- Gmailでは他のメールアドレスを設定し、一つのインターフェースで管理できます。
- 設定には認証情報やサーバー情報が必要で、ラベル機能を使うと整理しやすくなります。
- 送信機能を追加するにはSMTP設定を行い、不要になった場合は設定から削除できます。
1. Gmailにほかのメールアドレスを追加する設定とは?
会社のメール(user@example.com
(仮))が Google Workspace で、ふだんパソコンのブラウザから Gmail にアクセスして確認しています。
ほかにも仕事用のメールアドレス(myproject@example.xyz
(仮))を作ったので、見逃さないようにこれも Gmail で見られるようにしたいです。
そういう設定があるようなのですが、どうしたらよいかわかりません。
パスワードやメールサーバ情報などは書類で用意されているのですが、設定の仕方や意味がわかりません。
ふだん個人でも Gmail はふつうに使っているのですが、考えているうちに Gmail が何なのかわからなくなってきました。
「Gmail」には、いろんな側面があります。
メールアドレス(〜@gmail.com)でもあり、Googleアカウントのログイン名でもあり、メールサービス(mail.google.com)でもあり、メール操作のウェブインターフェース(https://mail.google.com)でもあり、それとは別にスマートフォンやタブレット端末向けのアプリ(Gmailアプリ)もあるからです。

これら「Gmail」という言葉の指す意味は文脈によって変わってきます。
1-1. ウェブインターフェースとしてのGmail(mail.google.com)
ブラウザから mail.google.com にアクセスすると、メール操作画面が表示されます。
これが、ウェブインターフェースとしてのGmail(ウェブ版)です。

スマートフォンなど向けのGmailアプリと区別して、ブラウザで mail.google.com にアクセスして利用するウェブサービスを、「Gmail(ウェブ版)」と呼びます。
自分宛てに届いたメールをどこで閲覧・返信するか、というのは実は重要な問題です。
とくに、最近では自分のパソコンにあるメールソフトを設定して使うのではなく、ブラウザ上でアクセスして使うウェブメールが重宝されています。
自分のアカウントでログインすれば、そのまま同じ環境を作業ができるからです。
ただし、複数のメールアドレスを持っている場合、さまざまなメールサービスを巡回してアクセスするのは面倒です。
そこで、Gmail(ウェブ版) で一括して管理できると便利なわけです。

例えば あなたが会社のGmail アカウントと、プライベートで使っている別のメールを1つのGmailインターフェースで確認・管理できるようになります。
1-2. Gmailで gmail.com 以外のメールを使う2つのパターン

そもそも、このGmailの設定は何のためのものなの?
Gmail(ウェブ版)で閲覧できるのは、「〜@gmail.com」というメールアドレスに届くメールだけではありません。
Gmailでほかのドメインに届いたメールを見る場合、2つのパターンがあります。
- Google Workspaceアカウント(独自ドメインのGmail)
- 外部のメールアカウント(POP・SMTPで連携)
1-3. Google Workspaceアカウント(独自ドメインのGmail)
Google Workspaceは、企業や学校などの組織で契約するサービスです。
契約すると、従業員や学生に独自ドメインでメールアドレスを与える(アカウントを作る)ことができます。

例えば、会社がGoogle Workspaceを利用している場合、仕事用メールアドレスでGmailにログインして、受信したメールを確認したり、メールを作成して送信したりできます。

Google Workspaceのアカウントは、組織専用のドメイン名(例:user@example.com
)でメールやその他のGoogleサービスを利用できるようになります。
かんたんにいうと、「会社のメールアドレスだけど、Gmailにログインして見に行く」というものです。

Googleは、企業向けのウェブメールのサービスも提供しているんだね。
二段階認証などのセキュリティがしっかりしているのがいいよね。
2. GmailにPOPでメールアカウントを追加する
実は、Google以外のサービスで取得したメールも、Gmail(ウェブ版)から送受信できます。
つまり、Gmail を「メールソフト」として使う設定で、そのためには、別のメールサービスのアカウント(Yahoo!メールやOutlookなど)の認証情報を設定します。

この設定では、メールを取得するのに POPを使い、送信するのにSMTPを使います。
それ以外に、Gmailifyという拡張機能の設定もあります。
「POP(Post Office Protocol)」は、受信メールサーバに届いているメールを取得してくるときの通信規約です。
設定された認証情報を持ってアクセスすると、メールが取得できます。
ウェブ版のGmailに外部メールアカウントを追加するには、「すべての設定」を開きます。

- パソコンのブラウザでGmailを開き、画面の右上の「設定(歯車のマーク)」をクリックする
- 「すべての設定を表示」を選び、設定画面の上部にある「アカウントとインポート」というタブをクリックする

- 「他のメールアカウントをチェックする」という項目の横にある「メールアカウントを追加」というリンクをクリックする
- 追加したいメールアドレスを入力して「続行」し、メールの認証情報を入力します。

- 「POPユーザー名」には通常メールアドレスを、
「パスワード」にはそのメールアドレスのパスワードを入れます。 - 「POPサーバー」の欄には、メールサービスのPOPメールサーバーアドレスを入力します(例えば「
mail.example.com
」のような形式)。 - 「ポート」は通常、暗号化通信を使う場合は「995」を入力し、
「セキュリティタイプ」は「SSL」を選ぶことが多いです。

追加したメールアドレスのメッセージがGmail内に表示されるようになります。
Gmailの左側のメニューに新しいラベルが表示され、そこからメッセージを確認できます。
2-1. Gmailからメールを送信できるようにする(SMTP)
合わせてメール送信用のSMTP設定をすると、Gmailからそのメールアドレスを差出人としてメールを送信したり、返信したりできます。

「SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)」は、送信メールサーバにアクセスして、そこからメールを送るための通信規約です。
- 設定の過程で「このアドレスからメールを送信しますか?」と聞かれたら「はい」を選ぶ
- メールを送信するためのサーバー情報を追加する
ユーザー名、パスワードとともに SMTPサーバー情報、ポート番号(多くの場合587か465)を入力する
(安全な接続を使うために「SSL」か「TLS」を選ぶと良いでしょう) - メールで送られてくる確認コードを入力する

これで一つのGmailで複数のメールアドレスを管理できるようになります。
2-2. Gmailに追加したメールアカウントを削除する方法
追加したメールアカウントは、不要になったら設定から削除できます。
- Gmailの「設定」から「すべての設定を表示」を選び、「アカウントとインポート」を開く
- 「他のメールアカウントを確認」というセクションにあるメールアカウントの一覧から「削除」を押す
- 確認メッセージで確定すると、メールアカウント設定は削除される
送信設定も追加していた場合は、「メールを次のアドレスから送信」というセクションから同様に削除できます。

そのメールアカウントからのメールは、もうGmailに届かなくなりますが、すでに受信していたメールは削除されずにGmail内に残ります。
これらのメールを削除したい場合は、該当するラベルにアクセスして個別に管理する必要があります。
3. 【補足】メールを連携するいろんな設定の違い
メールサービスにアクセスしたり、連携したりする方法は、いろいろあってややこしいです。
時代の流れのなかで、さまざまな方法が考案されてきたからです。
少し違いを整理しておきましょう。
3-1. POPによるメール取得とメール転送との違い

POP設定はややこしかったけど、これは「メール転送」とはどう違うの?
メール転送の方が楽じゃない?
メールを受けるだけなら転送でも問題はありません。
しかし、メールに返信するときに違いが出てきます。
GmailのPOP設定とメール転送では仕組みの方向性が違うからです。
- 「POP」の設定は、引っ張ってくる設定。
Gmail側から外部のメールサーバにアクセスし、メールを取得してきます。 - 「メール転送」は、押し出す設定。
届いたメールを別のメールアドレスに自動的に「転送」する機能です。
比較項目 | メール転送 | POPを使った他アカウント設定 |
---|---|---|
設定場所 | 外部メールサービス側で送信先を指定 | Gmail側(受信側)に認証情報を記録 |
メールの扱い | 送信元が自動的に転送 | 受信側が定期的に取得 |
過去のメール | 設定後に届くメールのみが対象 | 過去のメールも取得できる |
返信時の差出人 | Gmailアドレスになりがち | 元のアドレスとして送信可能(SMTP設定) |

Gmailに転送されたメールにそのまま返信してしまうと、メール相手には違うメールアドレスから返信が届くため、びっくりされる可能性があります。
3-2. 「インポート」と「メール確認」の違い

Gmailの「アカウントとインポート」には、「メッセージと連絡先のインポート」と「他のメールアカウントをチェックする」という2つの項目があるんだけど、どう違うの?
「メール確認」は継続的な接続ですが、「インポート」は一回きりです。
いくつかのメールアドレスを一元管理するには、「メール確認」から設定します。

インポートは、移行元のメールサービスをやめて Gmail に切り替えるときに使います。
3-3. メールの取得と同期(POP、IMAP、Gmailify)

Gmailなら、IMAPで同期できるんじゃないの?
ややこしいのは、ウェブ版のGmail には IMAPを追加する設定がないこと1。
しかし、アプリ版のGmailなら、外部メールアカウントを追加するときにIMAP設定になるのですが。

「IMAP」は、「Internet Message Access Protocol」の略。
「インターネットを通じてメールサーバー上のメッセージに直接アクセスし、読み書きや管理ができる通信ルール」を意味しています。
確かに、「IMAP」の設定なら、メールをサーバー上に保存したまま操作できます。
双方向の同期が行われるため、Gmailで既読にしたメールは元のサービス側でも既読になるといった同期も可能です。

この違いがあるため、検索などで調べていくと文脈の違う情報が混ざって、誤解が生まれてしまいがちです。
3-4. Gmailifyサービスに対応していれば……
その代わりに、Googleは「Gmailify(Gmail化する)」という機能を提供しています。
Gmail(ウェブ版)で外部アカウントを追加する際に「Gmailifyでアカウントをリンクする」というオプションが表示されることがあります。
Gmailifyは、Gmail以外のメールアカウント(Yahoo、Outlook.comなど)をGmailアカウントと「リンク」することができるサービスです。
Gmailifyは、単にPOPでメールを取り込むだけでなく、外部アカウントをよりシームレスにGmailの環境に統合します。
スパムフィルターやカテゴリー分けなどのGmailの高度な機能が使えるのです。
ただし、すべての外部メールサービスがGmailifyに対応しているわけではありません。
外部メールサービスの方でも対応している必要があります。

Gmailifyは、一般的な「プロトコル」ではなく、Googleが提供する独自の「サービス層」だからです。


![[iPhone] 「パソコン用のメール」を送受信できるようにする(メールアカウント)](https://chiilabo.com/wp-content/uploads/2024/04/image-23-8-1024x576.jpg)


(補足)
- さらにややこしいことに、これは「ウェブ版Gmailから外部アカウントを追加する際に」という文脈での説明です。Gmail自体はIMAPをサポートしており、他のメールクライアントからGmailにアクセスする際にはIMAP設定が使えます。