- Google検索をしていたら非常に安い商品広告が掲載されていました。
- しかし、実際に通販サイトにアクセスしてみると、広告掲載価格とは大きく違っていました。
- ネット広告には、国内の景品表示法に抵触するようなものもあるので要注意です。
YouTube動画でも話しています。
1. 異常に安いスポンサー広告
「エルゴノミクスマウス」を検索していたら、異様に安い商品広告を見つけました。
「¥45」と書かれています。
Amazonでは 通常 8,000円ほどで販売されているので、破格の値段です。
「もしかして、噂の 45元かな1」などと思いつつもアクセスしてみました。
サイトにアクセスすると、何やらルーレットが表示され「70%の割引」だそうです。
ただ、割引適用にはアプリのインストールが必要だそうです。
しかも、このルーレット 毎回 同じ結果になります。
ところで、アプリをインストールせずに閉じると、商品ページにたどりつけるのですが、価格がおかしいです。
「¥4,480」と書かれているのですが、
この横にも「¥12,529」の「-64%」と記載されています。
つまり、「¥12,529」が「64%引き」で「¥4,480」になって、それがアプリの割引で「¥1,344」になっていると…。
あれ、「¥45」はどこにいった?
2. 景品表示法には違反する?
これらの価格表示は、日本国内では景品表示法などに抵触する可能性が考えられます1。
- 有利誤認表示
- 不当な二重価格表示
例えば、ルーレット演出による割引料金は、「有利誤認表示」にあたる可能性があります。
有利誤認表示(5条2号)
(1)取引条件について、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示
表示規制の概要 | 消費者庁
- 例 当選者の100人だけが割安料金で契約できる旨表示していたが、実際には、応募者全員を当選とし、全員に同じ料金で契約させていた場合
また、「¥12,529」という「正規価格」は、もし実際に販売実績がなければ「不当な二重価格表示」にあたるようにも考えられます。
不当な二重価格表示の具体例
家電量販店の場合…
家電製品の店頭価格について、競合店の平均価格から値引すると表示しながら、その平均価格を実際よりも高い価格に設定し、そこから値引きを行っていた。
二重価格表示 | 消費者庁
3. Temu.comとは?
Temuは、中国発のネット通販プラットフォームです。
運営元はPDDホールディングス(拼多多:Pinduoduo)という中国の会社です。
「激安価格」でアピールする一方、すでに米国議会で法令遵守の問題が指摘されています。
例えば、少額荷物に関税が免除される制度(デ・ミニミス・ルール)を濫用している問題です。
中国発のネット通販プラットフォーム「Temu」は、米国の「Google Play」とAppleの「App Store」で人気無料アプリのトップの地位を維持している。そのため、消費者からの注目が高まる一方、議員からの監視も厳しさを増している。(…)
米下院の中国共産党に関する特別委員会が公開したレポートによると、Temuは「デ・ミニミス・ルール」と呼ばれる特例を利用して、商品を低価格で米国の消費者に直接出荷しているという。このルールで定められた基準額800ドル(約11万円)を下回る商品の輸入は、米税関当局による検査や課税の対象にならない。
毎日米国に輸入される基準額以下の荷物のうち、約60万個(約30%)が中国系ネット通販プラットフォームのTemuと「SHEIN」によって出荷され、米国の税関当局と国境警備隊による課税と検査を免れている。
中国系ネット通販「Temu」、激安の裏に米貿易特例–米議会が問題視(CNET Japan) – Yahoo!ニュース(2023-07-19)
4. スマートフォンだけが対象の広告
ちなみに、この広告が表示されたのは スマートフォンだけ。
パソコンで検索しても表示されませんでした。
5. YouTube広告も出ている
同様の広告はYouTubeでも表示されました。
ワイヤレスイヤホンが¥222。
ただし、アプリを初回登録した人限定、というものでした。
App Stoerの「ショッピング」カテゴリのランキング1位なんだね。
すごい広告量なんだろうなぁ。
ネットの世界は「勝者総取り(Winner-take-all)」な側面が強いので、シェア獲得にとにかく力を入れているんだと思います。
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