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生成AIは社内で「死蔵」されている情報を活用するのに使えるか?(Google検索アプライアンスの事例から)

生成AIは社内で「死蔵」されている情報を活用するのに使えるか?(Google検索アプライアンスの事例から)
  • 社内ドキュメントを再利用するには、データを外部保存できるかというハードルが大きいようです。
  • 再利用ツール(検索も生成AIも)は、一箇所に置いてたくさんの人で使うからスケールメリットを享受できています。
  • 「ローカル」に移した段階で、クラウド上のサービスに対抗しにくくなってしまうように思えます。
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1. 「ローカルなAI」と社内ドキュメントの再利用

生成AIの活用についての X での投稿1が興味深かったので、メモしておきます。

  • 専門的な情報の場合、生成AIで収集しても精度が低く使いものにならない
  • 生成AIの用途として、社内で死蔵されている資料をローカルなAI に学習させたら便利なはず

つまり、生成AIは、情報収集よりも情報再利用に役に立つはず、という考えです。
確かに「資料をまとめる」よりも、「必要なときに取り出す」という方が難しいことを感じます。

「ローカルなAI」と社内ドキュメントの再利用

私が「まとめ」をパソコン内の保存するのではなく、ウェブサーバに保存して公開しているのも、「検索可能な形」にした方が後から探しやすいからです。

サイト内の「Googleカスタム検索」を利用しています。

それに対して、

  • 過去、Googleが社内に導入できる検索エンジンを提供していたが、うまくいかなかった

というコメントがありました2

この理由が今の生成AIにも成り立つのか考えてみます。

2. 「ローカルな検索エンジン」という事例(Google検索アプライアンス)

「Google検索アプライアンス(GSA:Google Search Appliance)」は、2002年に登場した、社内文書の検索機能を提供する小型コンピュータです。
まさに「ローカルな検索エンジン」でした。

しかし、ハードウェアの改良は2009年を最後に止まり、2019年3月のサポート終了で動作しなくなりました3

「ローカルな検索エンジン」という事例(Google検索アプライアンス)

Google検索アプライアンスのサポート終了の背景については、

  • 各企業向けに期待される個別的なサポートが難しかったこと
  • ライセンスと費用が複雑だったこと
  • ローカルではなく、クラウドによる検索サービスに注力すること

が挙げられています4

「ローカルな検索エンジン」という事例(Google検索アプライアンス)

「エンジニアリングにマーケティングが先行しすぎた」かぁ。

端的に言えば、「この機械でインデックス化するだけで、仕事に役立つ情報が検索できるようになる」という「売り言葉」が、実際にやってみると思った以上に難しかった、ということなんだね。

The Real Story Group は数年前、Google ESA の場合、マーケティングはエンジニアリングよりも数歩先を行っていたとコメントしました。セキュリティ トリミングの管理と HTML インターフェイスを持たないものへの接続は非常に難しく、ランキングと全体的なパフォーマンスを向上させるために ESA を調整することは、控えめに言っても困難でした。 

販売代理店は顧客をサポートするために最善を尽くしましたが、Google に直接接続することができず、直接の顧客サポートも存在しませんでした。また、ライセンス費用を設定する目的で「コンテンツ アイテム」をカウントする Google の複雑な方法により、総所有コストを確実に計算することが困難であることを顧客が理解するのに時間はかかりませんでした。

13 年間にわたってボックス内検索を提供してきた Google は、エンタープライズ検索の未来はクラウドにあることを明確にしました。Google は、今後のソリューションはしばらくの間限定ベータ版として提供されていると述べました。Googleは、関心のある人に対して、開発状況を知らせるために(当然ですが)電子メールアドレスを提供するよう求めています。 

Google Search Appliance Fades Away

3. 「ローカルなAI」が成り立つのか?

Google検索アプライアンスの歴史から考えると、

  • 「学習するデータを外部から安全に保管できるか」ということと、
  • 「利用する企業向けの細かな調整ができるか」ということ

がネックになるようです。

確かに、現在の生成AIは、必要な計算資源の大きく、調整も複雑です。

企業ごとに小規模なローカルAIを提供しても、それを「実用的な形で」メンテナンスするのは大変です。
保持するデータが少なくても、貧弱な計算能力では実用的なデータ生成しにくいことが予想されます。
また、年々、クラウドの生成AIが進歩していくのに対し、ローカルAIの方はなかなか精度を上げられない点が不満になるはずです。

個々の企業にとっても自前で管理するのは難しく、結局 既存の生成AIを利用するのが無難になってしまいそうです。

「ローカルなAI」が成り立つのか?

社内の情報を「外部に出さない」という条件は、検索・生成AIのシステムと相性が悪いんだね。

「ローカルなAI」が成り立つのか?

高度な検索や生成AIを手軽に使えるようになりましたが、それをローカルで用意できるかというと難しいのですね。

(補足)

  1. XユーザーのTorishima / INTPさん: 「父親と AI に関して話していたのだけど、「専門的な開発職なので専門用語が出てくると Bing の要約タスクもまともに動かなかったりで現状正直使い物にならない」「社内では業務でやったことを業務報告書にまとめて PDF で保管する (大昔の紙で書かれてたやつもスキャンして PDF になってる)…」 / X
  2. Xユーザーの山本まさき@産業カウンセラーさん: 「@izutorishima 昔、Googleの検索エンジンを社内に導入できるという商品をGoogle自らが提供してました https://t.co/E33rJ7gmtE 残念ながらビジネス的には失敗に終わっていて、その理由の多くはAI化&高性能化しただけでは解決しないと思われるものです アイデアはいいのに…」 / X
  3. Google検索アプライアンス(GSA)2019年に終了、サイト内検索で使ってる場合は注意! | Web担当者Forum
  4. Google Search Appliance Fades Away(2016 年2月9日)
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