Zoomのサイトで参加しようとしたら、ちょっと違うページが表示されたんだけど、どうして?
「zoom」のサイトをインターネット検索からアクセスすると、中国国内向けのサイトにアクセスしていることがあります。
1. ミーティングに参加できない?
アドレスをよく見ると、「zoom.com.cn」になっています。
ログインページの左上には「東涵」というロゴが表示されています。
検索順位は環境によって変動するので一概に言えませんが、「zoom」で検索してみると、候補の1ページ目に「zoom.com.cn」がありました。
順位チェックツールで調べてみると、zoom.com.cnは、12位になっています(2021年9月17日現在)。
もしかすると、検索エンジンに中国関連のものが設定されていると、もっと上位に表示されるのかもしれませんね。
1-1. URLを読んでみると(.cn)
実は、アクセスしているサイトのURLを読んでみると、「.cn」というのは中国のドメインです。
.cnは国別コードトップレベルドメイン(ccTLD)の一つで、中華人民共和国に割り当てられる。
出典:.cn – Wikipedia
中国サイトの日本語向けのページだということが読み取れます。
ドメインの次に、「jp-jp」や「ja」などの言語を示すディレクトリがあるサイトは多いですね。
1-2. 「zoom」の通常の検索結果
通常の Zoomのサイト(zoom.us)と比べてみましょう。
検索結果は、タイミングなどによって変わりますが、「zoom」で検索すると、今回は「Zoom Meetings(https://explore.zoom.us/)」というページが先頭に表示されました。
「explore.zoom.us」は、「zoom.us」のサブドメインです。
主にサービス紹介のページになっています。
両者を比べてみると、確かに似ていますね。
2. zoom.com.cnが「偽サイト」ではない理由
これってZoomの偽サイトっていうこと?
それが 単純に「偽サイト」とも言えないのです。
セキュリティ証明書を見ると、ちゃんと「Zoom Video Communications, Inc」の名前があります。
つまり、zoom.com.cnのセキュリティ証明は、Zoomが取得しています。
2-1. 上海東涵通訊(Shanghai Donghan Telecommunications)が運営している
ちょっとややこしいのですが、画面下までスクロールしてみます。
すると、コピーライト表記に、「上海東涵通訊:Shanghai Donghan Telecommunications」という企業名があります。
版权所有:上海东涵通讯科技有限公司
(Copyright:Shanghai Donghan Telecommunications Technology Co. Ltd)
上海東涵通訊は、Zoomの中国での提携企業です。
Zoom の中国でのパートナーで zoom.com.cn を運営する Shanghai Donghan Telecommunications(上海東涵通訊)
中国で個人ユーザ間のZoomがサービス停止に | BRIDGE(2020.05.19)
2-2. 中国ではZoomの国際版がブロックされている
そっか、一応公式サイトなのね。
でも、なんでわざわざ別のアドレスなの?
中国国内では通常のZoom(zoom.us)にはアクセスできません。この背景には、中国のインターネットの特殊事情があります。
中国では、2019年9月にZoomの国際版へのアクセスがブロックされました。背景は、米中の情報技術をめぐる対立です。
中国の Zoom ユーザは9月に国内でのサービスがブロックされた後、Shanghai Donghan(東涵)および Shanghai Huawan(華万)が提供する Zoom の現地版などに切り替え始めた。
中国で個人ユーザ間のZoomがサービス停止に| BRIDGE(2020.05.19)
おそらく中国企業のウェブ会議の機密情報が、米国企業のサーバに記録されることを懸念したためでしょう。
テクノロジーと貿易をめぐる中国とアメリカの争いが激化する中、中国がアクセスをブロックする米系インターネットサービス企業の長いリストに Zoom も加えられた。
ビデオ会議ツールの旗手「Zoom」、国慶節を前に中国国内で政府によるブロックが始まる | BRIDGE(2019.09.27)
その代わりにできたのが zoom.com.cn ということになります。
これと反対の話として、2020年4月にZoomのサーバが中国内にあることも問題になったことがありましたよね。Zoom、中国を経由しないルーティングを実装。有償ユーザーは地域設定可能に – PC Watch(2020年4月14日)
インターネット時代の情報管理は、大きなテーマですね。
2-3. Zoomアプリは共通
「ダウンロード」からZoomアプリにアクセスしてみました。
iPhone版は App Storeにアクセスすると、中国語表示ですが同じアプリでした。
Android版は、Playストアにはつながらず、APKファイルのダウンロードボタンがありました。
Zoomは、経由サーバの所在地は、アクセス地域によって自動的に変わる仕組みになっています。
中国版と通常版で入口になるウェブサイトは違いますが、Zoomのシステムそのものは、同じなのかもしれません。
2-4. 中国向けサイトの日本語表記
ところで、なんで中国向けサイトなのに日本語があるの?
それは、中国国内で活動している日本企業もあるからだと思います。
中国向けのサイトですが、外国からもアクセスすることができるので、検索で表示されることがあります。
ただし、間違ってアクセスしても、ウェブ会議サービスそのものには参加できないと思います。
メンテナンスの表示が出ていて、進めなかったね。
ページを見て回っていると、はじめはアクセスできたページが「メンテナンス中」と表示されるようになりました。
実際にZoomアプリからミーティングを作成して、zoom.com.cnからアクセスできるのか試してみたかったのですが、その前にアクセスできませんでした。
3. 【追記】zoom.com.cnのページが更新された(2021-09-18)
翌日、改めてzoom.com.cnにアクセスしてみると、ページが更新されていました。
「https://zoom.com.cn/jp-jp/meetings.html」の同じアドレスなのに、中国語になっています。
紛らわしいという苦情があったのかな?
インターネットは基本的には、世界中どこでも同じように表示されるのですが、たまにこのような例外に遭遇するとびっくりしますね。
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