- 「スマホ乗っ取りにあって急に高額のSMS通信料の請求が届いて困っている」という相談がありました。
- 補償されるかは難しいですが、通信会社の利用規約や加入している補償サービスの細かな内容によって対応されます。
- スマートフォンに不正なアプリをインストールしてしまうと、勝手に大量の迷惑SMSを送信されてしまうことがあります。
それで、数万円のSMS通信料が請求されるわけです。 - まずは、不審なアプリをインストールしないことが一番ですが、万が一 不正利用されてしまったときは、それ以上の被害を広げないためにすぐにSMS機能を停止することが先決です。
しかし、すでに発生した損害を補償してもらうには、根拠が必要になります。
YouTube動画でも話しています。
1. SMS乗っ取りの通信料は誰が支払う?
携帯乗っ取りにあい、高額のSMS利用料を請求されています。
お店で掛け合っても「全てお支払い下さい」と言われるだけで、
何も対応してもらえないです。
「まだ数万円だから‥笑っていられますが、数百万でも支払いはして貰う」と言われました。
これって、本当に支払い義務はあるんですか。
思わぬトラブルに巻き込まれてご不安なことと思います。
「支払い義務」については、法律的なことは判断できません。
通信会社の利用規約や個別の事情にもよると思います。
前提として悪いのは「乗っ取り犯」です。
しかし、通信会社による被害救済があるかというと難しいのが現状です。
過去には「携帯会社が補償してくれた」という話を聞いたことはあるのですが…。
こういう被害が多いので、企業として対応できないのかもしれません。
自ら送ったわけではなく、料金は負担できない。男性は、携帯電話会社に相談した。
偽「不在通知SMS」に注意 スマホ乗っ取られ、詐欺メール大量送信の‟加害者”に…高額請求も|FNNプライムオンライン(2020年11月11日)
ところが、会社側は、間違いなく男性の番号から送信されているため「料金を請求せざるを得ない」との立場だった。
意図せずであっても「乗っ取りアプリ(マルウェア)」をスマートフォンに入れてしまっている可能性が高く、そこには利用者側にも責任の一端があるからです。
2. 海外からの「乗っ取り」だと……
気になるのは、携帯ショップで「乗っ取り被害」と認定してくれているのどうかです。
一箇所でなく複数の機関に相談されるとよいと思います。
金銭的な補償は難しくても、味方になってくれる方に辿り着くとよいです。
警察などに相談して、不正アクセスの被害であることが確かになれば(どうして乗っ取りに至ったのか、落ち度がないのか)、もしかすると対応が変わるかもしれません。
警察の方に今朝、相談に行きましたが‥
「1人で訴訟を起こしても勝ち目はないですが、同じ被害にあっている被害者の会みたいなものをつくり大人数で訴訟を起こせば」
とのアドバイスを頂きました!
今の所は被害者は皆泣き寝入りして料金を払って携帯の番号を変えるしかないのが現状みたいです
サイバー犯罪の場合、被害を請求しようにも、犯人もわからないですものね……。
携帯会社が加害者というわけではないので。
携帯会社もSMSの回線を使用されている状態です。
理想を言えば、きちんと犯人が捕まってほしいと思います。
ただ、おそらく犯人が海外にいて逮捕や賠償には至らないことが想定されると、なかなか優先的に進みにくい現実があるのかもしれません。
国際的な犯罪被害の難しさだね💦
卑怯で納得がいかないなぁ。
3. 「数百万でも支払いはして貰う」はありうる?
ただし、(通信会社にもよりますが)、被害額には上限があると思います。
通信会社の補償につながるわけではないかもしれませんが、異常なSMS送信に早く気づけたら被害が大きくならずに済んだ側面はあるからです。
それぞれの通信会社では、迷惑SMS対策をしています。
迷惑SMSを送る側になっていることで、自分が制限しなくても送信制限を受けることになるはずです。
例えば、ドコモの場合だと、このようなSMS被害を抑える仕組みがあります。
ご注意事項 | ショートメッセージサービス(SMS) | サービス・機能 | NTTドコモ
- 迷惑メールの対策強化として、1日に送信できるSMSを200通未満に制限しています
- 1日のSMS送信通数が一定以上に達した場合、SMS送信状況のご確認に関するドコモからのお知らせのSMSを送信します。
一日 200通までという制限は、au1 ・ソフトバンク2などでも共通です。
1日 200通として計算すると、
3.3円×200通×31日=20,460円/月
月初から乗っ取り被害にあって放置したという極端な場合でも、約 2万円になるはずです(海外へのSMS送信がある場合は別)。
しかも、そのような事態になれば、通信会社からの確認SMSが届くはずです。
被害にあって数日で気づいて相談に行けば、被害額はもっと少なく数千円で済んだはずです。
おそらく「数百万でも支払いはして貰う」というのは言い過ぎで(言葉の「あや」)、実際にそんな被害額になるなら、通信会社の迷惑SMS対策にも問題がある可能性があります。
まずは、利用している通信会社のSMSの注意事項や利用規約を確認してみることがオススメです。
4. セキュリティと補償
被害補償があるかは、どんな保険・補償に加入しているのかにもよります。
補償を受けるためには、事前に補償サービスに加入して、補償内容になっている必要があるからです。
ただし、具体的に「スマホ乗っ取りでの通信費用」を補償するサービスになっているかは要確認です(ざっと確認した範囲では、見つかりませんでした)。
「サイバー保険」で調べると、企業向けにした損害賠償のリスク対策のものが多いです。
個人向けだと、通信会社で提供している任意加入の補償サービスが代表的です。
いろんなパターンを確認するのは大変ですが、補償内容に含まれているかが重要です。
例えば、ドコモの「あんしんパック モバイル」を見てみます。
セット内に、月額330円~1,100円で「smartあんしん補償」があります。
この補償内容の1つに「スマホ不正決済補償」がありました。
ただし、内容は「QRコード決済などが第三者による不正利用の被害に遭われた際に、最大100万円まで補償」とあるので、今回のようなSMS不正利用は対象になっていないようです。
また、「あんしんパック モバイル」には、「あんしんセキュリティ」というセキュリティアプリもあります。
この機能には、「ウイルス対策」が含まれています3。
正しく設定していれば、乗っ取りアプリの動作を事前に防ぐ役割があります。
ウイルス対策
スマートフォン・タブレット本体、アプリ、MicroSDなどの外部メモリに、ウイルスや不審なプログラムがないかを確認し、検知した場合にお知らせします。
あんしんセキュリティ | サービス・機能 | NTTドコモ
つまり、この例では、「乗っ取り対策」として、
検出するセキュリティアプリは提供されているものの、
補償の対象にはなっていないと考えられます。
細かい部分は、実際に加入先に聞いてみるしかないんだね。
すべてのセキュリティリスクを補償してくれるものはないのかな。
(補足)
- 迷惑SMS (Cメール)の防止対策のため、SMS (Cメール)送信可能数に上限を設定しています。 200送信/日または6,000送信/月 – SMS(Cメール) | サービス・機能 | au
- SMSは1日に200件以上、MMSは500件以上の宛先に送信した場合、その後24時間の送信規制が実施されます。-メール・メッセージの送受信ができない | スマートフォン・携帯電話 | ソフトバンク
- あんしんセキュリティ | サービス・機能 | NTTドコモ