- 「緊急速報」は、スマートフォンの基本システムに組み込まれており、通知設定を有効にしていると自動的にメッセージと音で知らされます。
- 緊急速報は、気象庁などの公共機関が発信した防災情報を、通信会社がエリア内のスマートフォンに一斉配信する仕組みです。
- 多くのスマートフォンは製造時に「プッシュ通知サービス」に登録されているため、SIMや電話番号がなくても緊急速報を受け取ることができます。
YouTube動画でも話しています。
1. 緊急速報の設定
緊急速報は、スマートフォンの基本システム(OS)に組み込まれています。
通知設を有効にしていると、自動的にメッセージと音で知らされます。
1-1. iPhoneの「緊急速報」の設定
iPhoneの場合は、「設定」の「通知」の中に「緊急速報」の項目があります。
1-2. Androidスマートフォンの「緊急速報メール」の設定(Pixel 5の場合)
Androidスマートフォンでも同様です。
ただし、「通知」や「緊急速報メール」という項目名はメーカーやキャリアによって異なるかもしれません。
「緊急速報メールの履歴」も確認できました。
1-3. キャリアの緊急地震情報サービス
緊急速報は、気象庁などの公共機関が発信した防災情報を、通信会社がエリア内のスマートフォンに一斉配信する仕組みです1。
たとえば、ドコモの場合は、気象庁の 「一般向け緊急地震速報」をもとに、「強い揺れ(震度4以上2」の予想される地域の携帯電話に一斉配信しています3。
この通知は強制ではありません。
通常はオンになっていますが、スマートフォンの設定でオフにもできます。
2. SIMのないスマートフォンでも届くのは?(プッシュ通知)
ところが、腑に落ちない点があります。
Wi-Fi経由でインターネット接続しているスマートフォンにも、緊急速報が届くのです。
通信契約をしていない(=SIMを入れていない)ので、直接 通信会社から配信されているとは考えにくいです。
これは「プッシュ通知」の仕組みによるものです。
多くの防災アプリや自治体アプリに、緊急速報を「プッシュ通知」で受け取れる機能が提供されています。
これらのアプリは、Wi-Fi接続時でもインターネット経由で情報を受信し、端末に通知できます。
つまり、アプリ通知はモバイルデータ通信やSIMを前提としていません。
2-1. 「緊急速報メール」アプリがプリインストールされている
「緊急速報メール」も ほかの防災アプリと基本的には同じ仕組みです。
しかし、
初期状態でインストールされている点や
基本システムと深く連携している点が特徴(警報音が独特)です。
緊急速報メールのシステム基盤は、NTTドコモ、au、ソフトバンクの3社が協力して構築しています。
- 緊急速報メールの配信サーバーの運用
- 緊急速報メールの配信ネットワークの構築
- 緊急速報メールの端末アプリ開発における技術協力
ただし、アプリ自体はそれぞれ独自に提供しているため、アイコンや通知画面の表示デサインには違いがあります。
通信会社も自分のことだけ考えずに、仲良くすればいいのに……。
国内のAndroidスマートフォンには、「緊急速報メール」アプリが入っています。
アプリのインストール元の表記はなく、「バージョンR-initial」と書かれていました。
また、利用時間をみると、緊急速報のあった 6月3日に「1分未満」と記録されていました。
アプリのデータサイズも 360KB と極小で、ほとんどがシステム内と連携しているようです。
このアプリはスマートフォンの基本システムと連携し、防災情報を受け取るようになっています。
2-2. 「緊急速報メール」アプリは怪しいの?
スマホにいつの間にかインストールされている「緊急速報メール」アプリについて、「マルウェアではないか?」と不安に思う声もあるようです454。
しかし、「緊急速報メール」は削除できず、製造時にプリインストールされているアプリです。
あるいは、製造時にはなかった場合でも、基本システムがAndroid 11移行にアップデートされた時に追加されてます。
そもそも、「削除・アンインストール・無効化」などのボタンがないです。
これは、自分で後から追加したアプリではないから。
たとえば、ドコモのスマートフォンでは、Android 11から「エリアメール」の表記が「緊急速報メール」に変更されています6。
2-3. スマートフォンは「プッシュ通知サービス」に登録されている
スマートフォンは、GoogleやAppleの提供する「プッシュ通知サービス」に常時接続していて、互いに通信できる状態になっています。
「緊急速報メール」アプリのインストール時(つまり、製造時)に、「プッシュ通知サービス」から「デバイストークン」という識別番号が割り振られ、「緊急速報メール」のシステムに登録されます。
「緊急速報メール」のシステムは、緊急時に この登録されている宛先に対して通知を一斉送信します。
位置情報などからエリアを判別しています。
つまり、SIMや電話番号がなくても、スマートフォンの製造時に「緊急速報メール」のシステムに宛先が登録されているわけです。
2-4. Androidの「緊急情報サービス」は別もの
ちなみに、ややこしいことにAndroidスマートフォンには、「緊急情報サービス」というアプリもあります。
これは、Googleアカウントでログインして使うアプリです。
地震アラートなどの防災情報を受け取ることもできますが、「緊急速報メール」とは別ものです。
3. iPhoneの「緊急速報」機能
Appleサポートによると、日本国内でiPhoneを利用している場合、気象庁と政府からの速報を、通信事業者のSIMを使って送信されると説明されています。
iPhone で日本の緊急速報を設定する
日本の気象庁と日本政府は速報を配信しています。
緊急速報は、対応した通信事業者の SIM カードを使っている場合に利用できます。デバイスに送信される緊急速報は、デバイスに設定されている言語に翻訳されます。
iPhone で日本の緊急速報を設定する – Apple サポート (日本)
ちなみに、Appleは主に米国企業なので、iPhoneのシステム(iOS)は、米国の社会制度に合わせて設計されています。
「緊急速報」の説明には、米国での仕組みを前提に書かれている箇所も多いです。
iPhone で緊急地震速報/災害・避難情報/公共安全警報を受信できます。緊急時には、iPhone に以下の警報が適宜表示されます。
iPhone の緊急地震速報/災害・避難情報について – Apple サポート (日本)
- 国や地域の政府機関が発令する警報
- 安全・生命に関わる緊急事態に関する警報
- 異常気象の警戒情報
- アンバーアラート (America’s Missing: Broadcast Emergency Response
- 公共安全警報
- 警報発令機関からの追加情報
(補足)
- 緊急速報「エリアメール」 | サービス・機能 | NTTドコモ
- または長周期地震動階級3以上)
- ドコモでは、気象庁から配信された 「一般向け緊急地震速報」を利用して最大震度5弱以上または長周期地震動階級3以上の地震が予想された際に、強い揺れ(震度4以上または長周期地震動階級3以上)の地域(全国を約200の地域に区分)の携帯電話に一斉配信いたします。 – 緊急地震速報 | 緊急速報「エリアメール」 | サービス・機能 | NTTドコモ
- – スマホに緊急速報メールという見覚えのないアプリがインストールされてい… – Yahoo!知恵袋
- – 何人か他の人もヤフー知恵袋で質問している謎のアプリについて(偽物?) – Google Play コミュニティ
- Android 11へのバージョンアップ後のエリアメール設定画面の一番の変化は、メニュー名称を含めて「エリアメール」の表記がすべて「緊急速報メール」に置き換えられていることだ。 – Android 11バージョンアップで緊急速報「エリアメール」アプリが仕様変更 – At First