皆さんの手元にあるスマートフォン。
この小さな機器は、「情報」を扱うための道具の一つです。
お茶碗や箸、鉛筆や鋏といった他の道具と違って、スマートフォンは直接触ることのできない「情報」を扱うために生まれた、人類の長い技術の歴史の結晶です。
1. スマートフォンは通信と計算の融合したもの
今日、私たちが当たり前のように使うスマートフォンという装置は、二つの偉大な発明の系譜が交わった結果生まれたものです。
その二つとは、「電話」と「コンピュータ」です。
両方とも「情報」を扱うための道具です。
言い換えれば、通信と計算です。
1-1. 通信の発達と電話
「通信」とは、情報を送る側から受け取る側へ伝えるプロセスのことです。
人類のコミュニケーションの歴史は古く、太古の昔にまで遡ります。
煙信号や太鼓による通信から始まり、文字の発明、そして電気を利用した通信へと進化してきました。
19世紀後半、アレクサンダー・グラハム・ベルによって電話が発明されたとき、人々は離れた場所にいる相手の声をリアルタイムで聞けることに驚愕しました。
1-2. 計算の発達とパソコン
一方、「計算」とは、情報を論理的・数学的な一連の操作で処理し、結果を生成するプロセスです。
計算機の歴史も古く、そろばんや算盤から始まります。
しかし、現代のコンピュータにつながる大きな一歩は、チャールズ・バベッジによる「解析機関」の構想でした。
その後、20世紀に入り、真空管を使用した大型計算機ENIACが登場。
そして、トランジスタの発明により、コンピュータは小型化と高性能化の道を歩み始めます。
1970年代には、アップルやIBMによってパーソナルコンピュータが一般に普及し始めます。
グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)やマウスの登場により、コンピュータはより使いやすいものになっていきました。
1-3. モバイル通信と携帯電話
一方、電話も進化を続けていました。
1980年代にはモバイル通信(移動体通信)が実用化され、携帯電話が登場。
初期の携帯電話は大きく重いものでしたが、技術の進歩により急速に小型軽量化が進みました。
そして1990年代、二つの重要な技術革新が起こります。
一つはインターネットの一般への普及、もう一つは携帯電話のデジタル化です。
これらの技術が融合する形で、初期のスマートフォンが登場しました。
2. iPhoneの誕生
この変化が決定的になったのは 2007年。
アップル社が iPhoneを発表したのです。
大画面のタッチパネルと直感的な操作性。
そして「アプリストア」という概念は、携帯電話とコンピュータの融合を新しい形で実現しました。
今日、私たちが使用しているスマートフォンは、この長い進化の過程の産物です。
電話、コンピュータ、カメラ、音楽プレーヤー、そしてインターネット端末。
これらすべての機能が、かつては想像もできなかったほど小さな機器に詰め込まれています。
このような技術の歴史を踏まえつつ、現代のスマートフォンがどのように機能しているのか、そしてそれをどのように活用できるのかを解説していきます。
スマートフォンは確かに複雑な機器ですが、その基本的な原理を理解すれば、誰でも使いこなすことができるのです。