インターネット全体の情報の質が低下する恐れがあります。
うーん、なかなか「銀の弾丸」はないね。