- 「AQUOS sense 2の起動が遅くなった」ということで、機種変更の相談を受けました。
- au でLTE NET(4G)の契約をしているので、本来なら auショップで購入してもらうのが一番スムーズです。
- ところが、「遠方の家族の契約で利用していて、多忙のため携帯ショップまで同伴してもらうのが大変」ということで、オンライン注文でのスマホ購入と初期設定を希望されました。
- 実際に購入してみると、一筋縄ではいかなかったので整理しておきます。

スマートフォンを代理で購入することの難しさを改めて感じました。
ただ、スマートフォンにSIMカードを入れてもうまくいかないことがあるのです。
依頼を受けた時点で覚悟していましたが、大赤字です。
1. auショップで機種変更できない「事情」
auでスマートフォンを契約しているなら、auショップで機種変更するのが一番確実です。
auショップだと、はじめからau向けに調整されたスマートフォンを購入・初期設定をしてもらえるからです。
ところが、80代ぐらいのシニア世代だと自分だけでスマホを購入できないケースがあります。
例えば、60代の子どもの名義で契約をして、スマートフォンを渡してもらっている、ということがあるのです。
遠方に済んでいて、仕事もあるので、機種変更のために帰省してもらうのも難しい。
子どももネットに詳しくないので、オンライン注文も難しい。
通信料金も子どもが払ってもらっているものの、それゆえ ちょっと「肩身が狭い」。
自分のためたお金で気兼ねなく機種変更をしたい、ということがあるのです。
それぞれにいろんな事情があって、「定石」通りにはいかないことがあります。
1-1. 「自分でスマートフォンを購入して設定する」
「スマートフォンも、家電やパソコンのようにどこでも購入できればいいのに」という思いは、確かにもっともです。
実際、スマートフォンがSIMカードに対応しているのなら、スロットに差し込んで接続設定をすれば、新しいスマートフォンでも電話やメールができるはずです。
まずは、ご家族と電話などで相談・了解してもらうようにお伝えして、教室で代行してスマートフォンを購入・初期設定をすることにしました。
費用については、
スマートフォン代は建替え分を実費請求、
あとは初期設定のサポート料として授業料をいただくことにしました。
スマートフォンの価格は、今では誰でもインターネットで価格を検索できます。
自分もお客さんの立場で「あとで調べたら割増だった」というのも嫌なので、そこはそのまま実費にしました。

「スマートフォンを仕入れて販売する」のではなく、
「自分でスマートフォンを機種変更するのをサポートする」というサービスとして考えました。
1-2. AQUOS sense2から機種変更
AQUOS sense2 を 5年ほど使ってきて、起動がとても遅く感じるようになりました。
しかし、現在のスマートフォンの操作には慣れてきたところ。
なるべく似た操作のものを希望されました。

「まったく同じものでスピードだけ速くなる」というのが理想なのだと思います。
スマートフォンでは、新しい機種になると機能も増えたり、廃止されたりするので、なかなかそうはいかないのですよね。
そこで、同じメーカーのシニア向け・全年齢向けのスマホを検討しました。
2023年9月時点の候補としては、
「AQUOS wish」「BASIO active」「AQUOS sense7」が考えられます。

2. BASIO active(au版)の失敗(APN設定のロック)
まずは、第一候補として、「BASIO active(au版)」のアウトレット品をネットで購入しました。
「同じ au なので、つながりやすい」と考えたのです。
ところが、これはかえって裏目に出てしまいました。
この機種では電話はできても、データ通信ができなかったのです。
5G対応機種で、auの5G NETに対応したAPN設定が初期設定されています。
そこで、LTE NETにつなぐために APN設定を追加しようとすると、「au-net.ne.jp」だけは弾かれてしまったのです。
このような細かい「仕様」は、事前に調べても気づきませんでした。
これが auショップなら、店頭で LTE NETから 5G NETに契約を変更し、SIMを変更してもらえば、5G NET につなぐことができます。
しかし、今回は契約者が遠方にいるため それが難しいです。
いったん、教室に返品をしてもらって、別の機種を用意することにしました。
3. AQUOS wishの不具合(SIMの認識不良)
次の候補としては、「AQUOS wish」を選択しました。
nano SIMに対応したSIMフリー端末として販売されています。
特定のキャリアによる調整のないスマートフォンなら、どのAPN設定も追加できるはず、と考えました。
実際、この機種ではたくさんの既存のAPN設定がはじめから登録されていて、au LTEもau 5Gも選択できました。
「au LTE」を選択することで、通話もデータ通信もできるようになったのです。
あとは、「auメール」アプリなどの細かい設定が必要ですが、なんとか以前のように使えるようになりました。
一見、うまくいったように見えましたが、使っていると問題が出てきました。
それは頻繁にデータ通信が切断されてしまうことです。
急に SIMが認識されなくなったり、戻ったりとデータ通信か不安定なのです。
「以前の機種ではこんな問題はなかった」ので、新しい機種のどこかに問題があるようです。
SIMとの相性が悪いのか、性能が足りないのか。
省電力設定のオフやシステムアップデート、SIMカードの差し直しなど、トラブル時の対処を試みました。しかし、依然としてSIMの認識が不安定で、メールが送信エラーになってしまうことがよくあります。
まったく繋がらないわけではなく、少し待つときちんとつながるのですが、これでは不便です。
残念ながら これも失敗。
いったん返品対応をして、改めて別のスマートフォンを購入することにしました。

この時点で教室にはスマートフォンが2つ残ることになってしまいました。
中古で買い取ってもらうことにするのですが、差額はマイナスです。
4. どうして返品対応したのか?
今回 お勧めしたスマートフォンがうまく動作しなかったので、2度の返品対応をしました。
スマートフォン代金は、最終的にうまくいった機種代以外は完全な持ち出しになってしまいました。
一般的には、スマートフォン・パソコンなどを購入して自分の環境で使えなかった場合、返品できる場合とそうでない場合があると思います。
今回 赤字覚悟でうまくいくまで返品対応したのには理由があります。
一つは、やはり信頼して依頼されたものを「完遂」したかったからです。
せっかく「自分でスマートフォンを購入して、機種変更したい」という希望はなんとかサポートしたいものです。
「不便だけど今のままでいい」と考えるより、
「スマホを変えてみよう」と挑戦することは 一番の学習だからです。
もちろん、なんでも自分ですることにはリスクもつきものです。
しかし、なるべく教室で学習している間はリスクを軽減したいです。
もう一つは、スマートフォンのややこしさの「緩衝材」になりたい、という思いがあったからです。
スマートフォンが正常に動くためにはいろんな企業が関係しています。
そのため、何か問題があっても、どこの「責任」かがわかりにくいのです。
製品メーカーが悪いのか、携帯会社の電波が悪いのか、システムに不具合があるのか。
相談しても、いわゆる「たらい回し」になってしまいやすいです。
4-1. スマートフォンの機種変更に伴う不確定要素
ただし、今回は 想定以上に苦労しました。
まずは、自分自身 機種変更についてさらに学んでいくことの重要性を痛感しました。
またスマートフォンの購入については、事前にきちんとリスク・不確定要素を説明した上で、なるべく代行は控えようと学びました。

自分のスマートフォンを自分で機種変更できても、ほかの人の場合で同じようにうまくいくとは限らないのですね。