ある日、突然パソコンの動きが悪くなる。仕事で利用している場合、想像するだけでも恐ろしいですよね。
今回、Windows 10のパソコンが急に動作が遅くなったので、原因を調べてみました。パソコンの不調の理由はさまざまですが、同様のケースの参考になれば、嬉しいです。
環境:2018年製 Windows10 マウスコンピュータ(MB-B504HS-A)
1. タスクマネージャでディスクアクセスを確認する
最近Windowsパソコンが急に遅くなる原因の第一位(体感)は、Windows Update(更新プログラム)です。
(ちょっと前まではメモリの不足でしたが……)
Windowsというシステムの更新プログラムは、とてもデータサイズが大きいことがあります。ですので、データをダウンロードしたり、更新作業をするのは場合によっては数時間単位の時間がかかることがあります。
その間、データの書き換えにフル稼働するので、ディスクアクセスが大きくなり、ほかの作業でのデータの呼び出しが遅くなります。例えば、ふだんは2,3秒で開くWordの文書ファイルが、10秒以上もかかったりします。
いずれにしても、パソコンの動作が遅くなったときは、タスクマネージャを開いて、CPU、メモリ、ディスクのどこが逼迫しているのか、原因を調べます。
2. タスクマネージャでプロセスを見ると…50%
タスクマネージャーで確認してみると、ディスクアクセスは50〜51%。
「サービスホスト:Windows Update」の利用率を見てみると、ディスク・ネットワークともにそこまでは利用していません。
ほかのプロセスの転送スピードを見ても、上位のものでも0.1MB/秒程度です。
むしろ不思議なのは全部足しても、ディスクアクセスの50%を利用しているようには見えないことです。
3. タスクマネージャのパフォーマンスタブ
タスクマネージャの「パフォーマンス」タブに切り替えてみました。
こちらを見てみると、ディスクアクセスは100%です。
あれ? さっきは50%ほどだったのに…
どうして、こっちだとずっと100%になっているのかな?
その理由は、ディスクの数です。
このパソコンには512GBのSSDと、1TBのHDDが内蔵されています。ディスク1(C:)がメインシステム用のSSDで、ディスク0(D:)が1TBのデータ保管用のHDDです。
ディスクの番号(ディスク0, ディスク1)とドライブレター(C:とかD:とか)の順序が違っているのが面白いですね
タスクマネージャをみると、データ保管用のディスク 0の「アクティブな時間」が なんと100%!
アクセスがいっぱいいっぱいになっていることがわかります。
ここで平均応答時間をみてみると、741ミリ秒で、読み取り速度 書き込み速度についてはともに0KB/秒 です。つまり、フルアクセスなのに、まったくデータのやり取りができていないことになります。
ちなみに、正常なディスクの平均応答時間も調べてみました。もう一つのCドライブの平均応答時間は0.2ミリ秒ですね。
実に、1000分の1以下の応答速度になっていることになります。どうも、システム的な問題ではなく、故障みたいです(;_;)
4. CrystalDiskInfoでの異常値
WindowsでHDDの健康状態を確認するツールとしては、「CrystalDiskInfo」が定番です。起動には管理者権限が必要ですが、インストールせずに使うことができるプログラムです。
多くのハードディスクは内部でエラーが発生すると、ハードディスク本体の特別な領域に記録する仕組みになっています。このハードディスクの分析情報のことを「SMART情報」といいます。
ちなみに、賢いから「SMART」というのわけではなく、”Self-Monitoring, Analysis and Reporting Technology(自己モニター分析レポート技術)”という英語の頭文字です。
CrystalDiskInfoは、HDDの中身をチェックしないでも、この記録されているエラー情報を一覧で確認することができます。ディスクが遅くてアクセスできない場合には重宝します。
CrystalDiskInfoの公式サイト:https://crystalmark.info/ja/software/crystaldiskinfo/
「リードエラーレート」と「代替処理保留中」に異常値があります。
5. MB-B504HS-Aを分解してみたら
データが失われるのは辛いですが、Dドライブはシステムには直接影響がないので、いったん取外すことにしました。このままではファイルアクセスするたびに、パソコンの動作が極端に遅くなってしまうからです。
裏面のネジをすべて外して、縁を少しずつ開いていきます。プラスチックの爪があるのでゆっくり開くと、少しずつパチッと外れます。
SSDとHDDが上下に並んでいるので、大きいHDDの方を取り外そうとしました。
ところが、ここのネジ穴を痛めてしまい、うまくいかず断念…。
精密ドライバーを横着したのがよくなかったです。ちなみに、そのまま力を入れて回すと、パソコンの液晶ディスプレイにまで圧力がかかりそうです。キーボードと液晶の間にタオルを挟みました。
6. ディスクへのアクセスだけを停止する(アンマウントのコマンドmountvol)
いったん、ばらしたパソコンはもとに戻して、コマンドからディスクの接続を解除することにしました。
ディスクは電気的につながっていても、システムからアクセスしないようにできます。これを「アンマウント」といいます。
Windowsのディスクのマウント・アンマウントのコマンドは、moutvolです。
管理者権限でコマンドプロンプトを起動して、コマンドを実行します。Pオプションがマウントの解除です。
mountvol d:¥ /P
「dドライブのマウントを解除する」
/p | 指定されたディレクトリからボリュームマウントポイントを削除し、ベーシックボリュームのマウントを解除して、ベーシックボリュームをオフラインにし、unmountable します。 他のプロセスがボリュームを使用している場合、 mountvolはボリュームのマウントを解除する前に開いているハンドルを閉じます。 |
下のようなメッセージが出ましたが、少し間があってエクスプローラーからdドライブの表示がなくなりました。パソコンの動作も安定しました。
ボリュームはまだ使用中です。強制マウント解除を発行しましたが、ボリュームへの現在のハンドラーは無効です。
7. 「ディスクの管理」から見ると
Windows10ではスタートボタンを右クリックすると出てくるメニューに「ディスクの管理」があります。ディスク0のドライブレターがなくなっていますね。
ステータスは「正常」と表示されているのになぁ……
タスクマネージャーからも、ディスク0は見えるものの、アクセスはしなくなりました。
8. まとめ:ディスクは急に不調になる
ということで、今回は不調になったHDDを接続解除することで、パソコンがとりあえず使えるようにはなりました。
しかし、保管していたデータ(主に撮影した動画資料)にはアクセスできなくなってしまいました。そこまで重要なデータはなかったので諦めがつきますが、あらためて、バックアップの大事さを感じます。
そこでこの機会に、ネットワークHDDを導入することにしました。
「ネットワークHDD」は、複数のパソコンからWi-Fiを通してデータを保管できるHDDです。USBケーブルでつなぐ外付けHDDと違って、Wi-Fiに接続していれば、どのパソコンからでもデータのやりとりができるのが特徴です。
ネットワークHDDでも、WindowsやMacのバックアップ機能を使うことができます。(注意点としては有線に比べるとデータ転送速度はやや遅いことです)
9. RAID1(バックアップ)
また、「RAID1」という方式にもこだわりました。
ネットワークHDDというのはデータ保管に特化した一つのコンピュータで、中にHDDがいくつか入っているものがあります。「RAID1」というのは、保管できる最大容量は半分になるものの、同じデータを内蔵の2つのHDDにコピーしておく方式です。ネットワークHDDの設定でRAID1にしておけば、つねに2つのHDDに同じデータが保存されるので、内臓のHDDの1つが故障してもデータは残ります。その後 HDDの中身だけを購入して、故障したHDDと取り替えれば利用し続けることができます。
同じデータ容量のネットワークHDDでも、このRAID1にできるものとできないものがあるので要注意です。
RAID1対応モデルは幅広で、内部に2つのディスクが並んでいるのがわかりますよね
ということで、データバックアップについて考えた出来事でした。転ばぬ先の杖ですね。
こちらもどうぞ