- 最近 機種変更した友人からのLINEメッセージが届かなくなりました。
- 両者のトークルームで表示されるキーフィンガープリントが異なっていたため、暗号化の問題が疑われました。
- 結局、キーフィンガープリントの不整合の問題は直せなかったので、アカウントを作り直すことになりました。
YouTube動画でも話しています。
1. 機種変更した相手からメッセージが届かなくなった
友人[Aさんとする]がiPhoneからAndroidに機種変更した際、
私にLINEメッセージが届かなくなりました。
相手[Aさん]の画面を見せてもらうと、メッセージは送信済みになっていたのですが、こちらに届いていません。
反対に、私の送信したメッセージは向こうに届いていますし、既読にもなります。
設定を確認してみると、LINEのキーフィンガープリントが一致していないのが気になります。
アカウントを新規で作り直すしかないのでしょうか?
「機種変更した相手にLINEメッセージが届かない」状況を整理すると、
- 友人A → 相談者B 届かなくなった
- 相談者B → 友人A 届く
Aさん視点でみると、
「機種変更後にLINEメッセージを送っても相手に届かなくなった」
という状態です。
機種変更には、LINEアカウントの再ログインが必要なのでトラブルが多いです。
特に、間違えて新規LINEアカウントを作ってしまうこともありがちです。
ただし、新規アカウントであれば、B→Aのメッセージも届かないはず。
腑に落ちません。
もう少し検討が必要だね。
1-1. キーフィンガープリントは割り振られるもの
キーフィンガープリントって何?
LINEのメッセージ送受信の暗号化のための鍵です。
トークルームの「メニュー」からお互いのキーフィンガープリントを確認できます。
LINEのキーフィンガープリントはどのように決まっているのでしょう。
キーフィンガープリントは、各ユーザー固有の暗号キーです。
[キーフィンガープリント]とは、Letter Sealingがユーザー間で安全なメッセージ送信を行うために各ユーザーに割り振られた固有の暗号キーです。
Letter Sealingの[キーフィンガープリント]とは?
キーフィンガープリントの変更方法は書かれていないので、アカウント作成時に固定されているものと思います。
少なくとも、参加しているどのトークルームでも、自分側のキーフィンガープリントは同じでした。
アカウントで固有なのかな、
それとも端末で固有なのかな。
LINEのトークルームの暗号化の仕組みが「レターシーリング」。
これは、主に途中経路でメッセージ内容が傍受されないようにする仕組みです。
2. キーフィンガープリントが一致しない?
LINEのヘルプによると、
「お互いの端末で相手とのトークのキーフィンガープリントを表示して同じであれば、トークは安全に暗号化されている」
と書かれています1。
あれ?
2人の暗号キーの値は違うよ。
ただし、 「自分と相手のキーフィンガープリントが一致」というのは、注意して読む必要があります。
というのも、キーフィンガープリント自体は、一人ひとり異なっているのが正常です。
実際にはこの記述は、「友だちのLINEに表示されるものと一致すれば」とあるように、トークルームに表示されている2つのキーフィンガープリントが互いに一致していることを確認します。
つまり、暗号化されているかどうかの確認というよりは、
「なりすまし」とやり取りしていないかの確認、をしているような感じです。
お互いに確認したキーフィンガープリントが違うということは、「なりすましアカウント」?
2-1. 見ているトークルームは同じなのに見えているキーフィンガープリントが違う
友人と私、両方の端末でトークルームのキーフィンガープリントを比較したところ、
私のキーフィンガープリントは同じでしたが、
友人[Aさん]のキーフィンガープリントは別のものとなっていました。
ただし、過去のプロフィール画像やメッセージ履歴は両端末とも同じでした。
今回の事例では「Bさんから見たAさんのキーフィンガープリント」と、Aさんのキーフィンガープリントが異なるようです。
そうすると一見 別のアカウントなのかと思いきや、こちら(Bさん)からのメッセージは向こう(Aさん)に届いているんですよね。
トークルームを間違えていることは考えにくいです。
お互いが見ているトークルームは「同一」ようです。
そうすると、AさんのLINEアカウントは同じなのに、キーフィンガープリントだけが変更されていて、Bさんには伝わっていない、ということが考えられます。
試しにもう一度 友人(Aさん)からLINEの招待リンクを送ってもらうのはどうか、と考えました。
もしかすると、BさんのLINEアプリの方でも、Aさんの新しいキーフィンガープリントが認識されるかもしれません。
招待リンクを送ってもらいましたが改善しませんでした。
友人[Aさん]に相談してみたところ、 機種変更後に1度アカウントをいじったタイミングがあったようです。
「別の人とのやり取りもできなくなってしまっていて、 アカウントを作り直す」とのことでした。
キーフィンガープリントは、端末に保存されているようです。
機種変更で引き継ぐときには、QRコードによる認証を通して、鍵情報を転送しているようです2。
もしかすると、機種変更時のQRコード認証がうまくいっていなかったのかもしれません。
キーフィンガープリントが違う相手がトークルームにいるのは、本来 想定されていない異常事態ですよね。
もしかすると、LINEサポートに頼むと直してくれたかもしれません。
3. (参考)レターシーリングでメッセージが閲覧できないケース?
レターシーリングが原因でメッセージが閲覧できなくなることがあるのか、LINEのヘルプを確認してみます。
すると、
「以下の操作によって、Letter Sealingが適用され、過去に送受信したメッセージを閲覧できなくなる可能性がある」
と書かれています。
- 同じOSの端末へアカウントの引き継ぎ(例:iOSからiOS)を行った際、メッセージのバックアップ⋅復元を行わなかった
- 異なるOSの端末へアカウントの引き継ぎ(例:iOSからAndroid)を行った
- アカウントの引き継ぎ中にメッセージを受信した
「この場合、『メッセージを表示できません』などとエラーが表示され、過去に送信・受信したメッセージが閲覧できなくなる」
としています。
- 「メッセージを表示できません」
- 「メッセージが復号されていない可能性があるため表示できません」
- 「このメッセージは、利用していた端末から移行されなかったため表示できません」
しかし、この説明はデータ移行の失敗についての話。
「暗号化」とは直接関係ないように思われます。
「端末側のLINEアプリにトーク履歴がなぜか残ってしまったけど、別のLINEアカウントでログインしたことで、閲覧できない」というようなケースなのでしょうか?
通常、「LINEログアウト時にトーク履歴は削除されている」と認識しているので、誤動作の一種だと思います。
そもそも同じLINEアカウントでログインされば、キーフィンガープリントは同じはず。
そうすれば、レターシーリングで暗号化されていても、復号化できるはずだからです。
ただし、LINEアプリの不具合によって、キーフィンガープリントがおかしくなるケースがあるようです。
その場合は、LINEのアップデートや再インストールで解消するみたいです3。
なんか、一般的な暗号化の仕組みと思って、ヘルプを読むと混乱するんだよね。
どうもレターシーリングの大事な部分は、説明を避けている感じもするね。
(補足)
- 自分と相手の[キーフィンガープリント]が一致していれば、トークは安全に暗号化されています。- Letter Sealingの[キーフィンガープリント]とは?
- スマートフォンの機種変更などでLINEアカウントを引き継ぐ際には、古い端末から新しい端末へLetter Sealingの鍵を転送する必要があります – [LINE] レターシーリングはどんなセキュリティなの?(共通鍵交換と暗号化) – スマホ教室ちいラボ
- 現在の対処法はLINEアプリをアップデートするのみ – 【LINE】”メッセージが復号されていない可能性があるため表示できません。”と表示される原因と対処法 – Apple Geek LABO