飲食店やタクシーなど、キャッシュレス決済より現金払いの方が喜ばれるケースがあります。
また、店舗によっては、キャッシュレス決済を止めるということがあります。
この要因に、クレジット払い、QR決済などの手数料は、飲食店側が「売上比率」で支払っていることがあります。
インターネットでモノのやり取りは直接できるようになりました。
仲卸などの中間業者が減った分だけ、価格も下がりました。
でも、今度はお金のやり取り。
キャッシュレス決済は、かえって中間業者が増えているんですね。
手続きはスムーズになったのに、仕組みは複雑になっているのかぁ。
「関所」がなくなったと思っても、また別の関所ができるんだね。
1. 手数料の問題
飲食店などにとって、キャッシュレス決済が負担になる主な理由は、「決済手数料」です。
利用者にとって便利なクレジットカードや電子マネー、QR決済などの支払いですが、当然 システムの維持・管理にはコストがかかります。
その費用は、飲食店が「決済手数料」として負担しています。
考えてみたら当たり前だけど、タダで使えるわけではないんだね。
決済手数料は売上金額の2〜5%程度です。
一見 小さな割合に見えますが、飲食店にとっては意外と大きいです。
例えば、1000円の食事の支払いに3%の手数料がかかると、30円が手数料となり、飲食店の取り分は970円になります。
もちろん、970円がすべて利益になるなら、30円は大したことないでしょう。
しかし、飲食店は、一般的に利益率が低い業態です。
通常 仕入れ・人件費・光熱費などの費用が売上の約 90%近くを占めます。
つまり、「なんとか上げた100円の利益から30円取られる」わけで、この比率は大きいです。
たとえば、月1000万円の売上なら手数料は30万円になり、家賃にも匹敵する負担なのです1。
利益に対する比率ではなく、売上に対する比率だからだね。
全然違う話だけど、コンビニとかのロイヤリティも売上比率だから苦しいって聞くよね。
2. 値上げの問題
キャッシュレス決済には、お客さんの利便性によって売上が上がったり、現金管理や釣銭の用意などの事務作業が減ったり、など、店舗にとってもメリットがあります。
決済手数料も運営コストの一部。
ちゃんと価格に組み込むのが正論です。
えー。
値上げは困るなぁ。
キャッシュレス決済の人にだけ手数料を払ってもらえばいいんじゃないの?
だったら現金の人も増えるし。
ただし、決済会社の多くの規約では、現金とキャッシュレス決済で価格を変えることはできません。
つまり、利益率を維持するには、全体として値上げが必要になります。
導入時期に、PayPayなどのQR決済は「決済手数料 無料」「ポイント還元」を謳って、利用店舗を増やしました。
その後、シェアを取ると手数料が加算されるようになりました。
これが、飲食店によっては「想定以上」だったようです。
でも、いずれは決済手数料がかかるのは、わかっていたとは思うけどね。
3. 資金繰りの問題
キャッシュレス決済の難しさは、もう一つ資金繰りの問題があります。
現金決済ではその日のうちに売上金を手にできますが、キャッシュレス決済では売上金の入金までに数日〜一ヶ月程度の時間がかかります。
別に、ちゃんと後で入金されるのでよいように思いますが、日々の売上で次の仕入れをする際に支障をきたす可能性があります。
店舗やビジネスの規模や利益率によって、向き・不向きがあるんだね。