パソコンが詳しい人に文書作成のやり方を相談してみると、「Excelさえあればなんでもできる」とか、「いやいや印刷の見栄えを考えたらPowerPointがいい」など、いろんな意見を聞きます。
しかし、そもそもWord?Excel?PowerPoint?と聞いてもいまいち違いがピンとこない方も意外と少なくないのではないでしょうか?
というのは、いずれのソフトもそれぞれ向き・不向きがありながら、使い方が重なる部分があるからです。
そこで、今回はWordに注目して、文章作成の2つのシーンについて頭を整理したいと思います。
1. Wordで作ることができる2つの印刷物のタイプ
実は、「Wordを使って印刷物を作りたい」という話を聞くときと、大きく分けて2つの傾向があります。
それは、文章メインのものと、画像メインのものです。
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(1)文章がメイン | (2)図や写真がメイン | |
---|---|---|
個人的な用途 | 町内の回覧板 案内状 | 年賀状 |
仕事での用途 | ビジネス文書 申込書 | チラシ レストランのメニュー |
主に使う機能 | 右揃え・中央揃え 表や罫線 | 写真・図の配置 飾り文字 |
機能 | エディタ | DTP |
1-1. (1)文章メインの使い方
ひとつは、「ビジネス文書派」です。
この人たちの要望は、「なるべく簡単に体裁の整った文章」を作りたい、というものです。
要点を丁寧に伝えるための白黒文書を作りたいので、あまり写真や装飾といったカラフルな機能は不要なようです。
最近は「手書きだと格好がつかない」ので、文章を「活字」にする必要性があります。
1-2. (2)写真メインの使い方
もう一つは、「写真レイアウト派」です。
この人たちは、写真や文字・図形を組み合わせて「なるべく見栄えのよいプリント」を作りたい、と考えています。
雑誌や写真集のようなデザインや、年賀状やバースデーカードを印刷することができます。
2. Wordのグラフィック機能の進化
もともと、Wordは「(1)ビジネス文書」を作成するためのアプリケーションソフトでした。
それまで文字列を入力するだけだった「テキストエディタ」に、字体や文字の大きさ、太字や罫線・表といった「文章」を作るための機能が追加され、ワードプロセッサ(ワープロ)は生まれました。
パソコンの性能が上がると、さらに画像や図形を入れる機能が追加されていきました。
そして、それらが自在にレイアウトできるようになると、文章だけでなくチラシやハガキといった用途に使われるようになりました。
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いまでも 年賀状ソフト(「筆まめ」「筆ぐるめ」など)を利用する人も多いですが、Wordのグラフィック機能が充実する以前はそのような専用ソフトしか選択肢がなかったともいえます。
3. WordでDTPってなに?
パソコン書籍のコーナーを見ていると、「DTP」という言葉を見ることがあります。
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「DTP(Desktop Publishing)」は「机の上で出版する(卓上出版)」という意味で、「書籍、新聞などの編集での割り付けなどの作業をコンピュータ上で行い、プリンターで出力を行うこと」です。
「割り付け」も専門用語ですが、「印刷物の紙面の仕上がりを考えて,活字の大きさ・字配り・行数,あるいは写真や図の配置などを原稿に指定すること」です。
つまり、DTPというのは「コンピュータで印刷物の見栄えを整えること」をいいます。
もともとWordを含む「ワープロ」は、DTP機能が貧弱だったわけですが、ここにきてほぼ「何でもできる」ようになりました。
3-1. Wordの限界:レイアウト崩れ
しかし、一方でWordには苦手なこともあります。
それが、レイアウト崩れ。
Word自体にはいろいろなバージョンがあり、フォントやプリンタの設定も人それぞれ。
Wordは印刷に適したグラフィックソフトではなく、渡したデータがそのまま同じように表示されるとは限らないのです。
したがって、多くの印刷会社では「レイアウトが崩れる、または文字化けする」など、意図しない状態で印刷されるトラブル回避のため、Word文書での入稿ができないことも多いです。
4. まとめ:Wordの良さはバランスと普及率
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専門のDTPソフトに比べると印刷レイアウトの誤差があり、専門のエディタに比べるとやや重量なWordですが、一番の魅力はこのバランスの良さだと思います。
- ある程度の品質の印刷物を、そこそこ気軽に作成できる。
- 文章も画像も組み合わせやすい。
- しかも、多くのパソコンにインストールされていて、データの受け渡しもしやすい。
逆にWordに向いていないことは、
- ささっと簡単なメモ書きをする(起動が遅く、書式が混在する)
- 出版物のレイアウト・サイズを厳密にデザインする(行間や幅をそろえたりも面倒)
道具は向いていることに使うのが一番です。
特徴をよく知って上手に使い分けましょう。
最後までお読みいただいて、ありがとうございます。
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