- Googleドキュメントなどを使っていると、情報管理方法が根本から変わってきたことを感じます。
- 関連するファイルをフォルダでまとめて送らなくても、「@」のリンクだけで共有できるからです。
- 従来の「フォルダ」によるファイル整理だけでなく、クラウドとリンクによるデータ管理に意識を切り替えていく必要がありますね。
1. リンクでつなぐ情報の世界
Google Workspaceなどでは、文書、スプレッドシート、プレゼンテーションなど、異なるタイプのファイルを相互にリンクできます。
関連する情報同士を繋ぎ合わせることができるのです。
あるプロジェクトの計画書があったとします。
その文書内には、予算を詳細に記したスプレッドシートへのリンクが含まれており、さらにプロジェクトに関連するプレゼンテーション資料へのリンクもあります。
このように、関連する情報に直接アクセスできる機能を活用すると、情報を横断的に管理できます。
1-1. 階層型データ管理とリンク型データ管理
これは従来のパソコンで主流だった、フォルダで整理する方法とは考え方を変えてみる必要があります。
- 階層型データ管理は、
情報を整理しやすく、直感的にアクセスできる構造を提供します。
しかし、深い階層になると情報を探し出すのが難しくなることがあります。 - リンク型データ管理は、
情報間の直接的な関連性を強調し、柔軟なアクセスを実現します。
しかし、リンクの管理が複雑になりがちです。
特徴 | 階層型データ管理 | リンク型データ管理 |
---|---|---|
構造 | フォルダとサブフォルダによる階層的な構造 | ドキュメントやデータ間の直接的なリンクによる構造 |
アクセス方法 | 上位レベルから下位レベルへと階層を辿る | リンクをたどって関連情報へ直接アクセス |
情報の関連性 | 親子関係によって情報が関連付けられる | ハイパーリンクによって任意の情報が関連付けられる |
利便性 | 直感的でわかりやすいが、深い階層では情報を見つけにくくなる可能性がある | 柔軟でダイナミックな情報アクセスが可能だが、リンクが複雑になりすぎると管理が難しくなる |
使用例 | 従来のファイルシステム、企業の組織図 | ウェブページ、Google Workspace |
パソコンなら関連するデータはフォルダにまとめるけど、クラウドならリンクで関連付けるんだね。
見つからないときは、検索をかけると。
2. 1980年代に撒かれた種
リンク型データ管理の発想そのものは、真新しいものではありません。
過去に目を向けると、「ハイパーカード」や「TRONの実身・化身モデル」が思い起こされます。
2-1. ハイパーカード
1987年にAppleから発表されたハイパーカードは、ユーザーがテキスト、画像、そして後には動画や音声を含む「カード」を作成し、これらを相互にリンクさせることで情報のナビゲーションを容易にするという、その時代に先駆けたアイデアでした。
ハイパーカードのデータ管理手法を一言で言うと「非線形リンク型データ管理」です。
ハイパーカードは、情報の非線形な探索や関連情報へのアクセスを促進するハイパーテキストのコンセプトを実現した最初の例の一つです。
2-2. TRONの実身・化身方式
リンク型データ管理の一例としては、TRONの実身(じっしん)・化身(けしん)方式も思い出されます。
TRONは1984年ごろだから、ちょっと前なのかな。
この方式は、オブジェクト(実身)とそのオブジェクトの表現やインタフェース(化身)を分離し、相互にリンクするというアプローチを採用しています。
これも、オブジェクト間の関係性やアクセス方法を柔軟に管理できる仕組みです。
- 実身(じっしん)はデータや機能の核心部分を指し、
- 化身(けしん)はそれをどのように表現やアクセスするかという外部に対するインタフェースです。
TRONプロジェクトは、1984年に東京大学の坂村健教授によって提唱されました。実身・化身方式は、このプロジェクトの初期段階から中心的な概念の一つとして存在しています。
3. Google Workspaceのハイパーテキスト化の実現
これらのリンク型データ管理の概念は非常に革新的でしたが、一般に受け入れるには至りませんでした。
しかし、インターネット・HTMLが普及して、「リンク・URL」で情報を共有するスタイルが当たり前になってきました。
とくに、クラウドコンピューティングの発展、そしてデジタルネイティブな世代の台頭といった要因が相まって、いつの間にか日常的に使われるようになっています。
Google Workspace はその一例というわけです。
ドキュメント、スプレッドシート、プレゼンテーションなど、異なる種類のファイルを相互にリンクすることで、情報の関連性を強調し、作業の効率化を図っています。
時代が追いついて使いやすくなったのかも。
40年ぐらいかかったんだねー。