スマートフォンのデータを間違って削除してしまったら、どうしましょう。
技術的には「データ復元」できますが、慎重にしないと危険があります。
今回は、データの削除と復元の仕組みを解説します。
1. ファイルが削除されたあとのデータの痕跡
間違ってファイルを削除してしまっても、しばらくの間はデータは残っています。
これは、データを抹消したのではなく、ファイルリストから見えなくしているだけだからです。
しかし、新しくファイルを追加していくと、データ領域を上書きされてしまいますので、時間がたつとデータの痕跡は完全になくなってしまいます。
2. USBデバッグ
データ復元ソフトは、記憶領域の中を読み込んで、データの痕跡を探します。
Androidスマートフォンでは、パソコンに接続してデータを復元します。
このときに、「USBデバッグ」という機能を オン にする必要があります。
「USBデバッグ」をオンにすると、USBケーブルでつないだパソコンからスマートフォン内部のシステムにアクセスすることができます。
通常は、「開発中のアプリをスマートフォンで試すためにインストールする」という用途で利用されます。
パソコンからのデータを信頼することになるので、操作は慎重にする必要があります。
通常のアプリストアでは弾かれている不正なアプリも、パソコンからインストールすることができてしまうからです。
3. ルート化
Androidスマートフォンには、データを保護する仕組みがあり、通常は記憶領域をスキャンできません。
保護を解除するには、さらに「ルート化」する必要があります。
「ルート(root)」は、管理者権限のことです。
スマートフォンは、内部のシステムを保護するために、通常は機能を制限して利用しています。たとえ所有者であっても、システムへのアクセス権限がありません。
「ルート化」は、その制限を解除して、スマートフォンのすべての機能にアクセスできるようにすることです。
したがって、「ルート化」には、危険も伴います。
それは、コンピュータ ウィルスなど不正なプログラムが侵入しやすくなったり、侵入されたときにシステムを自由に書き換えられてしまうということです。
また、システム設定を強制的に変更するので、データが破損して最悪 スマホが起動しなくなることもあります。
もし、「ルート化」にした場合は、元の状態に戻すことができるか、よく確認しましょう。
4. ルート化からデータ復元の流れ
「データ復元」には危険がありますので、「最悪 壊れてもよい」という場合に限って、自分の責任で行ってください。
「ルート化」するためには、パソコンと接続して「ルート化アプリ」をインストールします。このインストールには、まず「USBデバッグ」が必要です。
「USBデバッグ」にするには、「設定」アプリから「開発者向けオプション」を選択します。
「開発者向けオプション」は、間違って操作しないように、隠されている場合もあります。機種にもよりますが、「設定」の「端末情報」から 「ビルド番号」を何度かタップすると表示されます。
USBデバッグをオンした状態で、パソコンにつないで、ルート化アプリをインストールします。
ここでは個々のルート化アプリの紹介はしませんが、いくつか公開されています。
「ルート化」ができると、データ復旧ができるようになります。
パソコンのAndroid用のデータ復元ソフトから記憶領域を読み込んで、削除したデータを探します。
5. バックアップしておけばデータ復元はかんたん
このようにスマートフォンの「データ復元」は大変で、失敗することもあります。
ですので、日頃から「バックアップ」が大切です。
とくに保存ディスクがなくても、Androidスマートフォンなら、「Googleドライブ」というインターネットサービスにデータを保存しておくことができます。
とくに、メール・写真・LINEのトークなどは、バックアップをしておくことがおすすめです。
こちらもどうぞ。

