- WordPressの共同創設者マット・マレンウェッグ氏とWP Engineの間で、商標使用と貢献度をめぐる対立が起きています。
- WordPress.orgはWP Engineからのアクセスを遮断しました。
- オープンソースと商業利用のバランス、コミュニティへの影響など、多くの課題を提起しています。
「OSSで大きな利益を出したなら還元しろ」ってことなのかな。
OSSはコミュニティで運営しているから個人開発より盤石だと思っていたけど、リーダーの一存であっという間に変質してしまうんだね。
1. OSSのリーダーとサードパーティの対立
OSSは、主導的な創設者と、無償で協力するコミュニティによって成り立っています。
コミュニティによる開発によって、個人開発に比べて発展性や安定性、継続性が高まります。
しかし、創設者という個人の方針によって、コミュニティ全体が影響を受けることも少なくないようです。
WordPressの共同創設者マット・マレンウェッグ氏とWP Engineという会社の間で、深刻な対立が起きています。
マレンウェッグ氏は、WP Engineを「WordPressから利益を得ているのに十分な貢献をしていない」、「WordPressの癌」と批判しました。
その上で、商標の使用をめぐる争いが起こりました。
マレンウェッグ氏が経営するAutomatticは、WP EngineにWordPress商標の使用をやめるよう求めたのです。
一方、WP Engineは、Automatticから高額な商標使用料を要求されたと主張しています。
さらに、対立はWordPress.orgにまで波及します。
WordPress.orgは、WP Engineからのアクセスを遮断したのです。
これにより、WP Engineを利用しているユーザーは、プラグインやテーマの自動更新、セキュリティの修正などを受け取れなくなりました。
- WP Engine
第三者企業が提供する、WordPressに特化したマネージドホスティングサービスです。
wordpress.orgのオープンソースソフトウェアを使用していますが、独自の最適化や機能を追加しています。 - wordpress.com
Automattic社(マット・マレンウェッグ氏がCEOを務める)が運営する商用のWordPressホスティングサービスです。 - wordpress.org
WordPressのオープンソースプロジェクトを管理する公式サイトです。
コミュニティによって運営され、WordPress財団が所有しています(マット・マレンウェッグ氏が共同創設者)1。
2. コミュニティの混乱と影響
この対立により、WordPress.org、それを支援するWordPress財団、そしてAutomatticが所有する商業部門の境界線が曖昧になっていることが表面化しました。
マレンウェッグはWordPress財団のリーダーとしての役割を担っています。
しかし、これまでWordPress.orgがWordPress財団によって管理されていました。
今回、WordPress.orgのアクセス遮断をマレンウェッグ氏が個人的に決めたことは、WordPressコミュニティの協力関係を損なう可能性があります。
オープンソースと商業利用のバランスは繊細な問題で、WordPress開発に様々な影響を与える可能性があります。
結果次第では、さらにWordPressの開発方法や商標の使い方が大きく変わる可能性があり、開発者が距離を取っていくかもしれません。
また、このような騒動によって、ユーザーも混乱します。
サービスの継続性に疑問を持てば、別のサービスに移る可能性もあります。
成功したOSSは、しばしば生まれた収益を巡って対立が生まれます。
多くのウェブサイト運営者に影響を与える可能性があるため、今後の展開が注目されます。