- Normal.dotmはWordの標準テンプレートファイルです。
- エラーを解決するためには、Wordの再起動、ファイルの手動削除、またはタスクマネージャーを使用してWordのインスタンスを終了させる方法があります。
今回は、Wordの「使用中」というメッセージについて見てみましょう。
1. メッセージを読むと
パソコンでワードを使用していたら、「このファイル(Normal.dotm)は他のユーザーが使用しています」などのメッセージが出て来ました。
ちょくちょく出て来るので、対応に困っています。
まず、① ② ③ のメッセージを読んでみます。
1-1. ① Normal は他の作業で編集されています
Normal は Word を使った他の作業で編集されています。元の名前で保存すると、他の作業での変更は失われます。
元の名前で文書を保存しますか?
1-2. ②このファイル(Normal.dotm)は他のユーザーが使用しています
このファイルは他のアプリケーションまたはユーザーが使用しています。
(C:¥Users¥〜¥AppData¥Roaming¥Microsoft¥Templates¥Normal.dotm)
1-3. ③〜.dotx は編集のためにロックされています(他のユーザー)
〜.dotx は編集のためにロックされています(編集者:’他のユーザー’)。
次のいずれかを選択してください:
・読み取り専用として開く(R)
・コピーを作成し、変更内容を後で元のファイルに反映する(M)
・ほかの人がファイルの使用を終了したときに通知を受け取る(N)
2. 共有と排他制御
3つのメッセージに共通するのは、Word文書がなんらかの作業で「編集中」のままになっている、ということです。
「編集中」という意味は、「同時に別の人が、同じWordの文書ファイルを編集作業をしている」ということです。
Windowsには、複数の人でファイルを共有する機能があります。
通常は便利な共有機能ですが、同時に別々の編集作業をすると問題が発生します。相手の編集作業に気づかずに保存をすると、片方の編集内容がうまく保存できないからです。
それを防ぐために、「排他制御」という仕組みがあり、注意メッセージが表示されています。
2-1. 標準テンプレート(Normal.dotm)
①②は、「Normal.dotm」というファイルが、③は、実際に開いたファイルが、「編集中」でロックされていることを示しています。
「Normal.dotm」ってなんなの?
Wordを新規文書を作成するときの「白紙の文書」は、「Normal.dotm」という文書テンプレートから作られます。これを「標準テンプレート」といって、文書の基本的なスタイルやカスタマイズの情報が含まれています。
Normal.dotm テンプレートは Microsoft Word を起動するたびに、自動的にバックグラウンドで開かれます。
「.dotm」という拡張子は、「DOcument Template Macro-enabled(マクロ付き文書テンプレート)」という単語に由来します。
ファイル形式としては、「Word Open XML Macro-Enabled Document Template」形式と呼ばれています。
「Normal.dotm」は、ユーザー毎に「C:¥Users¥<ユーザー名>¥AppData¥Roaming¥Microsoft¥Templates」という隠しフォルダに保存されていて、編集することができます。
例えば、「余白」の初期設定値などを変更したいときに、Normal.dotmを「編集」します。
2-2. Normal.dotmの破損?
「Normal.dotmが編集中」と表示されるのは、テンプレートファイルが破損している可能性があります。
エクスプローラーで、「C:¥Users¥<ユーザー名>¥AppData¥Roaming¥Microsoft¥Templates」を表示して、「Normal.dotm」を削除してから、Wordを起動すると、初期状態の Normal.dotm が生成されます。
3. 「他の作業で編集中」とは?
Wordのプログラムは、どんな基準で「編集中」という判断をしているんですか?
Word が、「文書を編集中」と判断するには、3つの条件があります。
3-1. ファイルのネットワーク共有
例えば、職場のファイルサーバにデータを一括で保管して、いくつかのパソコンからアクセスする場合が考えされます。
3-2. OneDriveでの共有
また、個人で使っている場合でも、最近は「OneDrive」というクラウド・ストレージを使った、ファイル共有・同期がかんたんにできるようになっています。
Wordファイルの保存フォルダがOneDrive内にあって、ほかのパソコンと同期している場合は注意が必要です。パソコン起動直後などインターネットに接続できないうちに文書を開くと、ほかのパソコンでの編集内容が遅れて同期されることで、編集の整合性が取れなくなることがあるからです。
3-3. 別のアカウントに切り替える
実際にはあまりありませんが、他のパターンとしては、アカウントの切り替えがあります。
例えば、USBメモリの文書ファイルなどは、一つのアカウントで開いた状態のまま、別のアカウントに切り替えて開くと、「編集中」のメッセージが表示されます。
4. プログラムの誤動作で二重起動する
別の人が文書を開いていないにもかかわらず、「編集中」と表示されるケースもあります。つまり、「別のユーザー」が実際には自分であるということです。
通常は、Wordで文書を開いてる最中に、同じ文章を新しいWord画面で開くことはできません。Wordの一つ一つの画面のことを「インスタンス」といいますが、誤動作でWordのインスタンスが同時にできてしまうことがあります。
4-1. エクスプローラーから開いた場合
まず考えられる原因としては、「WordファイルをWordの外から開く場合」です。例えば、エクスプローラーで、Wordファイルのアイコンをダブルクリックして開くような場合です。
プレビューの表示などで、エクスプローラーの内部でWord(サブ)が動作するのですが、これが実際にファイルを開くWord(メイン)と二重になってしまうようです。
プレビュー機能とは、選択している文書ファイルのコピーを「キャッシュ」として作成し、エクスプローラ上に中身を表示する機能です。
ファイルをキャッシュ領域にコピーするタイミングでは、短い時間だけ元の文書ファイルはロックされます。この時のロックでは所有者ファイルは生成されず、同じタイミングで文書を開くと「使用者はほかのユーザです」と表示されることがあるのです。
「ダブルクリックして開く」以外に、ファイルの開き方ってあるの?
Wordファイルを開く際には、Wordの[ファイル]タブからBackstageビューで[開く]を選択してファイルを選択することもできます。
この方法ですと、確実にWordだけでファイルを開くことができます。
4-2. マクロによってWordが二重起動している
他には、原因として「マクロ」が考えられます。
Wordマクロを使っている場合に何らかの理由で、Wordが二重で開いてしまうことがあります。マクロの処理中にバグが発生し途中で終了させた場合、その後にWordで作業をして、閉じようとするときなどに、このメッセージが表示されることがあります。
5. 「所有者ファイル」が削除できていない
最後に、「所有者ファイル」について説明します。
「所有者ファイル」は、Word文書(.docx)が編集中であることを示すために自動的に生成され、編集が終わると削除される一時ファイルです。隠しファイルになっているので、通常は見ることできません。
所有者ファイルができるのは、拡張子が「.docx, .xlsx」のファイルです。
Office 2007以前のファイル拡張子「.doc, .xls」では隠しファイルができず、ファイルのバイナリデータに使用者が書き込まれます。
この所有者ファイルは、「専有ロック」の役割をしています。別の人がそのWord文書を開こうとしたときに、すでに「所有者ファイル」が存在している場合は、Wordは起動できません。
Word文書を開くと、同じフォルダに「~$〜.docx」のように、隠しファイルができます。これが「所有者ファイル」で、文書ファイルを開いている最中のユーザー情報が含まれています。
所有者ファイルを表示するには、エクスプローラーの「フォルダーオプション」の設定で、
(1)「隠しファイル」を表示し、
(2)「保護されたオペレーション システム ファイルを表示しない」を無効にします。
エクスプローラーの表示タブの「オプション」を開きます。
「フォルダーオプション」の「表示」タブの「詳細設定」にある、「保護されたオペレーション システム ファイルを表示しない」のチェックを外します。
警告メッセージが表示されますが、「はい」を選びます。
もし、ファイルを開いていないのに、所有者ファイルが残っている場合は、削除しておきます。
6. 使用者がユーザー名ではなく「ほかのユーザー」と表示される
通常他のユーザーが本当に開いているときには、「’他のユーザー’」ではなくパソコンで設定されたユーザー名が表示されます。
使用者がユーザー名ではなく「ほかのユーザ」と表示されるのは、使用者の情報が取得できない状態になっていることを表しています。
これは、なんらかの原因でExcelファイルを開いた時に、所有者ファイルが自動生成されなかったことを示しています。
所有者ファイルを削除すると、現在誰が開いているかの情報がなくなります。これにより 一時的に「使用者は ‘ほかのユーザー’ です」と表示されるようになります。
再度、ファイルを開けば、次回から正しい使用者が表示されるようになります。
7. FAQ
7-1. Q1: Normal.dotmとは何?
A1: Normal.dotmはMicrosoft Wordの標準テンプレートファイルで、新しい文書を開く際の基本的なスタイルや設定が保存されています。このファイルはWordが起動するたびに自動的に読み込まれ、文書のデフォルト形式を決定します。
7-2. Q2: 「このファイルは他のアプリケーションまたはユーザーが使用しています」というエラーメッセージをどう対処すればいい?
A2: このエラーは通常、Normal.dotmファイルが何らかの理由でロックされている時に発生します。Wordを完全に閉じてから再起動するか、タスクマネージャーを使用してWordのインスタンスを終了してください。それでも解決しない場合は、Normal.dotmファイルを手動で削除し、Wordを再起動してファイルを再生成させることができます。
7-3. Q3: Normal.dotmファイルを編集または削除するにはどうすればいい?
A3: Normal.dotmファイルを編集するには、まずWordを閉じてからC:\Users\<ユーザー名>\AppData\Roaming\Microsoft\Templates
にあるファイルを探します。削除する場合は、ファイルを直接選択して削除します。Wordを再起動すると、ファイルがない場合は新しいNormal.dotmが自動的に生成されます。
7-4. Q4: 「コピーを作成し、変更内容を後で元のファイルに反映する」オプションはどのような時に使うの?
A4: このオプションは、Word文書が他のユーザーによって編集中であり、読み取り専用モードでしか開けない場合に有用です。変更を加えたい場合は、このオプションを選択して作業を行い、後で変更を元のファイルに統合することができます。