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なぜ Macにはコマンドキーとコントロールキーがあるのか? 【ターミナル操作】

なぜ Macにはコマンドキーとコントロールキーがあるのか? 【ターミナル操作】
  • コマンドキーの操作系列とコントロールキーの操作系列が重ならないのがメリットです。
  • インターネット利用や画像編集などGUIの操作とターミナル作業がスムーズに「繋がる」のです。
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1. 「コマンドキー」と「コントロールキー」

Macのキーボードには「コマンドキー」と「コントロールキー」があります。

「コマンドキー」と「コントロールキー」

それって、違うキーなの?

そもそも似たようなキーが2つもあるなんて謎ですよね。
わたしもそうだったんですが、使っているうちに「あぁ、そういうことか!」と眼から鱗の落ちました。

ということで、今回はパソコンの歴史を紐解きながら2つのキーの意味をみていきましょう。

  • 通常のアプリの操作には、コマンドキーと組み合わせる。
  • カーソル移動・削除などには、コントロールキーと組み合わせる。
  • ホームポジションで多様な操作ができる。

2. コマンドキーとは? ショートカットキーの役割

まず Macには、ショートカットキー操作をするための「コマンドキー(⌘)」があります。

コマンドキーとは? ショートカットキーの役割

「こまんど」を変換すると「⌘」が出るんだね。

びっくり。

そもそもパソコンによってキーボードが違うということも、あまり意識していない方も多いと思います。

Macのコマンドキー(⌘)は、Windows PCの「コントロール(ctrl)」キーと同じような操作に使われます。

周囲にあるキーはちょっとずつ違う
周囲にあるキーはちょっとずつ違う

例えば、
コピー」なら ⌘+C
保存」なら ⌘+S
二つのキーを組み合わせて押すことで、直接操作できます。

Windows PCでは、それぞれCtrl+CCtrl+S なので、macでも同じように操作できることになります。

コマンドキーとは? ショートカットキーの役割

つまり Macのコマンドキーは、Windowsのコントロールキーってことね。

表記の意味

ここで、「⌘+C」と表記しました。
これは「コマンドキーを押しながらCキーを押す」という意味です。

また、「Ctrl+C」という表記も
コントロールキーを押しながらCキーを押す」の意味です。

2-1. コピペのショートカットキーが固まるまでの小歴史

ちなみに余談ですが、そもそもパソコンでCtrl+C(コピー)Ctrl+V(貼り付け)がショートカットキーの「定番」になったのは、いつなのでしょう?

これは、1990年のWindows 3.1以降と言われています。

それ以前、つまりMS-DOSやWindows 3.0までは、「Ctrl+Ins」でコピーなど今とはだいぶ異なっていました。
これは IBMの仕様(Common User Access)の流れによります。

現在の主流それ以前の主流
Common User Access
切り取りCtrl+XShift+Del
コピーCtrl+CCtrl+Ins
貼り付けCtrl+VShift+Ins
コピペのショートカットキーが固まるまでの小歴史

コピーと貼り付け(ペースト)で、まとめて「コピペ」と呼ばれますね。

しかし、Common User Accessは「定番」というほどではなく、他のOSやアプリケーションによってもまちまちでした。
それぞれ、ショートカットキーを覚える必要があったのです。

「Ctrl+C」はというと、当時は「プログラムの強制終了」に利用されることが多かったのです。

コピペのショートカットキーが固まるまでの小歴史

昔はいろいろ違ったのね

これを現在につながる X, C, Vを 「切り取り」、「コピー」、「貼り付け」の編集コマンドとして先に使い出したのは、Macintoshのようです。

Ctrl+ X, C, Vならキーの距離が近いので片手で押すことができます。
この「優れた設計」は、その後 多くのパソコンに引き継がれていきます。

コピペのショートカットキーが固まるまでの小歴史

最初に決めた人を特定したかったのですが、見つけられませんでした。
もし、判明したら追記します。

2-2. アップルキーからコマンドキーへ

さて、Macintoshのコマンドキーですが、もっと歴史を遡るともともとこの位置にあったのは「アップルキー」というキーでした。

1977年にAppleが発表したPC「Apple II」のキーボードに、初めてアップルのロゴが描かれたキーが付いたのです。

画像出典:Apple IIe keyboard | Applefritter
画像出典:Apple IIe keyboard | Applefritter

といっても用途は今と同じ。
「アップルキー」も組み合わせて利用するキーで、単なるデザインの問題です。

「アップルキー」のデザインが変わるのは、1984年のMacintosh(Mac)からで、そこから今と同じデザインの「コマンドキー」になりました。

ちなみに

別に「アップルキー」のロゴのままでも機能的には問題なかったはずですが、このデザイン変更を決めたのはスティーブ・ジョブズです。
というのも、りんごのマークが連なるショートカットキーの表示を見て、自社ロゴをゴリ押ししすぎていると感じたそうです。

アップルキーからコマンドキーへ

そこで初代Mac開発の時に、メンバーだったスーザン・ケア(Susan Kare)が記号辞典から、北欧の史跡などを示す交通標識「⌘」マークを探し出して、採用されました1

移行期にはアップルマークとコマンドマークが両方並んでいたキーボードもありました2

画像出典:Apple Extended Keyboard II M3501 ヤフオク
画像出典:Apple Extended Keyboard II M3501 ヤフオク
アップルキーからコマンドキーへ

オリジナルデザインというわけではなく、地図記号だったんだね

アップルキーからコマンドキーへ

Macのコマンドキーがアップルキーだった名残りで、キーの位置が WindowsのWinキーに対応しています。

3. コントロールキーとは? ターミナルで役立つ

今度は「コントロールキー(^)」の話をしましょう。
Macにはコマンドキーの他に、コントロールキーもあります。

コントロールキーがどこにあるかというと……

「A」のキーの左、Windowsでいえば「CapsLockキー」のある位置にあるのが、「^ control」キーです。

ちょこっとメモ

このコントロールキーの配置は、UNIXで標準的に使われてきたASCIIレイアウトと同じです。
UNIXは研究機関やプログラマー、サーバーなどによく利用されるOSです

3-1. Ctrl+Aもコントロールキーがあれば、⌘+Aと^+Aに使い分けできる

Macのコントロールキーの良さは、「ターミナル」を操作する時に実感します。

例えば、ctrl+A
一般のGUIプログラムではctrl+Aは「全選択」になります。

一方、ターミナルやEmacsでは「カーソルを行頭に移動」されるショートカットキーとして、Ctrl-Aを押します。
このようなキーバインドによって、ホームポジションから移動せずに文章の編集ができるわけです。

Ctrl+Aもコントロールキーがあれば、⌘+Aと^+Aに使い分けできる

同じctrl+Aでも、プログラムごとに「意味」が変わってしまうので、一瞬迷ってしまうのです。

GUIプログラムターミナル
Ctrl+A全選択ホーム(行頭へ)
Ctrl+S上書き保存インクリメンタルサーチ
Ctrl+V貼り付けページダウン
Ctrl+Aもコントロールキーがあれば、⌘+Aと^+Aに使い分けできる

Windowsの場合は、Emacsで文章を編集するときに、
ブラウザで crtl-cで「コピー」して、
Emacsでは ctrl-yで「貼り付ける」というふうに
頭の切り替えが必要です。

貼り付けるつもりで、よく ctrl-vで「ページダウン」してしまいます💦

一方、Macではコマンドキーのほかに、コントロールキーがありますので、⌘+Aと^+Aを区別できます。

そこで、EmacsなどUNIX由来のショートカットキーは、コマンドキーではなく、コントロールキーとの組み合わせになります。

3-2. 貼り付けの2通り:⌘+Vも^-yも使える

つまり、「貼り付け」のショートカットキーとして、GUIで一般的な⌘+Vでも、コマンドライン(CLI)で一般的なctrl-yでも可能なのです。

これがEmacsユーザー(あるいは、bashなどその系譜のキーバインドに慣れた人)にとって、すごく快適なのです。

3-3. コントロールキーのおかげでホームポジションでカーソル移動がしやすい

しかも、このコントロールキーのカーソル移動などはターミナルに限りません。
「標準」として通常の操作でも使えるんです。

通常のブラウザやメモアプリなどでも、ctrl-h(バックスペース)ctrl-d(削除)などのキー操作が使えるお陰で、Macだと標準の設定でもホームポジションから動かずに文字入力ができます

コントロールキーのおかげでホームポジションでカーソル移動がしやすい

WindowsとUNIX(やLinux)を併用する中で、キーバインドの微妙な違いで苦労してきたので、macOSの解決方法は「眼から鱗」でした。

3-4. コントロールキーを使った移動操作まとめ

せっかくなので、コントロールキーを使ったカーソル移動操作をまとめておきますね。

ちょっとしたこともホームポジションで
  • ^h: バックスペース
  • ^d: 削除(delete)
  • ^k: カーソルより右側を削除(kill)【イチオシ!】
カーソル移動は上下左右という考え方ではない
  • ^f: カーソルを右へ(前へ:forward)
  • ^b: カーソルを左へ(後ろへ:backward)
  • ^n: カーソルを下へ(next)
  • ^p: カーソルを上へ(previous)
よく使う編集操作
  • ^a: カーソルを行頭へ(ahead?)
  • ^e: カーソルを行末へ(end)

文章を編集していると、このkillが便利なんですよね。
よく、^+a, ^+kで一行削除などを使っています。

コントロールキーを使った移動操作まとめ

この辺は慣れなので、練習しないと使いにくいかもしれません。
1ヶ月ほど意識して使うと、スムーズになりますよ。

4. まとめ:コマンドキーとコントロールキーが両方あるおかげで、CLIとGUIのバランスが良くなる

ということで今回 感じた衝撃は、macOSのCLI(コマンドライン インターフェース)とGUI(グラフィック ユーザーインターフェース)の調和でした。

  • コマンドキー:GUIプログラムのショートカット操作
  • コントロールキー:文字編集(カーソル移動やコピペ)

コマンドキーの操作系列とコントロールキーの操作系列が重ならないので、インターネット利用や画像編集などGUIの操作とターミナル作業がスムーズに「繋がる」ので、とても快適です。

まとめ:コマンドキーとコントロールキーが両方あるおかげで、CLIとGUIのバランスが良くなる

UNIX系のユーザーやプログラマが、「個人用のパソコン」としてmacOSを勧める理由がよくわかりました。

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(補足)

  1. Apple社のキーボードについてる「コマンドキー」アイコンの元ネタはコレだった – DNA
  2. 2007年まで、コマンドキーは「command」のような文字表示ではなく、アップルマークと四葉のクローバーに似たコマンドマークが並んでいる珍しい表示になっていた(初代の”Apple Macintosh Keyboard”はアップルマークがなく、コマンドマークのみ)。なぜ、2つのマークを並べる表示になったのかというと、Mac用の二代目キーボードである”Apple Desktop Bus Keyboard”が、Apple IIシリーズの一機種であるApple II GS用のキーボード”Apple II GS Keyboard”と全く同一製品だったことに由来する。(アップルが1993年まで販売していたパーソナルコンピュータ”Apple II”のキーボードには、アップルマークが表示された”アップルキー”という修飾キーがあった) つまり「Apple II GS使用時にはアップルキー」、「Mac使用時にはコマンドキー」として使える(一目で判別できる)ための工夫であった。この2つのマークを並べる表示は、近年のMacシリーズのキーボードにも継続されていた。- https://ja.wikipedia.org/wiki/Macintosh#%E3%82%B3%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%89%E3%82%AD%E3%83%BC
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