- Windowsはマイクロソフト社が開発したオペレーティングシステムで、世界中のパソコンの約7割で使われています。
- Windows XP以降はNTカーネルを採用し、安定性とセキュリティが向上しました。
- ブルースクリーン(BSOD)が発生した場合はセーフモードで起動し、ドライバーやシステムファイルの診断をすることができます。

皆さんが日頃使っているWindowsというOSについて、その仕組みや問題が起きたときの解決方法などを一緒に学んでいきましょう。
Windowsを使っていて、「あれ?動かなくなった」とか「青い画面が突然出てきた」とか、そんな経験はありませんか?
今日はそういった「Windowsが正常に起動しない」という問題を例に、Windowsの基本的な仕組みを学んでいきます。
1. Windowsとは何か
そもそも「Windows」って何でしょうか?
Windowsは「オペレーティングシステム」の一種です。
オペレーティングシステム、略してOSというのは、コンピュータの基本的な動きを管理する大事なソフトウェアです。
Windowsは、マイクロソフト社が開発しているOSで、世界中のパソコンの約7割で使われている、とても人気のあるOSです。

たとえば、皆さんがスマートフォンを使うとき、「iOS」や「Android」といったOSが動いていますよね。同じように、パソコンでは「Windows」や「macOS」、「Linux」などのOSが使われています。
皆さんの学校や家でも、Windowsのパソコンを使っている人が多いのではないでしょうか。
1-1. Windowsの歴史
Windowsはずいぶん長い歴史があります。
昔のパソコンは、今みたいに画面をクリックして操作するのではなく、文字だけの「コマンド」と呼ばれる命令を打ち込んで使っていました。
MS-DOSというシステムがそれです。
1985年に最初のWindows、Windows 1.0が登場しました。
これは、マウスでクリックして操作できる「グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)」を持っていました。
でも、この時のWindowsはまだ完全なOSではなく、MS-DOSの上で動く「アプリケーション」のような存在でした。
その後、Windows 3.0、Windows 95、Windows 98と進化していきました。
Windows 95は特に大きな変化があって、「スタートメニュー」や「タスクバー」など、今でもWindowsの特徴となっている機能が導入されました。
2001年には、Windows XPが登場します。
このバージョンはとても安定していて使いやすかったため、長い間多くの人に使われました。

皆さんの中にも、小さい頃に家で使っていた人がいるかもしれませんね。
その後、Windows Vista、Windows 7、Windows 8、Windows 8.1と進化し、2015年にはWindows 10が登場しました。
そして2021年に最新版のWindows 11が発表されました。
1-2. NTカーネルについて(Windows XP)
ここで少し難しい話をします。
Windowsの内部には「カーネル」と呼ばれる、OSの中心部分があります。

これは人間でいうと「脳」や「心臓」のような重要な部分です。
昔のWindows(95や98など)と、現代のWindows(XP以降)では、このカーネルが大きく異なります。
現代のWindowsは「NTカーネル」と呼ばれる、より強力で安定したカーネルを使っています。

Windows XP以降のすべてのWindowsは、このNTカーネルを基盤としています。
これによって、Windowsはより安定して、セキュリティも向上しました。
「NT」とは「New Technology(新技術)」の略です。
このNTカーネルは、最初は企業向けのより安定したシステムとして開発されました。
Windows NT 3.1というのが最初のNTカーネルを使ったWindowsで、1993年に登場しています。
1-3. Windows 11の新機能
最新のWindows 11では、どんな新しい機能があるのでしょうか?
まず見た目が大きく変わりました。
スタートメニューが画面の中央に配置されるようになりました。
また、全体的にデザインが丸みを帯びて、よりモダンな印象になっています。
また、複数のウィンドウを整理する「スナップレイアウト」という機能が強化されました。
画面上のウィンドウをドラッグすると、配置の候補が表示されて、簡単に整理できるようになっています。
さらに、Microsoft Storeが刷新され、Android アプリを実行できるようになりました。
つまり、スマートフォンのアプリをパソコンで使えるようになったんですね。
もう一つ重要な変更点は、セキュリティの強化です。
Windows 11では「TPM 2.0」という特別なセキュリティチップと「Secure Boot」という機能が必須になりました。
これらは、コンピュータをより安全に保つための機能です。
2. Windowsシステムアーキテクチャ
次に、Windowsがどのような構造になっているかについて説明します。
これを「アーキテクチャ」と呼びます。
Windowsは大きく分けて、いくつかの層(レイヤー)から成り立っています。
- まず一番下には「ハードウェア層」があります。
これは、パソコンの物理的な部品のことです。
CPUやメモリ、ハードディスク、グラフィックカードなどが含まれます。 - その上に「ハードウェア抽象化層(HAL)」があります。
「抽象化」というのは、複雑なものをシンプルに扱えるようにすることです。
HALは、様々な種類のハードウェアを統一的な方法で扱えるようにする役割を持っています。 - さらにその上に「カーネル」があります。
先ほど説明したように、これはOSの中心部分で、コンピュータのリソース(資源)を管理する役割を持っています。 - カーネルの上には「エグゼクティブサービス」というものがあります。
これは、メモリ管理やプロセス管理など、システムの様々な機能を提供します。 - そして最上層に「ユーザーモード」があります。
ここでは、私たちが普段使うアプリケーションが動いています。

このように、Windowsは階層構造になっていて、各層が協力しあって動いているのです。
2-1. Windowsの起動プロセス
次に、Windowsがどのようにして起動するのかを見ていきましょう。
パソコンの電源ボタンを押してから、デスクトップ画面が表示されるまでには、実はたくさんのステップがあります。
- まず「POST(Power-On Self Test)」という、ハードウェアのチェックが行われます。
これは、BIOS(バイオス)やUEFIと呼ばれるシステムが担当します。 - 次に「ブートローダー」が起動します。
Windowsでは「Windows Boot Manager」というプログラムがこの役割を果たします。
ブートローダーは、コンピュータにインストールされているOSを見つけて、起動する準備をします。 - ブートローダーは「BCD(Boot Configuration Data)」と呼ばれる情報を読み込みます。
これは、どのOSをどのように起動するかの設定が書かれているものです。 - 次に「OSローダー(winload.exe)」が動き始めます。
これはWindowsの核となる部分(カーネル)とドライバーを読み込みます。
カーネルが初期化され、システムレジストリという設定情報が読み込まれます。 - 「セッションマネージャ(smss.exe)」が起動し、システム環境を準備します。
「Winlogon」と「LSASS」というプログラムが起動し、ログオン画面を表示します。 - ユーザーがログインすると、「Explorer.exe」が起動し、おなじみのデスクトップ画面が表示されます。

このように、Windowsの起動は非常に複雑なプロセスです。
どこか一つでも問題があると、正常に起動しなくなってしまいます。
3. ブルースクリーン(BSOD)について

さて、ここからが今日の本題です。
Windowsを使っていると、突然画面が青くなって、エラーメッセージが表示されることがあります。
これを「ブルースクリーン」または「BSOD(Blue Screen of Death)」と呼びます。
BSODは、Windowsが重大なエラーを検出して、安全のためにシステムを停止させた状態です。

つまり、Windowsが「これ以上動作を続けると危険だから、いったん止まるね」と判断しているわけです。
BSODが表示されると、画面には「:( お使いのPCで問題が発生したため、再起動する必要があります。」というメッセージと、エラーコード(例:KERNEL_MODE_EXCEPTION_NOT_HANDLED、MEMORY_MANAGEMENTなど)が表示されます。
また、エラーの詳細情報を含む「メモリダンプ」と呼ばれるファイルが作成されます。

これは、エラーが発生した時のコンピュータの状態を記録したもので、問題の原因を特定するのに役立ちます。
3-1. BSODの一般的な4つの原因
ブルースクリーンが発生する原因は様々ですが、主なものを挙げると:
- ハードウェアドライバーの問題:
ドライバーとは、OSとハードウェアの間の通訳のような役割をするソフトウェアです。
このドライバーが古かったり、バグがあったりすると、BSODの原因になります。 - ハードウェアの不具合:
メモリ(RAM)や、ハードディスク、CPUなどのハードウェアに物理的な問題があると、BSODが発生することがあります。 - システムファイルの破損:
Windowsの重要なファイルが破損していると、動作に支障をきたしてBSODになることがあります。 - ソフトウェアの競合:
インストールしているソフトウェア同士が互いに干渉し合って、問題を起こすことがあります。 - マルウェア感染:
ウイルスなどの悪意あるソフトウェアがシステムを攻撃した結果、BSODになることもあります。
3-2. BSODのエラーコードを読み解く
BSODが表示されると、エラーコードも一緒に表示されます。これは問題の種類を特定するのに役立ちます。
よく見られるエラーコードをいくつか紹介します:
- KERNEL_MODE_EXCEPTION_NOT_HANDLED (0x0000001E)
これは、カーネルモードで動作しているドライバーが例外(予期しないエラー)を発生させたことを意味します。
多くの場合、ドライバーの問題です。 - SYSTEM_SERVICE_EXCEPTION (0x0000003B)
システムサービス(Windowsの重要な機能)で例外が発生したことを示します。
ドライバーやシステムファイルの問題が考えられます。 - IRQL_NOT_LESS_OR_EQUAL (0x0000000A)
ドライバーがアクセスすべきでないメモリ領域にアクセスしようとしたときに発生します。
多くの場合、ドライバーのバグです。 - PAGE_FAULT_IN_NONPAGED_AREA (0x00000050)
常に物理メモリに存在しているべき領域で、ページフォルト(メモリアクセスエラー)が発生したことを示します。
メモリハードウェアの問題や、ドライバーの問題が考えられます。 - MEMORY_MANAGEMENT (0x0000001A)
メモリ(RAM)の管理に関する問題です。
物理的なメモリの不具合か、メモリを使用するプログラムのバグが考えられます。

だいたいメモリかドライバーの問題が多いんだね。

エラーコードを記録しておくと、問題解決の手がかりになります。
systeminfo driverquery
99人になるこれらのコマ 90ンドは、システム情報とインストールされているドライバーの一覧を表示します。
3-3. BSODの詳細診断
BSODが発生した場合、より詳しく調査するための方法があります。
- メモリダンプファイルの分析
- イベントビューアーでの確認
- 修復アプローチ:セーフモード
BSODが発生すると、システムはメモリダンプファイルを作成します。
このファイルは通常、C:\Windows\Minidumpフォルダか、C:\Windows\MEMORY.DMPというファイルに保存されています。
このダンプファイルは、専用のツール「Windows Debugger(WinDbg)」を使って解析できます。

WinDbgは少し専門的なツールですが、エラーの正確な原因を特定するのに役立ちます。
Windowsには「イベントビューアー」という、システムやアプリケーションのイベント(出来事)を記録するツールがあります。
BSODの前後に何が起きていたかを確認するのに役立ちます。
イベントビューアーは、Windowsキー + Rを押して「eventvwr.msc」と入力するか、コントロールパネルの「管理ツール」から開くことができます。

イベントビューアーを開いて、システムログを確認してみましょう。
特に「エラー」や「警告」レベルのイベントを探してみてください。
特に「システム」ログと「アプリケーション」ログを確認すると、問題の手がかりが見つかることがあります。
BSODなどの問題が発生してWindowsが正常に起動しない場合、「セーフモード」という特別な起動モードが役立ちます。
セーフモードとは、Windowsを最小限の機能だけで起動するモードです。
必要最低限のドライバーとサービスだけが読み込まれるため、問題の原因となっている要素を特定しやすくなります。
セーフモードには主に3種類あります:
- 通常のセーフモード:
基本的なドライバーとサービスのみで起動します。 - ネットワーク機能付きセーフモード:
基本機能に加えて、インターネット接続も可能になります。 - コマンドプロンプト付きセーフモード:
グラフィカルなインターフェース(GUI)の代わりに、コマンドプロンプトが起動します。
4. セーフモードの起動方法
Windows 10や11でセーフモードを起動するには、いくつかの方法があります。
- スタートメニューから「再起動」を選ぶときに、キーボードのShiftキーを押しながらクリックします。
- すると、「オプションの選択」画面が表示されます。
- ここから「トラブルシューティング」→「詳細オプション」→「スタートアップ設定」→「再起動」と進みます。
- 再起動後、セーフモードのオプション(4、5、または6のキー)を選択します。
もしWindows自体が起動しない場合は、電源ボタンを使った強制終了を2〜3回繰り返します。
すると、自動修復画面が表示されます。
ここから「詳細オプション」→「トラブルシューティング」→「詳細オプション」→「スタートアップ設定」→「再起動」と進みます。
4-1. セーフモードでの問題診断
セーフモードで起動できたら、次のような方法で問題を診断できます:
- ソフトウェアやドライバーの確認
コントロールパネルの「プログラムと機能」で、最近インストールしたプログラムを確認し、怪しいものがあればアンインストールします。
同様に、デバイスマネージャーで最近更新したドライバーを確認し、必要に応じて以前のバージョンに戻します。 - デバイスマネージャーでのハードウェア確認
デバイスマネージャーで、黄色い三角形や赤い×印が付いているデバイスがないか確認します。これらは問題のあるハードウェアを示しています。 - システムファイルの検証
管理者権限でコマンドプロンプトを開き、次のコマンドを実行します:sfc /scannow
このコマンドは、Windowsの重要なシステムファイルをチェックし、破損があれば修復します。 - クリーンブート構成でのテスト
「msconfig
」コマンドで「システム構成」ツールを開き、スタートアップアイテムとサービスを最小限に抑えた状態で起動することで、問題の原因を特定できることがあります。

Windowsの基本的な構造と歴史、起動プロセス、そしてブルースクリーン(BSOD)の原因と対処法について学びました。
- Windowsは長い歴史を持つOSで、現在はNTカーネルを基盤としています。
- Windowsの起動プロセスは複雑で、POSTからExplorer.exeの起動まで、様々なステップがあります。
- ブルースクリーン(BSOD)は、システムに重大な問題が発生したときに表示されます。
- BSODには様々なエラーコードがあり、それぞれ異なる問題を示しています。
- セーフモードは、Windowsを最小限の機能で起動し、問題の診断に役立ちます。
- システムファイルチェッカー(SFC)などのツールを使って、システムファイルの問題を修復できます。


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