情報統制下の反政府デモ活動の情報拡散に、AirDrop の「無制限受信」が利用されていたそうです。
通常、AirDropは「連絡先のみ」に限定して使うのが一般的ですが、こんな使いみちもあったんですね。
1. AirDrop と不特定の相手
AirDropは、iPhoneの写真・動画共有機能です。
相手の連絡先を知らなくても、Bluetooth通信を使って、近くの端末に直接 写真・動画を送信することができます。
通常は、制限なく「すべての端末」から受信すると、不快な写真を送りつけられる心配があります(AirDrop痴漢)。
ところが、中国の反政府デモ活動の情報拡散で、この AirDrop が「活用」されていたそうです。
2. グレートファイアーウォール
中国といえば、厳格な情報管理で有名です。
海外のインターネットは、政府の認めたサービスしか接続できず(グレート・ファイアーウォール)、国内の検索・SNSでも「不都合な情報」はすぐに削除されるようになっています。
そこで、デモについての情報を不特定多数とやり取りするのに、このAirDropの写真共有機能が利用されていたようなのです。
通常、ユーザーはAirDropでコンテンツを全員から無制限に受信することを選択できる。このツールはデモ参加者の間でデモの情報を共有するために使用されており、2019年の香港でのデモでは、中国の「グレート・ファイアウォール」を迂回するために極めて重要な役割を果たしてとQuartzは報じている。
アップルが中国でAirDropの機能を制限…「ゼロコロナ」抗議デモ参加者は重要なツールを失った | Business Insider Japan(2022-11-28)
3. AirDrop機能は制限される?
ただし、AirDropでの写真・動画転送では、ショッキングなもの(流血の現場など)も制限されないので、受信には十分 気をつける必要があります。
ちなみに、中国国内では、このような「問題」に対処するため、すでにAirDrop機能は制限されているようです。
2022年11月26日からの週末に厳しいゼロコロナ政策に対する大規模な抗議が始まる数週間前、AirDropは習近平国家主席と中国政府に反対するポスターの共有に使われたことで、すでに規制が行われていた。
11月7日に9to5Macが最初に報じたこの規制には、iPhoneユーザーがAirDropで誰からでもコンテンツを受け取ることができる時間をわずか10分に制限することが含まれている。
アップルが中国でAirDropの機能を制限…「ゼロコロナ」抗議デモ参加者は重要なツールを失った | Business Insider Japan
インターネットでは、「自由」と「秩序・安全」が時として衝突します。
バランスって難しいものですね。
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