- Windowsの更新では、複数の段階があって処理が進みます。
- 更新プログラムの適用には再起動が必要で、これは動作中のシステムファイルを安全に更新するためです。
- Windows 10以降は、統合更新プログラム(UUP)の導入により、複数の更新を1回の再起動でまとめて適用できるようになりました。
なんか、睡眠中に夢を見たり、REM睡眠があったりするのに似ているね。
Windows Updateが時間がかかるのは、、システムが壊れないようにバックアップしたり、このタイミングでマルウェアが深い層に侵入しないように慎重に実行されるからです。
1. アップデートの途中画面の意味は?
Windows Updateの通知があり「更新して再起動」を選びました。
すると、待ち時間にいろんなメッセージが表示されました。
- システムを更新しています(〜%)
- 再起動しています
- Windowsの準備をしています
- 更新プログラムを構成しています(〜%完了)
- Windowsの準備をしています
- クリーンアップしています 〜%完了
これらの待ち時間には、Windowsのシステムではどのようなことが行われているのでしょうか。
環境:Windows 10(23H2)
Windows Update中に何度も再起動があると、処理に失敗してしまったのではないかと不安になります。
しかし、パソコンを安全に更新するために、更新作業はいくつかの段階に分かれています。
2. 更新プログラムを展開・配置する
「更新して再起動」を実行すると、まず「復元ポイント」が作成されます。
その後、シャットダウン前に「システムを更新しています」という表示が出て来ます。
この段階では、稼働中のWindowsシステムに対して影響を与えない更新処理を行います。
まず、インターネットからダウンロードした更新プログラムを「展開」します。
- ダウンロードしたパッケージの整合性検証
- 更新ファイルの展開と配置
- 更新スクリプトの展開
- システム再起動後の処理手順の登録
そして、システムの古いファイルを新しいものに入れ替えたり、新しいファイルを追加したりします。
また、「レジストリ(Windowsの設定情報)」や、「ドライバー(周辺機器を制御するためのプログラム)」も更新します。
2-1. システムプロセスを安全に終了する
次に「再起動しています」という段階に進みます
これは、「システムプロセス(Windowsの基本的な機能)」を安全に停止するためです。
その後、いったん電源を入れ直し、次の「Windowsの準備をしています」の段階で、システムプロセスを順番に動かしていきます。
このような再起動が必要なのは、Windowsのシステム稼働中は、システムファイルはロックされていて更新できないからです。
再起動ですべてのファイルロックが解除されるので、安全に置き換えられるようになります。
セキュリティ上も、更新作業中のファイルへのアクセスを制限することで、不正なコードがシステムファイルに書き込まれないように保護しています。
2-2. 更新プログラムを構成する
「更新プログラムを構成しています」では、システムの核となる部分の更新を行います。
新しいファイルをWindowsに組み込み、セキュリティの設定を更新します。
また、Windowsの各部品(コンポーネント)の設定を変更し、関連するプログラムの設定も調整します。
- カーネルファイル(ntoskrnl.exe等)の更新
- システムDLLの更新
- Windowsサービスの実行ファイルの更新
- ブートローダーの設定更新
- セキュリティポリシーやシステム保護の設定の更新
再起動ではメモリに読み込まれている古いバージョンのシステムコンポーネントをクリアします。
新旧のシステムコンポーネントが混在する状態を防ぐためです。
2-3. バックアップのクリーンアップ処理
最後の「クリーンアップしています」では、不要になった古いファイルや一時的に使用したファイルを削除します。
更新処理に時間がかかるのは、念のために古いファイルをバックアップしているからです。
更新が完了すると、更新前に作成したバックアップファイルを整理し、システムの動作を最適な状態に整えます。
もし更新作業に失敗した場合に備えて、古いシステムファイルを「Windows.old」というフォルダに保存することもあります。
3. PCの更新の難しさ
Windowsもウェブサーバみたいに、稼働したまま更新できないもんなの?
確かに、ウェブサーバなどでは、システムを稼働させたまま更新できる場合もあります。
- これは、一つのシステムを複数のコンピュータで処理しているためです。
一部のサーバーを切り離しても運用できる設計になっていて、部分的に更新処理を進めていくことができます。 - また、システムが独立したコンポーネントに分かれた設計になっているため、稼働中に部分的に解放したり、読み込み直すことができることも要因です。
一方、PCは通常、単体で動作します。
同じシステムを複数持つような「冗長構成」を取れません。
また、個人が直接操作するPCは、システム構造は密接に統合されています。
そのため、コンポーネントの個別更新は難しく、更新時の切り替えには慎重さが必要なのです。
3-1. 再起動の回数を減らす工夫(UUP)
それでも、以前よりは Windows Updateでの再起動の回数は減っているんですよ。
以前は更新プログラムごとに再起動が必要でした。
しかし、現在は複数の更新を1回の再起動でまとめて適用できるようになっています。
これは「統合更新プログラム(UUP:Unified Update Platform)」という技術で、Windows 10 の 2017年ごろの更新から導入されるようになっています1。