電話の音声を文字変換するアプリ「Rogervoice」を使ってみました。
いくつか注意すべきポイントがありましたので、実際に試した結果をメモしておきます。
フランスのアプリなのですが、日本には完全対応していないようです。
1. Rogervoiceは電話に字幕をつけるアプリ
「Rogervoice」は、通話を文字起こししてくれるアプリです。
海外製(フランス)のアプリですが、日本語の文字変換もできます。
1-1. アプリのインストールと電話番号の登録
Rogervoiceアプリをインストールすると、まずは電話番号を登録してアカウントを作成します。
Rogervoiceのアカウント登録は、あっという間です。
ユーザー名やパスワードを入力する手順はないので、「面倒な登録」はありませんでした。
登録が完了すると、使い方ガイドが表示されます。
1-2. 言語設定で日本語を選べる
はじめての起動時には、設定画面が表示されます。「Language(言語)」から「Japanese(日本語)」を選択します。
これで通話音声を「日本語」として文字起こししてくれます。
ちなみに、画面の表示を日本語にする設定はありませんでした。(2022年2月時点)
2. Rogervoiceの基本画面
Rogervoiceには、画面下部の4つの基本画面があります。
ダイヤルから電話をかけてみます。「音声の録音」を許可すると、電話を文字起こししてくれます。
2-1. Rogervoiceの料金(Credit)
Rogervoiceは、はじめ15分のお試しがありますが、それ以降は料金が必要です。
どうして月額プランの方が割高なのか、よくわかりませんよね。
海外版では、サブスクリプションの価格設定や機能が異なります。
3. Rogervoiceはフランスで生まれた「電話中継サービス」
Rogervoiceは、フランスのサービスです。Rogerは、「了解した」という航空無線の言葉です。
In radio aviation communication, “Roger that” meant “Received”.
Through Rogervoice, you can understand voice calls. Thanks to your plane (the Rogervoice app!) and your copilots (interpreters and speech professionals), you get to pilot your own calls and arrive at your destination: independence.
(無線の航空通信では、”Roger that”は「了解」を意味します。Rogervoiceを使用すると、音声通話を理解できます。飛行機(Rogervoiceアプリ!)と副操縦士(通訳者とスピーチの専門家)の助けを利用すると、自分の電話を操り、目的地に到着することができます、自立して。
About Us. Discover our story. – Rogervoice captioned calls
ロサンゼルス生まれのOlivier Jeannel(2歳のときに失聴)は、フランスに渡って仕事をするさいに、電話で困ったそうです。
というのも、カリフォルニア州には、聴覚障害者の電話を通訳が取り次ぐ「電話中継システム(phone relay system )」が導入されていたのですが、この仕組みはフランスにはなかったからです。
America has had a phone relay system in place since the 1990’s, with interpreters that relay a call for deaf people. It costs hundreds of millions of dollars per year. Only a handful of countries have such a system. The rest of the world doesn’t.
(アメリカでは1990年代から電話中継システムが導入されており、通訳が聴覚障害者の電話を中継しています。年間数億ドルの費用がかかります。そのようなシステムを持っている国はほんの一握りです。世界の他の地域はそうではありません。)
Giving Birth To Rogervoice. Going outside of my comfort zone forced… | by Olivier Jeannel | Rogervoice | Medium
3-1. 着信はRogervoiceで受けられない
「電話中継」の仕組みには、いくつか普通の電話とは違う不便さがあります。
それは、電話の着信には、そのままRogervoiceを利用することはできないことです。電話がかかってくると、通常の電話アプリが表示されます。
アプリ情報の「アプリの権限」をみると、「電話」はありますが、「デフォルトで開く」には電話はありません。
「設定」の「デフォルトの通話アプリ」を見ても、選択することができません。
Androidスマートフォンでは、「デフォルトのアプリ」で、標準アプリを置き換えることができます。しかし、Rogervoiceをインストールしても、電話アプリの候補に表示されませんでした。
3-2. Rogervoiceで電話をかけると番号通知が「3456」になる
実は、Rogervoiceにはもう一つ難点があります。
それは、Rogervoiceから電話をかけたときに、相手の番号通知に「3456」と表示されることです。つまり、相手には自分がかかけたことがわかりません。
3-3. Rogervoiceの電話中継の仕組み
この背景には Rogervoice の「電話中継」の仕組みが関係しています。
「電話音声の文字変換」というと、スマホが電話音声をリアルタイムに文字起こししているように見えますが、現状では、音声認識はインターネット上の専用サーバで処理することが主流です。しかし、この方法では、電話音声をいったんインターネット回線で送信して処理する必要があり、文字変換が表示されるのに時間がかかってしまいます。
一方、Rogervoiceでは、電話音声を「中継」して文字変換をする仕組みになっています。これだと、スマホからサーバに音声を送る手順がなくなるので、高速にすることができます。
しかし、通話相手の電話回線と直接つながっているのは、Rogervoiceの電話システムになります。これが発着信がややこしくなる理由です。
今後、スマホの性能が向上して、インターネットを利用せずに音声認識ができるようになれば、電話文字は利用しやすくなりますが、現時点では、電話事業者から独立したサービスが作りにくいことがわかります。ドコモの「みえる電話」が、ほかの通信事業者では利用できない理由も納得がいきました。
こちらもどうぞ