- 「プロブロガー」は2010年代初頭に流行しましたが、固定ファンの獲得や収益の安定化が難しい問題がありました。
- 2010年代後半には、プラットフォームによる収益化が整備され、クリエイターは個性を活かしつつ収益を上げやすくなりました。
- しかし、プラットフォーム依存にはアルゴリズム変更による露出減少などのリスクもあります。
ゆるコンピュータ科学ラジオさんの「プロブロガーって何だったの?いま何してるの?」というYouTube動画が面白かったので、個人的にまとめておきます。
個人だと「収益化」の軸がぶれて迷走しやすいけど、プラットフォームだと「ユーザー利益の最大化」にフォーカスしやすい、という点が勉強になりました。
1. 「プロブロガー」とは?
「プロブロガー」とは、ブログを書くことを職業とする人のことを指します。
似たカテゴリーに「アフィリエイター」があります。
プロブロガーはより「個性を重視した発信で稼ぎたい」という志向に特徴があります。
「好きな仕事で生きていく」っていうやつだね。
「承認欲求」と「生計手段」という2匹の兎をどうやって追うか、というのが重要になりそうだね。
1-1. 前プラットフォーム時代(何に最適化するのか?)
プロブロガーは、2010年代初頭に一時的に流行したものの、その後は沈静化しました。
一時的な現象に留まった主な理由は、そのビジネスモデルに構造的な問題があったからだと考えられます。
個性的なブログ記事で一時的に注目を集め、収益を上げることはできます。
しかし、生計を立てるには収益を上げ続ける必要があります。
しかし、プロブロガーは固定ファンをつけることが難しい状況にありました。
当時、ブログには目立ったプラットフォームがなく、TwitterなどのほかのSNSからブログに誘導する必要がありました。
これは、読者にとってはワンクリックの手間がかかりました。
そこで、プロブロガーは個性を出しつつ、SEO(検索エンジン最適化)や広告収入も気にしなければならず、結果として中途半端な内容になりがちでした。
SEO的なありきたりのタイトルや、記事の途中で広告が差し込まれることで、「白けてしまう」のです。
アートと商業化みたいな話だね。
2. noteとフォローボタン
その後、YouTubeやTikTokなど、より収益化しやすく固定ファンをつけやすいプラットフォームができると、多くの「プロブロガー」は移行していきました。
確かに、好きなことで収益化するなら、YouTubeのイメージがある。
子どもの「なりたい職業」にYouTuberが出てきたのも 2017年ごろからみたいだよね1。
もともと文章にこだわりのある一部のプロブロガーには、note が重要な移行先になりました。
noteは 2014年に開始した、文章や写真などを投稿するメディアプラットフォームで、
2019年にnote.muからnote.comにドメイン名が変更されています。
noteは、いみじくも2010年代初頭に起きたプロブロガーの構造的な問題を解決する仕組みになっていました。
- フォロー機能で固定ファンをつけやすい
- 広告を貼れない仕様で記事の質を損なう要素を排除できた
- 有料記事や投げ銭システムを導入した
つまり、良質な記事を書けば収益につながる環境を作り出したわけです。
面白いことに note で成功した人は、もはや「プロブロガー」とは呼ばれませんでした。
周囲からは「作家」という立場でみなされるようになったのです。
3. プラットフォームとエコシステム
YouTubeやTikTokなどのプラットフォームは、とにかく「ユーザーにとって良質なコンテンツ」を重視しようとします。
それはプラットフォーム自体の活性化のためです。
プラットフォームは、たくさんのユーザーが集まってこそ力を持ちます。
そのため、ユーザーの閲覧体験を重視して、使いやすいインターフェースや機能の開発に注力します。
- アルゴリズム的な推薦システムでユーザーが興味のあるコンテンツを露出する
- フォロー機能やコメント機能でファンとのコミュニティが生まれやすくする
- クリエイターに分析ツールや収益化の機会を提供し継続的な活動を支援する
つまり、プラットフォームとクリエイターは分業をしていることになります。
プラットフォームは集客・滞留と収益化を、
クリエイターは魅力的なコンテンツづくりを担当します。
Google検索そのものも1つの大きなプラットフォームと言えます。
しかし、各プラットフォームの方が「最適化」が進んでいるのかもしれません。
3-1. プラットフォーム依存
しかし、プラットフォーム依存にはリスクもあります。
プラットフォームとクリエイターには力関係があるからです。
- 適切な収益分配が行われるとは限らない
- アルゴリズム変更によって突然露出が減る可能性がある
- 人気のあるコンテンツに偏重し多様性が失われる可能性がある
「プロブロガー」はプラットフォームがなかったことで収益化が難しかったけど、プラットフォームがあったらあったで、アルゴリズムによる誘導と向き合う必要があるんだね。
「好きな仕事で生きていく」って大変なんだね。
(補足)
- 男子中学生が将来なりたい職業 3位「YouTuberなどの動画投稿者」- 中高生が思い描く将来についての意識調査2017(ソニー生命保険)