- 高性能NVMe SSDをUSBクレードルに接続したら、読み取り操作時に電源が切れる問題が発生しました。
- この原因は主に電力供給不足や熱問題、コントローラーの限界といったクレードル側の問題のようです。
- 対策としてSSDの直接接続やより高品質なエンクロージャーへの交換、適切なバックアップ管理が必要です。

データのバックアップは、難しいですね。
長時間のデータアクセスがあるので、機器に負担がかかってしまったのかもしれません。
1. 【問題】USBクレードルの電源が突然切れてしまう
先日、パソコンのデータを外付けSSDにバックアップすることしました。
NVMe SSDをUSBクレードルに接続して使っていたところ、合計 500GBぐらい正常に書き込むことができました。
しかし、それをローカルディスクにコピーして戻そうとする段階になって、データ読み取り時に突然エラーになり、USBクレードルの電源が切れてしまうようになってしまいました。

10GBを超えるような動画ファイルがいくつかあったのが原因かもしれません。


このUSBクレードルは、NVMe SSDを2枚挿して直接クローニングできる設計になっています。
パソコンとUSB接続して、外付けドライブとしても利用できます。
1-1. クレードルの電源ランプが消灯しているが
エクスプローラーでファイル一覧を表示しようとするだけで動作が不安定になり、複数のパソコンで同じ症状が見られます。
さらに、回復環境のコマンドプロンプトからアクセスしても同様の問題が発生します。
- まず、クレードル(センチュリー製:CRCBM2NV2U32CP_FP)にSSD(シリコンパワー製のUD9Nシリーズ 読み込み速度5,000MB/秒)を取り付けて電源ボタンを押すと赤いランプが点灯します。
これはSSDが正しく認識されたことを示しています。 - 次に、クレードルとパソコンをUSBケーブルでつなぐと青いランプが点灯し、パソコンとの接続が確立されたことがわかります。
この状態ではしばらく放置しても青いランプは点灯したままで安定しています。

- しかし、エクスプローラーやファインダーなどのファイル管理ソフトからSSDにアクセスすると、突然接続が切れてクレードルのランプが消えてしまいます。
- この状態では電源ボタンを押しても反応せず、5秒ほど長押しした後でないと再起動できません。

SSDが認識しなくなっても、ファームウェアの強制終了が必要です。
コントローラーがハングしているか保護モードに入っているようです。
1-2. 「存在しないデバイスを指定しました」
別のSSD(SanDisk Ultra 3D NVMe)をクレードルにつないでも同じ症状が出ていました。
エクスプローラーでは、ファイルを開こうとするとエラーになります。

「PC」を表示すと、外付けSSDの容量は表示されていません。

基本的に「ディスクの管理」からも認識されなくなりましたが、一瞬だけ「読み取り不可」と表示されていました。
Macの接続してみても、データにはアクセスできませんでした。

2. SSDが認識されなくなるのは?
クレードルの説明書を見ると、「PCに接続してしばらく経つと認識されなくなることがある」という記載がありました。

しかし、設置位置や接続ポートを変えても改善しません。
NVMe SSDとUSBクレードルの相性に問題があった可能性があります。
- 電力供給や熱管理が不十分だんた
- クレードル内のコントローラーチップ
- コントローラーのファームウェア
- 高性能SSDは特に読み取り操作時に大きな電力を必要としますが、クレードルがこの電力需要に対応できていなかった可能性があります。
- クレードルには、SSDが連続動作時に発生する熱を適切に逃がす機能が不足していたのかもしれません。
- クレードル内の「コントローラーチップ」が、読み取り操作時の特定の負荷パターンに対応できず故障している可能性があります。
- 「ファームウェア(機器を制御するための基本ソフト)」の問題も疑われます。
コントローラーのファームウェアが特定の読み取りパターンを処理する際に異常終了している可能性があります。

NVMe SSD は高速動作時に 70°C 以上に達することがあり、適切な放熱設計がないエンクロージャーでは熱暴走の危険があります。
熱問題はパフォーマンスの低下(サーマルスロットリング)を引き起こすだけでなく、コントローラーチップの過熱によって接続の遮断を招くことがあります。
2-1. 深刻な論理障害?
SSDコントローラーがアクセスしたときに強制終了するようなファイルシステムのエラーには、いくつかの重大な問題が考えられます:
- メタデータの破損:
ファイルシステムのメタデータ(ファイル割り当てテーブル、ディレクトリ構造など)が破損し、コントローラーが読み取り時に矛盾を検出して強制終了する - 不正なLBA(論理ブロックアドレス)マッピング:
SSDの内部マッピングテーブルが破損し、存在しないまたはアクセス不能な物理領域へのアクセスを試みる - バッドブロック管理の問題:
多数のバッドブロックが発生し、コントローラーのバッドブロック管理機能が対応しきれなくなった状態 - FTL(Flash Translation Layer)の破損:
SSDのファームウェアレベルでのアドレス変換層に問題が発生している - 電源障害後の不完全回復:
急な電源喪失後にジャーナリングや一貫性チェックが完了していない状態
SSDコントローラー自体の問題やFTL(Flash Translation Layer)の深刻な破損に関しては、回復環境からの修復が難しい場合があります。
しかし、問題によっては、ファイルシステムの修復が効果があるかもしれません。
Windowsでは回復環境から chkdsk /f /r
コマンドで、ファイルシステムの論理的な破損を検出し修復できます。
まずは、chkdsk /r
で検査のみをしてみるとよいです。
2-2. NVMeエンクロージャを買い替えるしかなさそう
- まず、いったんこのクレードルを使うのをやめることにしました。
継続使用はデータ損失のリスクを高めるだけでなく、SSD自体にも悪影響を及ぼす可能性があるからです。 - 新しいNVMeエンクロージャーを選ぶ際は、NVMeの性能に見合ったモデルが良いかもしれません。
- 最も確実なデータ救出方法は、SSDをマザーボードのM.2スロットに直接接続してデータを救出すること。
また、ファンなどの能動的な冷却機能を備えたものや、独立した電源供給を持つモデルを選ぶと、電力不足や熱問題を避けられます。

奮発して大容量で高速の2TBのNVMe SSDを選んだのが仇になったのかもしれません。
さらに、クローニング機能などの追加機能がないシンプルなモデルの方が、長期的な信頼性が高い傾向があります。
3. 【教訓】ハードウェア選定の原則
高性能なSSDには、それに見合った高品質なエンクロージャーが必要です。
また、シンプルな設計の製品は、複雑な機能を持つものより長期的な信頼性が高いことが多いです。
特に高速データ転送を行う機器では、熱設計と電力の安定供給が非常に重要です。