- iPhoneの「トラッキング許可」は基本的に「許可しない」を選んでも問題ありません。
- お気に入りのECサイトやSNSで活用したい場合は許可も選択肢ですが、銀行や医療アプリでは慎重に判断する必要があります。
- 一度決めた設定は後から変更できるので、自分の価値観とアプリの性質に合わせて判断しましょう。
1. トラッキングは許可した方がいいの?
Facebookアプリにログインしたら、「トラッキング許可」について表示されました。
どちらを選ぶか、どうやって判断すればいいですか?

スマートフォンでよく目にする「トラッキングを許可しますか?」という通知。
基本的には、「許可しない」を選んで問題ありません。
「おすすめ」の精度をあげたい場合にだけ「許可する」ので支障ないからです。
1-1. 「トラッキング」とは?
「トラッキング」とは、私たちがスマートフォンでアプリやウェブサイトを使用する際の行動を追跡・記録することです。
プライバシーが守られるのか心配があるため、利用者が選べるようになっています。
また、スマートフォンのバッテリーの消耗が早くなったり、データ通信量が増えたりする心配もあります。
どのようなウェブサイトを見たか、どんな商品に興味を持ったかといった情報が集められるだけでなく、他の企業と共有されたり、外部に漏れたりする可能性があるからです。
1-2. ATTはIDFAへのアクセスを監視する
iOSのトラッキング許可は「App Tracking Transparency (ATT)」というApple独自の機能です。
この機能はiOS 14.5以降で導入され、アプリがユーザーの「IDFA(広告識別子) 」にアクセスする前に許可を求めることを義務付けています。
「IDFA(Identifier For Advertisers)」はデバイス固有の匿名識別子で、異なるアプリやウェブサイト間でユーザーを追跡するために使われます。
トラッキングを許可しない場合、そのアプリはあなたのIDFAにアクセスできなくなり、他のアプリやウェブサイトのデータと組み合わせてあなたを特定することができなくなります。
しかし、アプリ内であなたの行動を分析することは引き続き可能です。

つまり、Facebookアプリ内でのおすすめ投稿などのパーソナライズ機能は引き続き機能しますが、Facebookが他のショッピングサイトでの行動に基づいて広告を表示することはできなくなります。
2. トラッキングを許可するメリットはあるの?

トラッキングを許可するメリットはあるの?
ウェブサービスは、個人の利用履歴などの大量のデータを収集しようとしています。
これは、情報の「パーソナライズ」のため。
Facebookなどのサービスは、トラッキングによって得られた情報を活用して、「それぞれの利用者に合った広告や情報」を届けます。
例えば、野球用品を探している人には野球関連の広告が表示されるようになります。
それにより、広告主は効果的な宣伝が期待でき、広告単価を上げることができます。

多くのサービスを無料で利用できているのは、この広告収入によっています。
広告収入が増えるのは、企業にとって利益になるだけでなく、サーバーが維持・強化できます。

たくさんの人のアクセスが集中するサービスを、安定的に運営するには、資金的な基盤が必要なんだね。
単に、ユーザーとサービス企業を対立構造で考えることもできないんだね。
2-1. どのように判断すればよいのか(プライバシーの価値観)
トラッキングを許可するかどうかは、「便利さ、プライバシーのどちらを優先するのか」という生活スタイルや考え方によって変わります。
- 【便利さを重視】
例えば、オンラインショッピングをよく利用する人は、おすすめ商品の情報が便利に感じるかもしれません。 - 【プライバシーを重視】
逆に、自分の行動を記録されることに不安を感じる人は、許可しないほうが安心できるでしょう。
お気に入りのECサイトのアプリで商品のレコメンド機能を活用したい場合は、トラッキングを許可しても構いません。
SNSアプリでも、コミュニティ活動が中心なら、関連情報を得られるよう許可するのも選択肢です。
ただし、主に情報収集目的なら「不許可」でも支障ありません。
3. 資産と医療に関係するアプリは要注意
判断基準は、アプリの種類によっても変わります。
銀行や投資、医療関係のアプリでは、ショッピングアプリやSNSアプリに比べると、より慎重に判断する必要があります。
金融や医療に関する情報は、「センシティブデータ」や「機密情報」として多くのプライバシー法で特別な保護の対象となっています。
- 銀行やクレジットカードのアプリでトラッキングを許可すると、どんな投資をしているか、給料日はいつかといった情報、買い物の傾向(よく行くお店や、普段の支出額など)から、私たちの生活パターンが分かってしまいます。
- 病院や薬局のアプリでもどんな病気で通院しているのか、どんな薬を飲んでいるのかという情報は、とても私的なものです。
例えば、EUのGDPRや日本の改正個人情報保護法では、これらの情報は特別な取り扱いが求められています。

一度決めた設定は後から変更できますので、使ってみて判断を見直すこともできます。
お金と健康の情報は、Googleの検索品質評価の文脈では、「YMYL(Your Money or Your Life)」ともいいます。
虚偽の情報などがあると問題が起こる可能性があり、とくに「権威性」や「根拠」が重視されています。
3-1. なぜセンシティブデータを守る必要があるのか?
お金と健康の情報は、私たちの生活を支える大切な基盤です。
これらの情報が漏れると、単にプライバシーが侵害されるだけでなく、生活に大きな影響が出る可能性があります。
例えば、詐欺の被害に遭ったり、就職や結婚・保険加入などで不当な扱いを受けたりする可能性があるからです。
また、SNSなどで不適切な広告が表示され続けるなど、日常生活でも困ることが起きかねません。

そのため、これらの情報を扱うアプリでは、便利さよりも安全性を重視して設定を選ぶことが大切です。
情報を守ることは、私たちの生活を守ることにつながります。

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