- iPhoneには一般的にイメージする「コンピュータウイルス」はほとんど存在しません。
- 実際の脅威は標的型攻撃や詐欺で、これらは正しいセキュリティ知識が大切。

iPhoneにウイルス対策ソフトは必要なのかという問題は、多くの人が関心を持つ重要なテーマですよね。
特にプライバシーやセキュリティ、個人情報の保護に不安を感じている方々のヒントになれば嬉しいです。
1. 「ウイルス対策ソフト」市場とiPhone
iPhone向けの「ウイルス対策ソフト(あるいはセキュリティ対策ソフト)」は、主にNorton(ノートン)、McAfee(マカフィー)、Avast(アバスト)など大手メーカーが提供しています。
これらのメーカーの特徴は、従来からPCで使用されてきた有名なブランドだということ。
基本機能は無料で提供されていますが、主要な機能を使用するにはサブスクリプション(月額課金)が必要です。
しかし、重要なポイントは、PCと違って「iPhoneにはウイルスが実質的に存在しない」ということです。
これは、一般のユーザーを対象とした従来型のマルウェアやトロイの木馬のような脅威は、iPhoneのマルウェア対策によって機能しない、ということです。

もちろん、「一般ではない」場合は、例外です。
億万長者や大企業などであれば、巨額の資金を投じた「標的型攻撃」の対象となり、一般ユーザーが遭遇する脅威とは異なるからです。

分類 | 内容 | 技術的 | 心理的 |
---|---|---|---|
一般的な「コンピュータウイルス」 (Commodity Malware) | 大量に配布・伝播して「感染」したデバイスの動作を妨害する | 中程度 | 中程度 |
標的型攻撃 (Advanced Persistent Threat) | 特定の企業・組織を狙って機密情報を盗んだりシステムを破壊したりする | 高い | 非常に高度 |
詐欺(Scam) | 大量に表示して人を騙して金銭や個人情報を詐取する | 低い | 単純だが効果的 |
とはいえ、このような「高度で継続的な攻撃(APT)」は、特定の個人や組織を狙った特別なケース。
一般向けのマルウェアとは区別して考える必要があります。

そもそもPCやスマートフォンへのセキュリティ脅威は、ひとくくりにはできません。
2. 「実際の脅威」はユーザー本人の心理
実際に iPhoneにとって脅威になるのは、ユーザー本人の不安や油断です。
- 「詐欺(scam)」による被害
- あえてAppleの制限を解除して使う(脱獄:jailbreak)
よくある「詐欺」の手口として、インターネット閲覧中の偽警告、銀行を装ったSMS、カレンダーへの不正なイベント登録などがあります。

不安を煽る偽の警告表示で、アカウント情報やクレジットカード情報などを盗み取り、不正請求を発生させるのが主な目的です。
このような脅威を「ソーシャルエンジニアリング攻撃」といいます。

重要なのは、これらは技術的な「コンピュータウイルス」ではなく、昔からある古典的な詐欺手法が形を変えただけだということです。
「カレンダー不正イベント」は、iCloudカレンダーのイベント登録機能を悪用した「嫌がらせ」です。
スパムメールや不正なWebサイトから「賞金が当選」などの誘惑で Calendar.app への招待を送り、自動登録されるイベントからさらに不正なサイトへ誘導する詐欺です。
「脱獄(jailbreak)」は、iPhoneに設定されたAppleの制限を解除する行為のことです。
一部のユーザーが、インストールできないアプリや改造をするための「裏技」として行うことがありますが、リスクが大きいです。
3. 【結論】正しい知識を身につける
セキュリティ対策ソフトを購入するよりも、セキュリティに関する正しい知識を身につけることが重要です。
セキュリティ対策ソフトの提供する機能(例えば、Wi-FiスキャンやVPN機能)は、「実際の脅威」に対する保護としては効果が限定的です。
最も効果的な対策は、セキュリティに関する正確な情報を得て、理解を深めることです。



