国産ノートパソコンを分解することがあったのですが、海外メーカーに比べて ネジの少なさに感動しました。
組み立てやすさだけでなく、あとの修理しやすさを考えた設計にも工夫があるんですね。
「SDGs」の時代、パソコンのDIYも再評価されるとよいです。
たまたま 分解する機会のあった、富士通 LIFEBOOK AH53/B2と DELL Vostro 15-3568を比べてみます。
1. スッキリとした背面の設計
「LIFEBOOK AH53/B2」の背面ですが、ネジ穴が見えないような設計になっています。
以前、修理したDELL Vostro 15-3568と比較してみると、背面がスッキリしていることがわかります。
手前 2cmほどがパカッと外れるようになっていて、カバーの下にネジが3つ隠れていました。
まるで大工の職人技ですね。
ネジを3つ外すと、あとは背面カバー全体をゆっくり開いて、外すことができます。
3箇所のネジ以外は、ツメでくっついていたのです。
このような設計は、カバーの凹凸が誤差なく製造できないとうまくいきません。
ツメを外すときは割れないようにヒヤヒヤしますが、ピタッと収まると感動です。
しかも、背面カバーを外すと、メモリ、バッテリー、ストレージ部分だけが交換できる状態に穴あきになっています。
つまり、これだけで換装作業ができます。
富士通のほかのノートパソコンがすべて同じ設計ではないのですが、このLIFEBOOK AH53/B2は、かなりスッキリとして設計だと思います。
LIFEBOOK AH53/B2は、富士通のノートパソコンの中でもハイグレードなモデルです。
参考:同じ型番でも設計が違う例
富士通LIFEBOOK AH53/B2のHDDからSSDへの換装 | パソコンりかばり堂本舗
参考:LIFEBOOK AH53/B2の正統進化(2022年)
LIFEBOOK WA3/G2実機レビュー/富士通FMVパソコン比較購入ガイド
(リンク先に底面写真がありますが、排熱穴などがあり、AH53/B2ほどはスッキリしていません)
2. 分解しやすさは当たり前ではない
ノートパソコンによっては、分解はかなり難儀です。
DELLのVostro 15-3568は、とくに複雑な構造で印象に残っています。
DELLのVostro 15-3568は、海外メーカーのコストパフォーマンスのよいパソコンの典型例といえるでしょう。
SSDやメモリに換装するためには、手前のキーボードとのケーブルを外したり、光学ドライブを外したりする必要がありました。
組み立ての逆作業を根気強くする必要があるのです。
特に、前面のキーボードを外して、ケーブルを外す手順が慎重に作業する必要がありました。
どちらのパソコンも、製造は「Made in China」ですが、やはり設計にも品質の違いがあることに気付かされます。
分解がしやすければ、ちょっとしたトラブルなら修理しようと思えます。
3. 修理しないとわからない
一方で、この違いは分解して初めてわかるものです。
自分で修理・換装する人や修理業者であれば違いがわかるのですが、
一般の利用者だと一度も分解しない場合も多いのではないでしょうか。
パソコンが古くなったときに、修理せずにそのまま買い替えるなら、分解のしやすさも意味がありません。
「使い捨て」にするのか、「長く使う」のか。
一概には言えませんが、国産メーカーの方がメーカー保証やメンテナンスを充実させているように感じます。
メーカーが後の修理対応を考えれば、修理しやすい設計になっていきます。
富士通は、メーカー保証が1年、3年など、修理対応が充実しているからこそ、修理しやすい設計に工夫しているのかもしれません。
一方、海外メーカーは、修理対応よりも交換で対応することが多い傾向があります。
パソコン修理は、時間や労力がかかるからです。
それなら、「分解しやすさ」よりも「組み立てやすさ」を重視します。
製造コストを下げることで、海外メーカーの製品はコストパフォーマンスを重視しています。
パソコンでは、しばらく「修理よりも買い替えの方がかえって安くなる」状況で、「使い捨て」が主流になっていました。
しかし、「SDGs(持続可能な開発目標)」が重視される時代、今後は「長く使う」ことが求められてくるでしょう。このような設計の「職人技」が、再評価されていくかもしれません。
一般のユーザーも、もっと修理や換装を「DIY(自分でする)」できることを知るといいよね。
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