- 米国の若者の間で、シンプルな機能に限定された携帯電話「Light Phone II」が話題になりました。
- 過剰な情報に晒される「スマホ疲れ」から、バランスを取る必要性を直感しているのかもしれません。
- 日本でも、若者だけでなくシニア世代にもスマホが普及した今、世代関係なくスマホのバランスよい使い方を考える必要があります。
1. 若い世代がシンプルな携帯電話を求める理由
最近、若い世代の間で、シンプルな機能の携帯電話が注目されています。
これは、スマホ中毒からの脱却やプライバシーの保護、ノスタルジーといった複数の理由からです。
- アメリカでの調査によれば、特にZ世代とミレニアル世代がスマホとSNSによる精神衛生上の懸念から、シンプルな携帯電話を好む傾向にあります。
- また、IT企業による個人情報取得への懸念や、過去への郷愁も理由の一つです。
1-1. Light Phone II
米国では、著名なラッパーであるケンドリック・ラマーが「Light Phone II」の限定版を2023年11月に発売し、即日完売するなど大きな話題となりました1。
「Light Phone II」は、デザインが洗練されているだけでなく、機能のシンプルさが特徴です。
1-2. 「スマートフォン」vs「アホ携帯」
米国では、「アホ携帯」ブームが注目されています。
「アホ携帯」という名称は、機能が非常に限定されたシンプルな携帯電話を指します。
スマートフォンと比べて「賢くない」携帯電話という意味で、ちょっとユーモラスな表現です。
「アホ携帯」の機能は、基本的な通話やメッセージだけ。
つまり、時間を奪うインターネットやSNSなどのアプリを省いてあるのです。
このブームは、「ミニマリズム」や「レトロ懐古」もありますが、情報過多やプライバシー問題に疲れてきたことがあります。
2. シニア世代にとっての「かんたんスマホ」
一方、シニア世代は、これまでどちらかというと使いやすさとシンプルな機能を重視するために「かんたんスマホ」を選んできました。
「携帯電話」に求めるのは、日常生活での基本的なニーズを満たすこと。
安心して使用できるデバイスへのニーズは、新しい技術に対する不安や複雑さを避けたいという思いが根底にあります。
要素 | 若い世代 | シニア世代 |
---|---|---|
主な動機 | デジタルデトックス、プライバシー保護 | 利便性、使いやすさ |
技術との関係 | 技術に精通しているが選択的に使用したい | 技術への不慣れさ、基本的な機能へのニーズ |
機能への要求 | 最小限の機能(通話、メッセージ) | シンプルな操作性、見やすい画面 |
社会的要因 | SNS疲れ、情報過多からの脱却 | コミュニケーションの手段としての電話、メッセージ |
欲求レベル | 自己実現、自己管理 | 安全性、信頼性 |
根底意識 | 自由への欲求、個人情報の保護 | 使いやすさ、生活への便利さを求める |
両世代の間でシンプルな携帯電話へのアプローチは違いますが、「自分の生活に集中したい」という点は共通です。
「デジタルデトックス」とは、精神的、身体的な健康のために、スマートフォンやインターネット、SNSの使用時間を減らすことです。
過度のデジタル接触はストレスがかかり、睡眠障害、集中力の散漫などの問題があります。
デジタル機器から離れて、リアルな人間関係や自然とのつながりを再発見することを目的としています。
2-1. もはやスマホは「当たり前」
スマートフォンの普及率は非常に高くなりました。
シニア世代も含めて多くの人々が日常的に使っています。
デジタル疲れやプライバシーの懸念、そしてリアルな人間関係の希薄化などの問題は同じです。
「スマホ中毒」は、若者だけの問題ではありません。
「スマホ中毒」とは、スマートフォンやその他のデジタルデバイスへの過度な依存を指します。
過剰な時間をSNSやインターネットの閲覧に費やすようになりがちです。
2-2. 孤独とSNSの功罪
しかし、男女差もありますが、シニア世代にとって、退職後の自由な時間は、孤独感を感じやすい環境でもあります。
SNSのコミュニティに参加することで、孤独感を紛らわせることができるかもしれません。
SNSやインターネットは、適切に使用すればシニア世代にとっても有益なツールです。
しかし、これが過度になると、リアルな社会生活から遠ざかり、スマホ中毒の一形態となり得ます。
とくに、SNSの問題点の1つに、考えが偏ってしまいやすい点があります。
SNS上では、アルゴリズムによってユーザーの興味や過去の閲覧行動に基づいた情報が優先的に提供されます。
そうすると、特定の視点や意見ばかりを目にして、強化されてしまうのです。
このような「同調圧力のある情報閉鎖環境」を「エコーチェンバー(山彦が反響する部屋)」といいます。
SNS上のコミュニティでの価値観を重視しすぎると、身の回りの人と衝突することにもなります。
それが社会的孤立を生んで、ますますSNSに依存してしまいます。
3. 「スマホ中毒」は脳によくない
「スマホ中毒」による問題点は、
- 目の疲れや睡眠の質の低下
- 絶え間ない通知は注意力を散漫にさせる
- 社会的孤立(家族や友人とのコミュニケーションが減少)
これらはうつ病や認知症のリスクそのままです。
つまり、シニア世代も「デジタルデトックス」を意識した方がよさそうです。
3-1. 自律的に使うための「コツ」(Digital Wellbeing)
ちょっとした心がけで、簡単に取り入れられます。
- スマホの使用を管理するための機能を活用する
(一日の中でスマートフォンから離れる時間を設定する) - 寝室にスマホやテレビを置かない
- 園芸、絵画、手工芸、料理など、アナログな趣味も
- 地域のイベントや趣味のサークルに参加する
特に、知ってほしいのは「Digital Wellbeing」機能です。
スマートフォンの「設定」には、使い過ぎを防ぐための機能が用意されています。