- Windowsでは主にNTFSファイルシステムが使われており、ファイルやフォルダごとに細かくアクセス権限を設定できます。
- 「アクセスが拒否されました」エラーは主に権限の問題が原因で、所有権の取得やアクセス権限の変更で解決できます。
- レジストリはWindowsの設定情報を保存するデータベースで、編集には細心の注意が必要です。

ファイルやフォルダを開こうとしたとき、または削除しようとしたときに「アクセスが拒否されました」というメッセージが表示されて困った経験はありませんか?
このエラーは非常によく見られるもので、今日はこのエラーの仕組みを理解するために、Windowsのファイルシステムとレジストリという、Windowsの重要な2つの要素について学んでいきます。
1. ファイルシステムとは

まず基本的なことから説明します。
「ファイルシステム」とは何でしょうか?
ファイルシステムとは、コンピュータがデータをハードディスクやSSDなどの記憶装置に保存する方法を決めるルールや仕組みのことです。

簡単に言うと、図書館の本の分類方法や収納システムのようなものです。
例えば、図書館では本に分類番号をつけて特定の棚に配置し、カタログで検索できるようにしていますよね。
同じように、ファイルシステムは、コンピュータ上のファイルに名前をつけて整理し、後で見つけられるようにしています。
Windowsでは、主に「NTFS(エヌティーエフエス)」というファイルシステムが使われています。
NTFSは「New Technology File System」の略で、Windows NTの時代から使われている信頼性の高いファイルシステムです。
1-1. NTFSファイルシステムの特徴
NTFSには、いくつかの重要な特徴があります。
- 大きなファイルとパーティションのサポート
NTFSは、非常に大きなファイル(理論上は16テラバイトまで)や大きなハードディスクを扱うことができます。 - 信頼性
停電などでコンピュータが急に止まってしまった場合でも、データを復旧しやすい仕組みを持っています。
これを「ジャーナリング」と呼びます。 - ファイル圧縮
ファイルをディスク上で自動的に圧縮して、スペースを節約することができます - 暗号化
個人的なファイルを暗号化して、他の人に見られないようにする機能があります。EFS(Encrypting File System)という機能です。 - アクセス権限の設定
ファイルやフォルダごとに細かくアクセス権限を設定できる機能があります。

これが「アクセスが拒否されました」エラーと関係しています。
1-2. NTFSのアクセス制御の仕組み
NTFSでは、誰がどのファイルやフォルダにアクセスできるかを、非常に細かく制御することができます。
これを「アクセス制御リスト(ACL)」と呼びます。
ACLは、ファイルやフォルダごとに設定された「許可」と「拒否」のリストです。
例えば:
管理者は全ての操作ができる
一般ユーザーは読み取りと実行ができる
特定のグループはファイルを変更できる
というような設定が可能です。
この仕組みは「セキュリティ記述子」と呼ばれるデータ構造によって管理されています。
各ファイルやフォルダには、このセキュリティ記述子が付いていて、「誰に」「どんな操作を」許可または拒否するかが記録されています。
1-3. 主なアクセス権限の種類
Windowsでは、主に以下のようなアクセス権限があります:
- フルコントロール
読み取り、書き込み、実行、削除、権限の変更など、すべての操作ができます。 - 変更
読み取り、書き込み、実行、削除はできますが、権限の変更はできません。 - 読み取りと実行
ファイルの内容を見たり、プログラムを実行したりできますが、変更や削除はできません。 - 読み取り
ファイルの内容を見ることだけができます。 - 書き込み
ファイルの内容を変更することだけができます。
例えば、共有パソコンで家族の写真フォルダについて、「家族全員が見られるけど、削除できるのはお父さんだけ」というような設定ができるわけです。

2. 「アクセスが拒否されました」エラーの原因

さて、この仕組みを理解すると、「アクセスが拒否されました」エラーがなぜ起きるのかが分かってきます。
このエラーは、主に次のような場合に発生します:
- 必要な権限を持っていない
そのファイルやフォルダに対して、必要な操作(読み取り、書き込み、削除など)の権限がない場合。 - ファイルが使用中
別のアプリケーションやプロセスがそのファイルを使用している場合。 - システムファイルの保護
Windowsの重要なシステムファイルは、誤って変更や削除されないように保護されています。 - 親フォルダの権限の問題
フォルダの中のファイルにアクセスするには、そのフォルダ自体にもアクセス権限が必要です。 - UAC(ユーザーアカウント制御)による制限
Windows VistaからはUACという機能があり、システムフォルダの変更などには特別な許可が必要です。
2-1. 権限の確認方法
ファイルやフォルダの権限を確認するには、次の手順で行います:
- エクスプローラーでファイルやフォルダを右クリックします。
- メニューから「プロパティ」を選び、「セキュリティ」タブをクリックします。
- ここに表示されるのが、そのファイルやフォルダのアクセス権限の一覧です。
「グループ名またはユーザー名」の欄に、アクセスできるユーザーやグループが表示され、下の「アクセス許可」の欄でそれぞれの権限が確認できます。 - 自分のユーザー名やグループ(例:「Users」)が含まれているか、そして必要な権限(例:「変更」や「書き込み」)にチェックが入っているかを確認しましょう。
「アクセスが拒否されました」エラーの解決方法
このエラーが発生した場合の解決方法をいくつか紹介します:
- 管理者として実行
アプリケーションを「管理者として実行」すると、より高い権限で操作できることがあります。
アプリのアイコンを右クリックして「管理者として実行」を選びます。 - 所有権の取得ファイルやフォルダの「所有者」になることで、権限を変更できるようになります。
プロパティ→セキュリティ→詳細設定→所有者→編集
自分のユーザー名を選んで「OK」 - アクセス権限の変更
所有者になった後は、アクセス権限を変更できます。
プロパティ→セキュリティ→編集
自分のユーザーやグループを追加または選択し、必要な権限にチェックを入れる - ファイルの使用状況の確認
ファイルが使用中の場合は、使用しているアプリケーションを閉じるか、タスクマネージャーでプロセスを終了します。 - システム保護の一時的な無効化
システムファイルの場合は、セーフモードで起動して操作するか、専用のツールを使用します。
ただし、システムファイルは不用意に変更すると問題が起きるので注意が必要です。
3. Windowsレジストリとは

さて、ここからはWindowsのもう一つの重要な要素である「レジストリ」について説明します。
レジストリとは、Windowsの設定情報やアプリケーションの設定などを保存するデータベースです。
簡単に言うと、Windowsの「設定ノート」のようなものです。
例えば、次のような情報がレジストリに保存されています:
- インストールされているアプリケーションの情報
- ハードウェアの設定
- ユーザーのプロファイル情報
- システムの設定
- ファイルの関連付け(どのアプリでどの種類のファイルを開くか)
- Windowsが起動すると、このレジストリの情報を読み込んで、システムやアプリケーションの設定を適用します。
3-1. レジストリの構造
レジストリは、階層構造になっています。大きく分けると、次の5つの「ハイブ」と呼ばれる主要な部分があります:
HKEY_CLASSES_ROOT (HKCR)
ファイルの関連付けやOLEオブジェクトの情報などが保存されています。
HKEY_CURRENT_USER (HKCU)
現在ログインしているユーザーの設定が保存されています。
HKEY_LOCAL_MACHINE (HKLM)
コンピュータ全体の設定や、ハードウェア情報などが保存されています。
HKEY_USERS (HKU)
コンピュータの全ユーザーのプロファイル情報が保存されています。
HKEY_CURRENT_CONFIG (HKCC)
現在の起動構成に関する情報が保存されています。
これらの中に、「キー」と呼ばれるフォルダのような項目があり、さらにその中に「値」と呼ばれるデータが保存されています。
4. レジストリエディタの使い方
レジストリを表示・編集するには、「レジストリエディタ」というツールを使います。
Windows キー + R を押して「regedit」と入力するか、スタートメニューの検索ボックスに「regedit」と入力して起動できます。
レジストリエディタは、Windowsエクスプローラに似た画面で、左側にキーのツリー、右側に値の一覧が表示されます。
値には次の主な種類があります:
REG_SZ: 通常の文字列
REG_DWORD: 32ビットの数値
REG_BINARY: バイナリデータ
REG_MULTI_SZ: 複数行の文字列
REG_EXPAND_SZ: 環境変数を含む文字列
なお、レジストリの編集は非常に危険です。
間違った変更をすると、Windowsが起動しなくなったり、アプリケーションが動作しなくなったりする可能性があります。
編集する前には必ずバックアップを取っておきましょう。
4-1. レジストリに関連するエラー
レジストリに関連するエラーもよくあります。
例えば:
- 「レジストリが壊れています」:
レジストリのデータが破損している場合。 - 「レジストリにアクセスできません」:
権限の問題か、レジストリファイルが破損している場合。 - アプリケーションが起動しない:
レジストリの設定が正しくない場合。

これらの問題も、ファイルシステムと同様に、アクセス権限が関係していることがあります。
レジストリの中のいくつかのキーは、管理者だけがアクセスできるように設定されています。
4-2. レジストリのバックアップと復元
レジストリを編集する前には、必ずバックアップを取っておくことをお勧めします。
- レジストリエディタを開きます。
- バックアップしたいキー(例:変更予定のキー)を選択します。
- 「ファイル」メニューから「エクスポート」を選びます。
- ファイル名と保存場所を指定して、「保存」をクリックします。
これで、選択したキーがレジストリファイル(.reg)として保存されます。
もし問題が起きた場合は、このファイルをダブルクリックして、バックアップしたレジストリを復元できます。
また、Windows自体が「システムの復元ポイント」という機能でレジストリを含むシステム設定のバックアップを定期的に作成しています。

大きな問題が起きた場合は、システムの復元を使って以前の状態に戻すこともできます。
4-3. 安全なレジストリ編集のガイドライン
レジストリを編集する場合は、次のガイドラインに従うと安全です:
- 常にバックアップを取る
編集前に該当部分のバックアップを必ず取っておきましょう。 - 信頼できる情報源の指示に従う
レジストリの変更は、公式のMicrosoftサポートページや信頼できる情報源の指示に従って行いましょう。 - 変更内容を記録する
どのキーのどの値を変更したかを記録しておくと、問題が起きたときに戻せます。 - システムの復元ポイントを作成する
大きな変更の前には、システムの復元ポイントを手動で作成しておくと安心です。 - デフォルト値を覚えておく
変更前の値を記録しておきましょう。 - 必要な場合のみ編集する
「念のため」とか「試しに」という理由での編集は避けましょう。
5. ファイルシステムとレジストリの関係
ファイルシステムとレジストリは、どちらもWindowsの重要な要素ですが、役割が異なります:
- ファイルシステムは、ファイルやフォルダなどの実際のデータを保存・管理します。
- レジストリは、Windowsやアプリケーションの設定情報を保存・管理します。
しかし共通点もあります。
どちらも「アクセス権限」によって保護されており、不適切な変更からシステムを守っています。
また、どちらも破損すると、Windowsの動作に問題が生じる可能性があります。

ですので、どちらを扱う場合も、権限の仕組みを理解し、慎重に操作することが大切です。
- Windowsでは、主にNTFSというファイルシステムが使われています。
- NTFSでは、ファイルやフォルダごとに細かくアクセス権限を設定できます。
- 「アクセスが拒否されました」エラーは、主に権限の問題が原因です。
- 権限の問題は、所有権の取得やアクセス権限の変更で解決できることが多いです。
- レジストリは、Windowsやアプリケーションの設定情報を保存するデータベースです。
- レジストリも権限で保護されており、編集には注意が必要です。

このような知識は、Windowsで問題が発生したときに、原因を特定し、適切に対処するのに役立ちます。


![[Windows] SYSTEM(レジストリハイブとレジストリエディタ)](https://chiilabo.com/wp-content/uploads/2025/03/image-8-1-320x198.jpg)
