新型コロナウィルスの感染拡大を防止するため、諸外国のいろんな取り組みが伝えられています。
今回は、アップルとグーグルの感染予防アプリについて、カタカナ用語を解説します。
ニュースのためのカタカナ用語解説シリーズですね
1. 濃厚接触者を探す
米アップルと米グーグルは20日、新型コロナウイルスの感染者と濃厚接触した可能性を知らせるスマートフォン向けアプリの技術仕様を公開した。米国の多くの州と22カ国で使用される予定で、数週間でさらに増える見通しとしている。
SankeiBiz(2020年5月21日)より
こちらは産経Bizからの引用です。
新型コロナウィルス感染対策としては、感染者との「濃厚接触者」を見つけるが重要です。保健所は感染者の行った場所をもとに、「濃厚接触者」を探し、連絡して検査をしています。
しかし、この「濃厚接触者」を探す、というのはなかなか大変なことです。
2週間の間に会った人を全員覚えているかというと…うーん
ということで、国によってはスマートフォンの「位置情報」をもとに「濃厚接触者」を探す取り組みが行われました。
ぎょぎょっ!? どこに行ったか調べられちゃうの?
やましいことがなくても、ちょっと気味が悪いですよね。いくら非常時とはいえプライバシー保護を考えると、全ての位置情報を分析してよいのか。
2. プライバシーを尊重するため
そこで、スマホのシステムを作っている2大企業である、グーグルとアップルがタッグを組んで開発しているのが、このアプリなんです。
ポイントは、
- プライバシーを尊重しつつ
- 濃厚接触者の情報を共有できるようにする
ということ。
3. アプリをインストールしないと始まらない
まず、このアプリは、利用者がアプリを使用するかどうかを選ぶことができます。
スマホを利用していたら自動的に勝手に個人情報を解析される、というものではありません。
アプリをインストールしたり、利用しないと使えないのね
4. ブルートゥースの通信
さらに興味深いのは、位置情報を利用しない、ということです。
どこに行ったかは調べない?
じゃあ、どうやって会った人を調べるの?
このアプリは、スマホに内蔵された「ブルートゥース(Bluetooth)」を通信に使うのが特徴です。
通常の時は、アプリを使っているスマホ同士が近づくと、お互いの情報を記録します。
そして、後日 感染した人がアプリに「陽性」と入力すると、記録されている相手に「警告メッセージ」が送られる、という仕組みです。
ブルートゥースについては「BluetoothとWi-Fiの違い 〜 MacにBluetoothイヤホンをつなぐ方法」で解説しています(巻末にもリンクを載せますね)
5. 「すれ違い通信」に似ている
この話を聞いて、以前にドラクエなどのゲームにあった「すれ違い通信」という機能を思い出しました。
「すれちがい通信」とは、「スリープ状態にしたゲーム機を持った人同士がすれちがったときに情報のやり取りができる、という通信機能」のことです。
街中や電車の中など、人の行きかう場所で、ほかの本体を自動的に探し出し、情報のやりとりを行います。
https://www.nintendo.co.jp/hardware/3dsseries/features/network.html
「すれ違い通信」に対応したゲームは、ゲーム機を持った人同士がすれ違うだけで、ゲームで自分の作ったアイテムを交換したり、などの交流ができました。
ね。似てるでしょ。
ちなみに補足ですが、Nintendo DSなどの「すれ違い通信」は通信手段としては「Wi-Fi」を利用しているようです。
6. すれ違い通信の応用
今回の場合は、アプリを使ってスマホ同士の「すれ違い」を記録することで、位置情報を利用しないでも「濃厚接触者」を探すことができる、ということになります。発想の転換ですね。
へー、ゲームの技術って役に立つのね
しかし、この方法には弱点が1つ。
それは、お互いにアプリを「オン」にしておく必要があるのです。ですので、相手がアプリを利用していなければ、感染情報をやり取りすることができません。多数の人がアプリをインストールしていなければ、意味がなくなってしまうのです。
うまく活用できるとよいですよね。
今回はBluetooth通信の興味深い活用例と思って、ご紹介しました