- スマートフォンのファイル共有機能は、iPhoneの「AirDrop」を先駆けとして進化してきました。
- AndroidではGoogleの「Nearby Share」とSamsungの「Quick Share」が開発されましたが、互換性の問題がありました。
- 2024年、GoogleとSamsungは、新しいQuick Shareとして機能を統合し、すべてのAndroidデバイスで利用可能になります。
1. iPhoneで簡単にファイル共有する(AirDrop)
スマートフォンで写真や動画を友達と共有したいとき、どうしていますか?
メールで送ったり、LINEでやりとりしたりすることが多いかもしれません。
でも、もっと簡単に近くにいる人とファイルを共有する方法があるんです。
まず、iPhoneユーザーの方なら「AirDrop(エアドロップ)」という機能を聞いたことがあるかもしれません。
この機能は2011年に登場しました。
AirDropを使うと、近くにいる人とWi-FiやBluetoothを使って、すばやく写真や動画を送ることができます。
友達と旅行に行って、みんなで撮った写真を共有したいとき。
AirDropを使えば、メールに添付する手間もなく、すぐに写真を送れるんです。
1-1. Androidスマートフォンの挑戦:「Android Beam」
ただし、この便利なAirDropは、iPhoneやiPadなど、アップル社の製品同士でしか使えません。
Androidスマートフォンではどうだったかというと、実は2011年に「Android Beam(アンドロイドビーム)」という機能が登場しました。
これは、スマートフォン同士を近づけるだけでファイルを送れる機能でした。
しかし、使い勝手があまり良くなかったようで、多くの人に使われることはありませんでした。
2017年ごろには「かつてもてはやされたけど、静かに消えていった機能」と言われるようになってしまいました。
Androidユーザーにとっては、iPhoneのAirDropのような便利な機能がなかなか実現しなかったのです。
2. 新たな挑戦:Google「Nearby Share」とサムスン「Quick Share」の誕生
2020年、Androidスマートフォンにも新しい共有機能が登場しました。
Googleが開発した「Nearby Share(ニアバイシェア)」と、サムスンが開発した「Quick Share(クイック共有)」です。
Nearby Shareは、AndroidスマートフォンやChromebookで使える機能で、近くにいる人とファイルを簡単に共有できます。
一方、Quick Shareはサムスン製のスマートフォンで使える機能でした。
基本的な使い方はNearby Shareと似ていますが、サムスンの製品同士でしか使えませんでした。
3. 二つの機能の統合:新しい「Quick Share」の誕生
ここで問題が一つありました。
Androidスマートフォンには二つの似たような機能があるのに、お互いに互換性がないのです。
サムスンのスマートフォンを使っている人と、他のメーカーのAndroidスマートフォンを使っている人が、簡単にファイルを共有できないという状況でした。
そこで、GoogleとサムスンはCES 2024というイベントで、大きな発表をしました。
二つの機能を一つにまとめて、新しい「Quick Share」として生まれ変わらせるというのです。
この新しいQuick Shareは、すべてのAndroidスマートフォンやChromebookで使えるようになります。
つまり、サムスン製のスマートフォンを使っている人も、他のメーカーのAndroidスマートフォンを使っている人も、同じ機能でファイルを簡単に共有できるようになるのです。
さらに、Windowsパソコン用のクライアントアプリが提供されて、使えるようになりました。
iPhoneのAirDropという共通の競合に対抗するために、GoogleとSumsungが「合従」したんだね。
LGなどのパソコンメーカーと協力して、Quick Shareをパソコンにも標準で搭載する計画 もあるそうです。
3-1. 技術的な融合
新しいQuick Shareは、Googleとサムスンの技術の長所を活かして、より広範囲のデバイスで使えるように統合されたファイル共有機能です。
新しいQuick Shareの使い方は簡単。
- 共有したいファイルを選んで、Quick Shareのアイコンをタップするだけです。
- すると、近くにいる人の端末が表示されるので、送りたい相手を選べばOKです。
新Quick Shareの大きな特徴は、幅広い互換性です。
AndroidデバイスやChromebookだけでなく、将来的にはWindowsデバイスでも利用可能になる予定です。
また、Googleとサムスンの共同開発で、Bluetooth、Wi-Fi Direct、WebRTCなど多様な通信方式を使用し、デバイス検出とファイル転送の効率を高めています。
パソコンやスマホの機種を問わずに、簡単にファイルのやり取りができたら便利だよね。