- 先日、Pixel 3 が急に充電できなくなって、充電器につないだまま操作をしていたら、いきなり警察に緊急通報をしそうになりました。
- バッテリーと緊急通報は一見関係なさそうなのですが、どうも電源系統が不安定になっていたようです。
丸一日かけてバッテリーの不具合に対処しました。
1. バッテリー残量が0のまま充電されない
Pixel 3(2018年11月販売)を使って 3年になりますが、最近 バッテリーの持ちが悪くなってきました。
それでもこまめに充電しながら使っていたのですが、今朝はちょっと様子がおかしいです。充電器に接続しても バッテリー残量が0%のまま いっこうに増えません。
充電器につないでいれば、とりあえずスマホは操作できるのですが、これでは「携帯」できません。
これまでもバッテリーの減りは早くなっているのは気になっていましたが、前の日まではちゃんと充電できていただけに、ショックです。
バッテリー使用量のグラフを見ると、充電のスピードの違いがわかるね。
1-1. 充電できない主な原因を考える
充電が進まない原因としては、
・充電器の故障
・スマホの充電用コネクタの故障
・バッテリーの劣化
・システムのバッテリー制御の不具合
などが考えられます。
1-2. 別の充電器に接続してみる
まず、充電器の故障の線から、別の充電器につないでみます。
しかし、別の充電器でも充電できませんでした。充電器が原因ではなさそうです。
ちなみに、充電器は Anker PowerPort III(急速充電器)を使っています。
1-3. 充電用コネクタを掃除する
スマホの充電用コネクタが壊れてしまった可能性も考えられます。充電したまま落としたりすると、コネクタが破損することがあります。あるいは、コネクタ内にゴミなどが詰まってしまうこともあります。
楊枝でコネクタ内を掃除してみると、少し黒い汚れがついていましたが、ゴミの詰まりなどはありませんでした。
あんまりガリガリすると、故障の原因にもなるので、そっと優しく
充電器につなぎ直しても、やっぱり充電できません。
ただ、よく見ると スマホのステータスバーに充電マークが表示されています。充電器につながっていることは、認識されているようです。
1-4. AccuBatteryで充電状況を確認する
Androidシステムのバッテリー情報だけでは、状態がよくわからないので、「AccuBattery」というアプリで確認してみます。
「バッテリー診断」に関するアプリをいくつか試してみましたが、この「AccuBattery」は、システムが計測している充電・放電の電流を記録して、現在のバッテリー容量を推定できる点がわかりやすいです。
「充電中」のはずなのですが、充電電流が 「-345 mA」や「-147 mA」など、マイナス表示になっています。
1-5. システムの不具合かバッテリーの劣化
このように考えると、
・システムの不具合か
・バッテリーの劣化
に絞られます。
Androidシステムは、バッテリーを長持ちさせるために、残量を見ながら充電速度を制御しています。バッテリー残量の認識がおかしくなって、満タンではないのに充電を停止している可能性があります。
この場合は、システムを再起動したり、アップデートしたり、何らかの「仕切り直し」でうまくいきことがあります。
システムの不具合の可能性もあるので、一応 最新のシステム アップデートがないか確認してみました。
特に システム アップデートはありませんでした。
とりあえず、不具合のときにはシステム アップデートを確認するのが定石ですね。
もう一つは、シンプルに バッテリーの経年劣化 です。古くなると、バッテリーは劣化していくので、「ついに」ダメになってしまったのかもしれません。
バッテリーは消耗品なので、修理に依頼して交換してもらうしかありません。
1-6. 途中まで充電できて進まない?
電源をオフにて再起動してみると、少しずつ充電できるようになりました。
ところが、途中まで充電されたところで、進まなくなってしまいました。
バッテリー状態を見てみると、20%なのに「充電が完了しました」と表示されたり、表示がコロコロと切り替わります。
AccuBatteryで充電履歴を見てみると、以前の充電速度の1/20になっています。
どうも、充電と放電がせめぎ合っているというか、釣り合ってしまっているような印象です。
2. 勝手にスマホから緊急通報!?
さて、原因を探るために充電器につなぎながら操作をしていると、アクシデントがありました。
スマホが急に再起動したり、
画面がカメラに切り替わったり、
挙句の果てに 緊急通報の画面になってしまったのです。
特に緊急通報は冷や汗もので、「ピコーン!ピコーン!」と警報音が流れてカウントダウンが進みます。慌てて、画面下のボタンを右にスライドして、なんとかキャンセルできました。
幸い、緊急通報には、発信前に5秒のカウントダウンがありますので、キャンセルできます。
2-1. SIMカードを外せば電話は無効
とりあえず、このまま操作するのは怖いので、一度 SIMカードを外します。
SIMカードが外れた状態であれば、緊急通報であっても電話が発信できません。間違ってかかってしまったとしても、すぐに「通話終了」と表示されるので大丈夫です。
なお、SIMカードの入っていない端末にも「緊急通報のみ」と表示されている場合がありますが、日本国内では緊急通報であっても発信することはできません。
出典:スマホの緊急通報とは?押すとこうなる!【iPhone/Android】 | SNS・アプリの使い方ガイド
海外にはSIMカードなしで通報可能な地域もあるため、「緊急通報のみ」と表示されているようです。
2-2. もしかしてコンピュータウイルス?
勝手に110番に電話をかけようとするなんて、コンピュータウイルスにかかったのかな?
確かに、バッテリー充電ができなかったり、勝手に動作する原因として、マルウェア(悪意のあるソフトウェア)の可能性も考えられます。
心配なので、セキュリティアプリでスキャンしてみました。
インストールしている「McAfee LiveSafe」によると、結果は「問題なし」。
セキュリティアプリの見落としの可能性もありますが、McAfee LiveSafeは月々500円ぐらいは支払っている「ちゃんとしたセキュリティアプリ」です。
ひとまず、ウイルスの可能性は除外して考えてみます。
2-3. 電源ボタンのショートカット操作
というのも、先ほどの勝手に動いた3つの操作には、共通点があります。
それは、「電源ボタンを使った操作」ということです。
長押しでの再起動は、スマホが全く反応しなくなってしまったときに使うことがあります。
また、電源ボタンの2度押しですぐにカメラが起動するのは、急にシャッターチャンスがあったときに便利です。
電源ボタンの5度押しで緊急通報できるのは、はじめて知りました。
ボタン操作だけで緊急通報できるので、防犯対策として役に立つ時があるかもしれません(とはいえ、警報音が鳴るのでちょっと心配ですが……)。
ということで、「スマホが遠隔操作された」というよりも、電圧が不安定な状態で、電源ボタンの電気信号が誤検知されてしまっている可能性が高そうです。
古い蛍光灯がチカチカ点滅するみたいな感じなのかな。
電圧と誤操作の関係で言うと、充電中はタッチパネルの誤反応が起こりやすい、という経験もあります。
意外とスマホの充電はデリケートなんですよね。
3. なんとか解決した
結局、いろいろやって、100%まで充電できるようになりました。
バッテリーの不具合を改善するためにしたことは、主に3つです。
前日から当日にかけてのバッテリー残量の推移を見てみましょう。AccuBatteryの履歴を元にグラフを作成しました。
完全な検証をするには、一つずつ効果を有無を比較したいのですが、結局 いつの間にか直っているんですよね。
3-1. Fastbootモードの電源オフ
普通のシャットダウン、電源ボタンの長押しでの再起動ではうまく充電できなかったので、Fastbootモードからの「電源オフ」を試してみました。
「Fastbootモード」は、パソコンの「起動オプション」のようなモードで、電源オフ以外には、リカバリーモードなどを選ぶことができます。Pixel 3の場合は、電源ボタンと音量ダウンボタンを10秒長押しすると、Fastbootモードになります。
これは、スマホのメモリをクリアして、システムをいったんリセットするのが目的です。
ちなみに、電源ボタンと音量ダウンボタンを同時に押すと、スクリーンショットも撮れます。
3-2. バッテリーの完全放電
もう一つは、バッテリーの完全放電です。あえて電源をオンにしたまま充電器を外して、バッテリーを使い切ります。
バッテリーの寿命にはあまり良くないのですが、一度完全に放電するとバッテリーの異常が改善することがあります。
充電が溜まりにくいことや、電池の持ちが悪い場合、また再起動を繰り返す不具合には、電池残量を0%に一度リセットしてから充電することで改善することがある
スマホの電池劣化を防ぐ方法|リチウムイオン電池の弱点とは⁉︎
バッテリーの制御機構が再認識されるからなのではないかと思います。
3-3. 不要なアプリのアンインストール
最後は、不要なアプリのアンインストールです。
セキュリティアプリによると「マルウェアはない」はずなのですが、どれかのアプリが問題を引き起こしている可能性は否定できません(不具合もあるので)。アプリを減らせば、運が良ければ問題が解消するかもしれません。
特に、ホーム画面アプリや最適化ツールアプリは、システムに近いアプリです。試しにインストールしただけのアプリはこの機会に削除しました。
実際に無料の最適化ツールの中には、広告を表示するだけの偽物や、最悪の場合 マルウェアが含まれていることがあります。
なので、これらのアプリ(特に「スーパークリーナー」)の可能性もちょっと疑っています。
4. バッテリー容量が激減している
100%充電できるようになって、スマホの動作も安定して、めでたしめでたし、と思いきや、問題が残りました。
それは、バッテリー容量です。
バッテリーの劣化すると早く充電がなくなるので、消費電力が増えたように感じますが、実際には最大容量の方が減っています。つまり、同じ電力を消費しても、割合いでは多くなるのです。
通常は、バッテリー充電は%表記なので、最大容量を見ることはありませんので、アプリを使って確認します。
iPhoneの場合は、設定から「バッテリーの状態」を確認できます。
4-1. AccuBatteryで推定容量を確認する
AccuBatteryでは、充電電流と充電率の変化から、最大容量を推定してくれます。これを設計容量と比較することで、バッテリーの劣化具合がわかります。
バッテリーの推定容量を過去のスクリーンショットと比較して見てみると、不具合のあった11月21日以降、どんどん低下していました。
ここで表示されている「推定容量」には、「〜 セッションにおける合計容量と充電に基づく」と書いてあります。つまり、まだ不具合になる前の各充電セッションの推定容量とも平均された数字が表示されています。新しい推定が増えるたびに、平均値が低下しているのです。
4-2. 直近のセッションの推定容量を見てみる
セッションごとの推定容量と充電%も記録されているので、プロットを見てみます。すると、悲惨な結果が見えてきました。
不具合当日のグラフは、まだ2,500mAh前後に固まっているのに対して、不具合から2日たった後のグラフを見ると、500mAh付近に領域ができています。
直近の充電セッションから推定されるバッテリー容量を見てみると、651.5 mAh で、設計容量の20%前後しか機能していないようです。
ここまで3年間で100%から86%まで劣化していたバッテリー容量が、たった2日で22%まで低下してしまいました。
ここまで急激にバッテリー容量が落ちていたから、スマホはどこまで充電したらよいか混乱して、充電率の表示がおかしくなっていたのかもしれませんね。
ここまで大きくバッテリーが毀損しているということは、安全性の保証もできません。
早めに買い換えをした方が良さそうです。
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