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暗号通貨の分散管理と決済を考える

暗号通貨の分散管理と決済を考える

ビットコインなどの暗号通貨については、「金融決済の革命」なのか「地球規模の虚業」なのか、未だにはっきりした見解は定まっていません。

しかし、最初に話題になってその後バブルが崩壊したのが2017年ということを考えると、すでにある程度長く続いている現象で、その歩みからわかってきたこともあります。

最近、暗号通貨に関する懐疑的なニュースで、気になったものがあるので、まとめてメモしておきます。

ポイント
  • 分散管理されるシステムは、国際的な地域情勢の影響で頻繁に価値が変動する。
  • 決済手段として普及しない限り、最終的に現金化(買い手)が必要になる。
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1. BTCの過去5年の価格変動

まずは、代表的な暗号通貨であるビットコイン(BTC)の過去5年分の価格変動を見ておきます。

引用:Google
引用:Google

2022年1月26日時点では、1BTCが約424万円になっています。

「ビットコインバブル」と言われた2017年12月の最高値も 約235万円で、2022年1月時点でみると小さな山になっています。

直近の最高値 約700万円からは大きく下がっているものの、現時点でも依然として高いことがわかります。

2. エネルギー不足と分散管理

懐疑的な一つの材料は、国家規模のエネルギー不足によって影響を受けていることです。

カザフスタンでは、エネルギー価格値上げに対する暴動から、インターネットが遮断され、暗号通貨を支えるシステムが一部つながらなくなりました(2022年01月07日)。

エネルギー価格値上げに対する抗議が暴動と化したカザフスタンは、アメリカに次ぐ世界第2位のビットコインマイニングハブでもあるのですが、全土で通信遮断が行われたことで、大きな影響が出ています。(中略)

カザフスタンでマイニングファームを運営しているというDidar(@didar_bekbau)氏は「ネットなしにマイニングはできません」とツイートしています。(中略)

デモは鎮圧に治安部隊が出動し、デモ参加者数十名が死亡し治安部隊にも犠牲者が出る事態。

世界第2位のビットコインマイニングハブであるカザフスタンのネット遮断が原因で全世界マイナー推定15%消失、さらなる混乱へ – GIGAZINE2022年01月07日

同様のことは、コソボでも発生しています(2022年01月18日)。

エネルギー不足が続くコソボで、電力を大量に消費する仮想通貨のマイニングが禁止された結果、インターネット上にマイニング機器を売却しようとするコソボの人々の投稿があふれていると報じられています。

仮想通貨マイニング禁止でマイニング用機材の投げ売り騒動が発生 – GIGAZINE(2022年01月18日

国家が発行する法定通貨に対する、暗号通貨の優位性の一つは、「分散管理」である点です。分散型のシステムとしては、例えば「インターネット」もそうです。

しかし、分散管理には、いいことばかりでもないようです。

金融システムを多数のコンピュータで分散して支えているので、一気にダウンしにくいのですが、その反面、いろんな地域事情がシステム自体の「価値」に直接影響しています。

国家システムが不安定なときでも価値が保存されるのが暗号通貨の特徴ですが、電力・通信インフラが維持できなくなると、システムを利用できなくなってしまう問題点が見えてきました。

ポイント

「平時の資産」か「乱世の資産」かわからない。

3. 結局、現金に戻す?

ビットコインなどの暗号通貨は、将来的には「通貨」として決済に利用できることを期待されていますが、現状では「現金に引き出してから利用する」ケースが圧倒的です。

この背景には、価値の変動幅が大きいために、直接 支払いに使用できる場が限られていることが考えられます。端的に言えば、「生活費」として使えません。

暗号通貨は実際の通貨として使用するには価値の変動が激しすぎるため、人々はそれを一種の投資として扱っています。ここで発生する問題は、実際のお金を引き出すために、所持しているトークンを購入してくれる人を見つける必要があること。高値で売ることができると人々が信じている限り、この問題が起こる可能性は高いです。

将来もっと価値が上がるという約束だけの暗号トークンを今後どこかのタイミングで購入する人々がいなくなった場合、全トークンの価値自体がゼロとなり、スキーム全体が崩壊する可能性すらあるのです。

Vivaldi が絶対に暗号通貨に手を出さない理由 | Vivaldi Browser

そのため、実際の価格は「通貨」というよりも、「テック企業の株式」に近い振る舞いを見せています。

「デジタルマネー」と呼ばれ価値保存手段の役割をしてきたビットコインの価格が最近ではハイテク株の株価と同じ方向に動く傾向が大きくなった。実際にインフレの避難所とされた仮想通貨が危険資産である株式のように価格が上がっては下がっている。

(中略)

ウエスタンユニオン銀行の首席資産戦略家はCNBCとのインタビューで「ビットコイン価格の流れは過去にバブルが弾けて消えた他の資産と似た流れを見せている。流動性局面が減れば仮想通貨のように過大評価された投機資産は損害を受ける恐れがある」と指摘した。

ビットコイン時価総額が半減、2カ月で6000億ドル消えた(中央日報日本語版) – Yahoo!ニュース(20221/24)

「暗号通貨」は、株式や債権、通貨などのリスクを分散するための投資先として注目されましたが、まだ未知数だと言えます。

ポイント

決済手段として普及しなければ、「生活費」が必要になると現金化される。

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