- 「定額制の動画配信サービスの退会がなかなかできない」というニュースがありました1。
- DAZNの退会手続きがインターネット上の操作だけでは完結せず、電話やチャットでのやり取りが必要なのです。
- DAZNは、ここ2年で大幅な値上げをしているため、会員数維持を重視していることが考えられます。
1. DAZNの退会画面
DAZNの退会画面を進んでいくと、なかなか完了できません。
ウェブ手続きでは、最終的に「電話またはチャット」による連絡が必要な形になっています。
DAZNサイトでのヘルプでも、このことは明記されています。
一部のお客様においてはお電話又はチャットボットで弊社担当部署にご連絡いただいた上で退会手続きを進めていただくようお願いすることがございます。
DAZN | ヘルプ | DAZNの退会方法
ウェブでの登録だけで加入できるのに比べて、アンバランスに複雑な印象は拭えません。
2. 引き留める理由?
ただし、「DAZNの退会が難しい」という話には、「それも仕方がない」という印象もあります。
ある意味、会員数維持のために「なりふりも構っていられない」事情も明らかになっているからです。
というのも、DAZNの月額料金は、ここ2年のうちに2度もの大幅な値上げがありました23。
年 | DAZN Standard |
---|---|
2017年 | 1,925円/月 |
2022年 | 3,000円/月 |
2023年 | 3,700円/月 |
DAZNの価格は、通信事業者から契約する場合などでも違いがあります。
DAZNは、スポーツを中心とした動画配信サービスです。
「スポーツファンにさらなるプレミアムなスポーツ視聴体験を提供する」をコンセプトに、Jリーグやプロ野球の「全試合配信」を売りにしていました。
当初からほかの配信サービスに比べて「割高」な印象でしたが、3,700円/月になるとかなりの高価格です。
配信サービス | 月額会員 | 主なサービス内容 |
---|---|---|
DAZN Standard | 3,700円/月 | スポーツ配信 |
Netflix Standard | 1,490円/月 | 映画・ドラマ・アニメなど |
Amazon Prime Video | 600円/月 | 映画・ドラマ・アニメなど |
YouTube Premium | 1,280円/月 | 動画投稿・音楽配信 |
Sporify | 980円/月 | 音楽配信 |
値上げの理由は、「コンテンツを供給するためには投資が必要になる。収益化に向けてプレミアムなコンテンツに見合った価格を考えた」としています4。
映画・ドラマは複数のサービスで提供される作品が多いため、配信プラットホームでの「仕入れ値」を下げることができます。
一方、スポーツ配信の場合は、独占配信になるために放映権の仕入れ金額が高くなる傾向があるようです。
映画とかドラマって、確かにNetflixでしか見られない作品もあるんですけれど、Amazonに入ってもHuluに入っても、基本的にほとんど同じコンテンツですよね。たとえばNHKが作った番組って、NHKだけじゃなくてNetflixとかU-NEXTとか、さまざまなサブスクに提供されています。独占ではないので、仕入れ値が安いから各社が買っているわけですよ。
それと比べると、スポーツライブのプラットフォームって、同じコンテンツがないんですよ。他社との差別化が必要となるので、それだけが高くなってしまうんですよね。
2年連続DAZN値上げの向こう側に見えるもの 放映権ビジネスの歴史とJリーグの未来<1/2> : 宇都宮徹壱ウェブマガジン
2017年のDAZN 日本でのサービス開始から 5年間が経過しました。
新しい会員獲得だけを重視すればいい「投資フェーズ」から、
持続的に収益を確保していく「収益化フェーズ」に移行せざるを得ないのです。
DAZNは、コンビニでのプリペイドカードの販売や、通信会社での「バンドルサービス」などでアピールしていました。
(補足)
- DAZN退会、執拗な引き留めが物議…電話orチャットで手続き求める 消費者庁の見解は(J-CASTニュース)(2023-11-17)
- – DAZNが価格改定を正式発表! 月々払いの新たな年間プランも導入へ | サッカーキング(2022-01-25)
- DAZN最大23%値上げ、勝者見えぬスポーツ配信ビジネス – 日本経済新聞(2023年2月12日)
- DAZNの山田学・エグゼクティブバイスプレジデントの2023年1月12日会見より – DAZNが値上げ理由を説明「変更の幅はかなり抑えたつもり」2年連続値上げで月額3700円に : スポーツ報知