- 亡くなった後にスマートフォンのデータを引き継ぐには、GoogleやAppleに直接申請してアカウントのアクセス権限を得る必要があります。
- 死後の審査には時間がかかるので、生前に引き継ぎ相手を指名しておくことが大事です。
- Googleアカウントでは「アカウント無効化管理ツール」、Apple IDでは「故人アカウント管理連絡先」で設定するのが有効です。
もしものときに備えて、家族で話し合い、デジタル遺品の引き継ぎ方法を決めておくことが大切です。
1. スマートフォンの中の大切な思い出を引き継ぎたい
私たちの生活に欠かせなくなったスマートフォン。
その中には、大切な思い出の写真や動画、メッセージなどがたくさん詰まっています。
でも、もし家族や大切な人が突然亡くなってしまったら、そのデータはどうすればよいのでしょうか?
今回は、GoogleアカウントとApple IDの引き継ぎ方法と、万が一のときに備えた準備について、わかりやすくお伝えします。
1-1. スマートフォンのロック解除は難しい
まず知っておきたいのは、
亡くなった後でスマートフォン本体のロックを解除するのはとても難しい、
ということです。
- パスワードやPINコードは、家族でも知らないことが多いでしょう。
- 指紋認証や顔認証は、その人が亡くなった時点で使えなくなってしまいます。
- 携帯電話会社に頼んでも、セキュリティの関係でロック解除はしてもらえません。
- インターネットで見かける「ロック解除サービス」も、成功の保証はなく料金も高額です。
そのため、スマートフォン本体の中のデータを直接 取り出すのではなく、アカウント情報のアクセス権を引き継ぐ方法を模索することになります。
アカウントは、GoogleやAppleなどのサービス管理会社の審査によって引き継ぐことができるからです。
1-2. Googleアカウントのデータを引き継ぐ方法
Googleアカウントのデータを引き継ぐには、Googleに直接申請する方法があります。
家族や法定代理人が、Googleの公式サイトにある「故人のアカウントに関するリクエストを送信する(https://support.google.com/accounts/troubleshooter/6357590?hl=ja)」というページから申請します。
これらの情報と書類を提出すると、Googleが審査します。
承認されれば、GmailやGoogleフォトなどのデータを見ることができるようになります。
1-3. Apple IDのデータを引き継ぐ方法
Apple IDのデータを引き継ぐ場合は、Appleサポートに問い合わせて申請します。
裁判所命令またはその他の法的書類を用意してアクセスを申請する
米国やその他の地域では、故人の個人情報の正当な相続人として自分の名前が明記された裁判所命令があれば、故人の Apple ID とデータへのアクセスを申請できます。フランス、ドイツ、日本、オーストラリア、ニュージーランドなど、一部の司法権では、裁判所命令の代わりとなる書類や手続きが認められています。
上記の情報を明記した裁判所命令がお手元にある場合や、さらにサポートが必要な場合は、Apple サポートにお問い合わせください。
申請には以下のものが必要です。
裁判所命令が必要なの?
通常、日本では裁判所命令の代わりに、以下のような書類や手続きで申請者が故人のデジタル資産にアクセスする正当な権利を持っていることを証明します。
(ただし、具体的にどの書類が必要かは、個々のケースや状況によって異なる可能性があります。直接Apple サポートに問い合わせることをお勧めします。)
- 戸籍謄本:故人との関係を証明するため
- 死亡診断書のコピー:故人の死亡を証明するため
- 遺産分割協議書:相続人間で合意された遺産分割の内容を示すもの
- 相続人全員の同意書:他の相続人がアクセス申請に同意していることを示すもの
- 委任状:申請者が他の相続人から委任を受けていることを示すもの(必要な場合)
- 遺言書のコピー:故人がデジタル資産の取り扱いについて指示を残している場合
- 印鑑証明書:各書類の署名や捺印の正当性を証明するため
Appleの審査によって承認されれば、亡くなった方のApple IDのデータにアクセスできるようになります。
2. 事前に準備しておくことが大切
ここまで読んで、「難しそうだな」と思った方も多いでしょう。
確かに、亡くなった後でこれらの手続きをするのは大変です。
そこで大切なのが、事前の準備です。
たとえば、パスワードやPINコードを、安全な方法で家族に伝えておくのも一つの方法です。
封筒に書いて保管しておき、「もしものときは開けてください」と伝えておくのも良いでしょう。
しかし、GoogleアカウントやApple IDには、死後のアカウント管理を誰に任せるか決めておく機能も用意されています。
2-1. Googleアカウントのアカウント無効化管理ツール
Googleアカウントの場合は、「アカウント無効化管理ツール」という機能があります。
これを使えば、自分が亡くなった後に、誰にデータを渡すか、アカウントを削除するかなどを、あらかじめ設定しておくことができます。
2-2. Apple IDの故人アカウント管理連絡先
Apple IDの場合は、「故人アカウント管理連絡先」を設定しておくと良いでしょう。
最大5人まで登録できるので、家族や信頼できる友人を選んでおくと安心です。
3. もしものときに備えて家族で話し合っておく
スマートフォンやインターネットサービスの中には、私たちの大切な思い出がたくさん詰まっています。
もしものときに備えて、今のうちに準備をしておくことが大切です。
家族で話し合って、どうするか決めておきましょう。
そうすれば、突然のことがあっても、大切な思い出を引き継ぐことができます。
防災のときの避難場所と同じなんだね。
3-1. デジタルレガシー簡単チェックリスト
3-2. パスワードを紙で残すコツ
パスワードを引き継ぎたいけれど、生前は勝手に見られたくないものです。
いくつかの工夫があります。
これらの方法は、完璧なセキュリティを提供するものではありませんが、一定の抑止力となり、かつ緊急時にはアクセスできる簡単な工夫です。
デジタル時代の今、遺品は形のあるものだけではありません。