「メタバース(metaverse)」は、「ネットワークにつないだ3D空間」のことです。
3Dゲーム内で遊ぶだけでなく、コミュニケーションや作業領域として活用することが想定されているのがポイントです。
3D空間上で遊んだりするゲームは、すでにたくさんあります。
これまで3D処理は、カクカクして重かったですが、技術の進歩でだいぶスムーズになってきました。ボタン1つで3D空間に入れるようになれば、コミュニケーションや仕事の「場所」として普及するかもしれません。
子どもたちの様子を見ると、すでに3D空間でいろんなもの(建物や道具)を作って遊んでいるんです。
そうなると、人々の時間は有限なので、今のSNSは反対に勢いを失ってしまうことも考えられます。
SNSをメインに活動している場合には敏感になるのかもね。
1. インターネット空間の変化
これまで モバイル通信技術の進化で、インターネットで共有される情報は、文字、写真、ビデオとどんどん進化してきました。
コミュニケーション手段としても、対面や電話から、SNSやウェブ会議など、多様な方法が広がってきました。利用時間をみると、人によっては、SNSやウェブ会議などを利用している時間が、生活の大きな比重を占めているようになっています。
確かに、前はインターネットと言えば、必要なときに検索する程度だったけど、最近は一日中「SNS漬け」だね。
もちろん、これらの比重が増えても、リアルな対面が全くなくなるわけではありません。
でも、実際にウェブ会議で帰省や出張が減ったりなど、少しずつ社会が変わっているのは感じられますよね。
「メタバースが流行る」というのは、その延長として「今後は、インターネットの利用空間として、3Dモデルで構築された仮想空間が普及していく」という見方です。
「メタバース」をめぐる解説はたくさんありますが、まずは Meta社のグローバル対策室 Nick Clegg氏の発信を読んでみることがオススメです。
Facebookが18年前に始まったとき、私たちは主にWebサイトにテキストを入力していました。私たちがカメラ付きの電話を手に入れたとき、インターネットはより視覚的でモバイルになりました。接続が速くなるにつれて、ビデオは物事を共有するためのより豊かな方法になりました。デスクトップからウェブ、そしてモバイルへと移行しました。テキストから写真、ビデオまで。
この進行では、メタバースは論理的な進化です。これは次世代のインターネットであり、より没入型の3Dエクスペリエンスです。
MicrosoftやGoogleのような大手企業から、NianticやEmblematicのような小規模企業まで、幅広いテクノロジー企業が、すでにメタバース向けのエクスペリエンスと製品(experiences and products for the metaverse)を構築しています。それの初期のバージョンは、Roblox、Minecraft、Fortniteなどのゲームの仮想世界にすでに存在しています。
そして、私たち全員がメタバースに関与しています。Metaが作り上げたアイデアではありません。今日「マイクロソフトインターネット」や「グーグルインターネット」がないのと同じように、メタランメタバース(Meta-run metaverse)はありません。
Making the metaverse: What it is, how it will be built, and why it matters | by Nick Clegg | May, 2022 | Mediumより和訳・抜粋
「metaverse」は、一般名詞です。
Meta社のVR空間サービスは、「Horizon」という名称です。
2. 3D空間が生活の一部になった
Clegg氏は、RobloxやMinecraft、Fortniteなどの多人数参加型の3Dゲームを「metaverseの初期バージョン」と言っているように、metaverseは、「インターネットに接続された3D空間」という意味になります。
メタバース (英: Metaverse) は、コンピュータやコンピュータネットワークの中に構築された、3次元の仮想空間やそのサービスを指す。日本にあっては主にバーチャル空間の一種で、企業および2021年以降に参入した商業空間をそう呼んでいる。
メタバース – Wikipedia
オンライン上に擬似的な生活空間を構築する遊び方は、1990年代後半から2000年代にかけて、Ultima OnlineなどのMMORPG(多人数参加型RPG)で、すでに生まれていました。
このころは、まだ 2Dなんだね。
それが、2011年のMinecraftでは、サーバー上に3D空間を構築できるようになり、共同で建築物を作ったり、他の人がそこを見に行く、という楽しみ方ができました。
人気になった「あつまれどうぶつの森(2020年)」でも、インターネット通信で お互いの島に行き来する遊び方があります。自分のデザインした建物や街並みを見せたり、中で遊ぶことができるのです。
うちの子どもも遊んでいます。
3D空間が、観光やファッションの表現領域になったわけです。
2020年のアメリカ大統領選挙では、バイデン候補が、ゲーム上に「選挙本部」を開設したことでも、ニュースになったよね。
このような3D空間をゲーム以外に広げる概念として、「metaverse」という言葉が生まれたわけです。Clegg氏のいうように、metaverse的なコミュニケーションは、Metaの新機軸というわけではありません。
「今後、メタバースが普及する」という際のメタバースは、必ずしも Meta社のサービス「Horizon World」のことを指しているとは限らないのです。
とはいえ、「メタバースといえば、Horizon」なイメージを作り出したのは、さすがです。
3. 孤立した3D空間と共通の形式
インターネットのウェブページは、文書同士がリンクを通してつながることで、新たな意味が生まれました。動画でも、YouTubeやTiktok、Instagramなど、動画やアカウントが相互に関連するようになって、急速に広がりました。
しかし、メタバースでは、これらのウェブと違って、まだ簡単には相互に移動できません。
3Dゲームをプレイしたり、3Dイベントに参加したりするには、それぞれにアプリやアカウントを用意する必要があります。現在は、ゲーム・サービスごとに、サーバシステムやデータ形式が違うからです。
試しに、3D展示会などに参加しようとすると、インターネットブラウザから表示するか、アプリなどをインストールする必要があって面倒です。
つまり、現在は、いろんな3D空間が乱立している状態で、相互に行き来することはできません。これは、インターネット以前の、さまざまなネットワークが孤立していた状態に似ています。
インターネットでは、HTMLという柔軟な形式が広く採用されることで、相互につながることができるようになりました。HTMLは、それまでの一般的な文書ファイル形式よりは、やや冗長なものでしたが、シンプルな形式にすることで、多数のサイトが参加できました。
今後、さまざまな3D空間が、かんたんに相互接続できるようになるのかは まだわかりません。
ただ、ゲームを作るための3Dエンジンは、寡占化が進んでいます。また、3DプリンタやVR技術によって、3Dデータをゲームや映画以外に活用する道ができたことも大きいです。
日常的に3Dを扱う素地は整ってきていると言えます。
例えば、ある人が「VRM形式」で3Dモデルを作成して公開すると、別の人がゲームに組み込んだり、また別の人がフィギュアにしたり、ということができています。
4. 1つにならなくてもよい
あるいは、SNSのように、少数のメジャーのサービスに集約される道も考えられます。
現在SNSは、サービスとしてはたくさんありますが、利用者が多いプラットホームは、数えられるほどです。
SNSは、知り合いが利用していることに価値があるサービスだからです。
確かに、SNSも1つではないけれど、だいたいInstagram、LINE、YouTubeが主流だもんね。
Meta社は、Horizonでこの一角を占めたいと考えているでしょう。
もし、今後 metaverse が生活の場として普及すれば、時間の奪い合いの結果として、人々は既存のSNSからは減ることになります。今は活発なSNSも、「廃墟」のようになるかもしれません。
掲示板やmixiなどを見れば、なくならなくても、勢いがなくなってしまうことはあるかもね。
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