- WordPressサイトの手動バックアップは、FTPクライアントを使ったファイルのダウンロードとサーバのphpMyAdminを使ったデータベースのエクスポートの2つの作業が必要です。
- バックアップしたファイルとデータベースは日付をつけて外付けハードディスクやクラウドストレージに保存し、定期的に更新すると安心です。

手動バックアップは技術的知識が必要ですが、プラグイン不要でサーバー負荷が少なく、特に小規模サイト運営者に適しています。
1. 手動バックアップの基本知識
WordPressサイトを手動でバックアップする方法は最も基本的な方法です。
WordPressサイトは、プラグイン(追加機能)を使わずに、すべての作業を自分で行うこともできます。
手動バックアップは大きく分けて、2つの作業が必要です。
- ファイルのバックアップ
サイトを構成する画像やプログラムのこと - データベースのバックアップ
記事やコメントなどの情報が保存されている場所

両方をバックアップしないと、サイトを完全に復元できません。
1-1. ファイルとデータベース
WordPressは、ファイルとデータベースの2つの要素でできています。
ファイル部分は「コア」「テーマ」「プラグイン」「メディア」の4つに分かれています。
コア(本体)にはプログラム本体と設定情報が、テーマ(見栄え)には見た目を決めるHTMLやCSSが、プラグイン(機能拡張)には追加機能のプログラムが含まれています。
メディア(画像など)には、あなたがアップロードした画像や動画、PDFなどのファイルが「wp-content/uploads
」フォルダに保存されています。
一方、MySQLで管理されるデータベースには「投稿データ」「投稿に付随するデータ」「WordPressの設定情報」「プラグインの設定情報」が特殊な形式で保存されています。
ユーザーがサイトにアクセスすると、コアプログラムが起動してデータベースから情報を取り出し、テーマで見た目を整え、プラグイン機能を適用して最終的な表示内容をブラウザに送ります。

この仕組みで、WordPressは訪問者ごとに内容が変わる動的なWebサイトを実現しているのです。
2. バックアップの手順
2-1. ファイルのバックアップ手順(FTPクライアント)
まず、FTPというファイル転送の仕組みを使ってファイルをダウンロードします。
FTPはファイル転送プロトコルの略で、サーバー上のファイルをパソコンに転送するための方法です。
以下の手順で行います。
- FTPクライアントというソフトをパソコンにインストールして利用します。
FileZillaやCyberduckなどの無料ソフトが人気です。 - 次に、レンタルサーバー(ロリポップなど)から提供されたFTP接続情報を入力します。
通常、ホスト名(サーバーのアドレス)、ユーザー名、パスワード、ポート番号が必要です。
これらの情報はサーバーの管理画面で確認できます。 - 接続に成功すると、サーバー上のファイルが表示されます。
WordPressがインストールされているフォルダ(通常は「public_html」や「www」など)内のすべてのファイルを選択し、パソコン上の保存したい場所にダウンロードします。

ファイルの数が多くなるので時間がかかりますが、ダウンロードが完了したらファイルのバックアップは終了です。
2-2. データベースのバックアップ手順
次に、phpMyAdminというツールを使ってデータベースのバックアップを行います。
phpMyAdminはデータベースを管理するためのウェブツールで、多くのレンタルサーバーで提供されています。
- まず、レンタルサーバーの管理画面にログインし、phpMyAdminへのリンクを探します。
通常は「データベース」や「MySQL管理」などのセクションにあります。 - phpMyAdminにログインしたら、左側のサイドバーからWordPressが使用しているデータベース名をクリックします。
データベース名がわからない場合は、WordPressの設定ファイル(wp-config.php)の中にある「DB_NAME」という部分で確認できます。 - データベースを選択したら、上部のタブから「エクスポート」をクリックします。
「クイック」方式か「カスタム」方式を選択できますが、初めての場合は「クイック」方式で十分です。 - 「実行」ボタンをクリックすると、データベースのバックアップファイル(通常はSQL形式)がダウンロードされます。
このファイルには記事やコメント、設定などすべてのデータが含まれています。
これでデータベースのバックアップも完了しました。

ファイルのバックアップとデータベースのバックアップの両方があれば、万が一の時に備えてサイトを復元できます。
2-3. 【補足】バックアップファイルの管理のコツ
- バックアップしたファイルとデータベースは安全な場所に保管しましょう。
- また、バックアップを定期的に行うことをおすすめします。
- バックアップファイルには日付をつけて管理すると、どのタイミングのバックアップなのかが分かりやすくなります。

例えば、週に一度など、定期的なタイミングでバックアップを取り、「wordpress_backup_20250327」のように名前をつけると良いでしょう。
外付けハードディスクやクラウドストレージ(GoogleドライブやDropboxなど)に保存すると、より安心です。
3. 手動復元の手順
もしサイトに問題が発生して復元する必要がある場合は、以下の手順で行います。
- まず、データベースの復元から始めます。
phpMyAdminにログインし、WordPressが使用しているデータベースを選択します。
もし既存のデータベースを完全に置き換えたい場合は、まず「データベース構造」タブを選び、すべてのテーブル(データの表)を削除します。 - 次に「インポート」タブをクリックし、バックアップしておいたSQLファイルを選択します。
「実行」ボタンをクリックすると、データベースが復元されます。 - データベースが復元できたら、次はファイルの復元です。
FTPクライアントを使ってサーバーに接続します。
必要に応じてWordPressがインストールされているフォルダ内のファイルを削除し、バックアップしておいたファイルをアップロードします。

ファイルのアップロードには時間がかかることがあります。
すべてのファイルがアップロードされたら、ブラウザでサイトにアクセスして正常に表示されるか確認します。
4. 【まとめ】手動バックアップのメリットとデメリット
特に技術的な知識のある方や、小規模なサイトを運営している方には、手動バックアップは合理的な選択肢といえるでしょう。
手動バックアップのメリットは、プラグインなどの追加ツールが不要なこと、そしてバックアップの内容を完全にコントロールできることです。
サーバー資源も使わないので、サイトへの負荷が少ないという利点もあります。
ただし、デメリットは手間と時間がかかることです。
また、手作業のため人為的なミスが起こる可能性もあります。
自動化や簡略化を求める場合は、バックアップ用のプラグインの利用も検討してみてください。

慣れないうちは作業に時間がかかるかもしれませんが、何度か繰り返すうちに慣れていきます。